Fedora は Red Hat 社が支援するコミュニティ Fedora Project で開発されている Linux ディストリビューションで、最新の技術を積極的に取り込むことで知られています。また、Fedora の開発成果が後にリリースされる Red Hat Enterprise Linux, RHEL に取り込まれています。Fedora は、おおむね春と秋の年二回の頻度で新しい版がリリースされています。
GNOME 40 の誘惑
2011 年に公開された GNOME 3 は、10 年近くマイナーバージョンアップを重ねて Linux のデスクトップ環境として使い続けられてきました。そして、いよいよ今年 3 月末に次期 GNOME 40 がリリースされます。次期からバージョン番号の規則(バージョンスキーム)が変更され、現行の 3.38 から 40 になり、今後は 40, 41, 42, ... と(マイナー)バージョンアップを重ねるということです [1]。
今回は、GNOME 2 → 3 へバージョンアップした時のような大きなインターフェイスの変更はありません。小さい変更はあるものの、GNOME シェルを使った現行のユーザーインターフェイスの基本的なスタイルは継承されていきます [2]。
たとえ変更は大きくなくとも、早く GNOME 40 を触ってみたくて Fedora Rawhide(Fedora の開発版)を仮想マシンにインストールして GNOME 40 のリリース前の版の使い心地を評価していました。
これは、4 月末にリリースされる予定の次期 Fedora 34 では、GNOME 40 のリリース直後であっても、大きな問題が発生しない限り GNOME 40 が採用されていることがアナウンスされていたからです [3]。その GNOME 40 が、Fedora Rawhide でベータ版になったので、テスト機にインストールしてあった Fedora 33 を、リリース前の Fedora 34 へアップグレードしてみました。
アップグレード
まだ Fedora 34 のベータ版のリリース前ですが、2 月 10 日に Fedora Rawhide から Fedora 34 用ブランチを作成するとアナウンスされていますので [4]、Fedora 33 からプレリリース版の Fedora 34 へのアップグレードは可能です。アップグレードは下記の手順に沿って実施しました。
- dnf update --refresh
- dnf install dnf-plugin-system-upgrade
- dnf system-upgrade download --releasever=34
- dnf system-upgrade reboot
今回のテスト機
今回、Fedora 34 へアップグレードしたテスト機は、ASUS TransBook T100HA という2 in 1 タイプの古い PC です[右図]。買った当時はタッチスクリーンを Linux で使うのに苦労しましたが [5]、最近ではフツーにインストールするだけで、画面回転を含めて問題なく使用できるようになりました。
オープンソースのソフトウェア開発に関わる方々の努力に感謝しかありません。
Linux はオープンソースのプロジェクトで無保証です。タダで利用したいのであれば自己責任で利用するのが原則です。
ただ、関連するコミュニティが数多くあるので、自分が関心のあるプロジェクトへ参加して情報交換をすることができます。対応するデバイスドライバがない場合、関連するプロジェクトを探して参加するか、自ら立ち上げて開発する。それができない場合は待つしかありません。開発のモチベーションは多くの場合、ユーザーの需要に比例するので、いつまで待っても Linux 対応のデバイスドライバが出てこない場合だってあります。😅
このテスト機は、画面解像度が 1280 x 800 と、いまどきの PC の画面に比べれば低解像です。こういった画面解像度が低い場合に GNOME は使い物になるのかを意識しました。
RAM は 4GB、ストレージは 64GM の eMMC で、Fedora 33 をクリーンインストールしたものをアップグレードしています。
パーティションは以下のようになっています。ルート領域 / 以下のファイルシステムは btrfs、スワップ領域 (zram0) は、RAM 上に動的に確保される圧縮された領域です。
[bitwalk@localhost ~]$ lsblk NAME MAJ:MIN RM SIZE RO TYPE MOUNTPOINT mmcblk1 179:0 0 58.2G 0 disk ├─mmcblk1p1 179:1 0 600M 0 part /boot/efi ├─mmcblk1p2 179:2 0 1G 0 part /boot └─mmcblk1p3 179:3 0 56.7G 0 part /home mmcblk1boot0 179:8 0 4M 1 disk mmcblk1boot1 179:16 0 4M 1 disk zram0 252:0 0 3.7G 0 disk [SWAP] [bitwalk@localhost ~]$ df -Th ファイルシス タイプ サイズ 使用 残り 使用% マウント位置 devtmpfs devtmpfs 1.9G 0 1.9G 0% /dev tmpfs tmpfs 1.9G 0 1.9G 0% /dev/shm tmpfs tmpfs 764M 2.4M 762M 1% /run /dev/mmcblk1p3 btrfs 57G 8.3G 48G 15% / tmpfs tmpfs 1.9G 6.9M 1.9G 1% /tmp /dev/mmcblk1p3 btrfs 57G 8.3G 48G 15% /home /dev/mmcblk1p2 ext4 976M 240M 669M 27% /boot /dev/mmcblk1p1 vfat 599M 21M 579M 4% /boot/efi tmpfs tmpfs 382M 116K 382M 1% /run/user/1000 [bitwalk@localhost ~]$
GNOME の縦画面
解像度の低い画面を縦長にして、アイコンなどのサイズが適当な大きさで表示されるかを確認しました。
画面の操作のスクリーンショットです。ダッシュやアプリ一覧に表示されるアイコンの大きさは、いい感じです。(GNOME 40 アルファリリースの時は画面サイズに依ってはアイコンのサイズが小さくなったりしていました。)
ダッシュの向きが、縦向きから横向きへ変更になったことは、(タブレットでよく使う)縦長の画面の場合には、却って使いやすくなったように思います。
下図は、「地図」で東京駅周辺を表示した例と、Microsoft 社のサイトで公開されている PowerPoint のサンプルを LibreOffice Impress で読み込んだ例です。PowerPoint のサンプルは、丁度良い縦長のサンプルが見当たらなかったので横長のサンプルを使っています」。
メモリの使用状況は、LibreOffice を起動してもスワップが 0 という状況です。タッチスクリーンを前提として、特定の用途に絞れば、いくつものアプリのウィンドウを同時に開くことはなくなり、4GB 程度のメモリでも案外使えるのかもしれません。
参考サイト
- GNOMEが9年続いた3系にお別れ、次期版は「GNOME 40」に | OSDN Magazine [2020-09-18]
- bitWalk's: GNOME 40 がやってくる [2020-12-20]
- Changes/Gnome40 - Fedora Project Wiki
- Fedora 34 being branched from rawhide [2021-02-09]
- bitWalk's: ASUS TransBook T100HA と Ubuntu 17.10 [2017-11-12]
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