2021-01-23

GNOME Shell 40 を触ってみた

GNOME (/ɡəˈnoʊm, ˈnoʊm/) は、Unix ライクの OS のためのフリーでオープンソースのデスクトップ環境です。現行の GNOME 3 は、Fedora、Ubuntu、Red Hat Enterprise Linux、Pop!_OS など多くの Linux ディストリビューションでデフォルトのデスクトップ環境になっています。

Wikipedia より引用、翻訳、編集

現行の GNOME 3 がリリースされたのは 2011 年のことです。このリリースではデスクトップインターフェイスが GNOME パネルから GNOME Shell へ一新されて賛否を呼びましたが、開発は一貫して続けられました。そして、10 年後の今年 2021 年 3 月末に、次のメジャーバージョン GNOME 40 のリリースが予定されています [1][2]。今度のリリースは今までの開発の延長上にあり、大きな変更はなさそうです。

たとえ大きな変更が無くとも、新しい GNOME 40 にいち早く触れたくなり、あれこれ調べてみたところ Fedora Rawhide で GNOME Shell が 40 になっているのを知り、テスト機と仮想環境ににインストールしてみました [3]

ということで、今回使用した OS は下記の通りです。

Fedora Rawhide (Workstation Edition) x86_64

インストール後の GNOME デスクトップは下記のようになっています。

Fedora Rawhide(Fedora 34 Prerelease 版)のデスクトップ画面 (GNOME)

見た目は従来の GNOME Shell 3 と変わらないように見えますが、地味に少しだけ違っています。

オーバービューのワークスペースが水平に移動

アクティビティのオーバービューのワークスペースが水平に配置されるようになりました。

ただ、ブログ記事 [2] で紹介したモックアップとは少し違うような…。まだ予定しているレイアウト全ては実装されていないということなのでしょうか。

Fedora Rawhide をインストールしたあと、「設定(GNOME コントロールセンター)」を確認すると、3.38.3 となっています。

「設定(GNOME コントロールセンター)」が示す GNOME のバージョン

しかしこれは「設定(GNOME コントロールセンター)」のバージョンを示しているようです。

[bitwalk@rawhide ~]$ rpm -q gnome-control-center
gnome-control-center-3.38.3-1.fc34.x86_64
[bitwalk@rawhide ~]$ 

GNOME Shell は 40.0-alpha になっています。今、アルファだと春のリリースに間に合うのかちょっと心配になります。もっとも 4 月末にリリース予定の Fedora 34 の ChangeSet には、GNOME 40 の項目はありません。

[bitwalk@rawhide ~]$ rpm -q gnome-shell
gnome-shell-40.0~alpha.1.1-2.fc34.x86_64
[bitwalk@rawhide ~]$ 

ちなみに gnome-shell パッケージが依存するパッケージを確認すると、gtk3 と gtk4 両方に依存しています。

[bitwalk@rawhide ~]$ rpm -qR gnome-shell
/usr/bin/python3
/usr/bin/sh
  :
  :
gstreamer1(x86-64) >= 1.4.5
gtk3(x86-64) >= 3.15.0
gtk4(x86-64) >= 4.0.0
ibus(x86-64) >= 1.5.2
  :
  :
xdg-desktop-portal-gtk >= 1.8.0
[bitwalk@rawhide ~]$ 

gtk4 は昨年 12 月にリリースされた GTK4 ライブラリですが、今後 GNOME の GTK ライブラリへの依存は段階的に GTK3 から GTK4 へ移行していくのでしょう。

少し遅くなりましたが 今年の抱負

デスクトップ環境を一新した最初の GNOME 3 が 10 年前にリリースされて、ポピュラーな Linux ディストロのデフォルトのデスクトップ環境に採用されながら現在に至っています。GNOME の開発チーム内でどのように活動を維持してきたか判りませんが、一貫したアプローチで 10 年も改善を続けてリリースを行っていることに脱帽しかありません。

これを考えれば、新しい GNOME 40 が今後の 10 年を引き継ぐことになるかもしれません。

デスクトップ PC の OS のデファクトスタンダードといえば、もちろん Microsoft Windows ですが、とても羨ましいと思うことは、毎年改訂を重ねて出版され続ける、いわゆる「定番」の Windows(いまでは Windows 10)入門書があることです。

Linux は変化が早いので、とてもそんな定番の入門書を刊行することは無理だと思っていましたが、考えてみるとデスクトップ環境 GNOME 3 は、もう 10 年も使われています。デスクトップの使い方を紹介するような情報は、はじめて Linux を使ってみようとするユーザーにとっては、いつも重要なことだと思っています。

というわけで、新しい GNOME 40 が長く使い続けられることを想定して、リリース初期の段階から「GNOME 40 の使い方」みたいな入門サイトを作りたいと考えています。どうやったら解りやすい内容になるかを追求し、願わくば GNOME のマイナーチェンジに対応できる息の長いサイトにしたいと思っています。

これが、遅くなりましたが、今年の抱負です。😅

選択の自由がある Linux の世界では、GNOME が標準デスクトップ環境の座に君臨することはないかもしれません。しかし、Red Hat 系 Linux では一貫して GNOME をデフォルトのデスクトップ環境に採用しているので、一定の需要は見込めるだろうと思っています。Windows に較べて Linux のユーザー数は全然少ないので、書籍化は無理でも、せめてホームページで情報公開をしていきます。

参考サイト

  1. Forty - GNOME Wiki!
  2. bitWalk's: GNOME 40 がやってくる [2020-12-20]
  3. Index of /pub/fedora/linux/development/rawhide/Workstation/x86_64/iso
  4. bitWalk's: GTK4 を触ってみた [2020-12-21]
  5. bitWalk's: いまどきの GNOME デスクトップ [2018-06-22]
  6. bitWalk's: GNOME Shell 40 を触ってみた (2) [2021-01-11]

 

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