2021-02-12

RHEL 互換の Linux

Red Hat Enterprise Linux, RHEL は、Red Hat 社によって開発されている商用市場向けの Linux ディストリビューションです。最近の RHEL のライフサイクルは 10 年で、延長が必要であれば追加サブスクリプション (Extended Lifecycle Support Add-On) も提供されます。

Wikipedia より引用、翻訳、編集

CentOS はコミュニティーベースのプロジェクトでRHELのソースコードを元に再構築した、無料のディストリビューションです。昨年の 12 月 8 日、CentOS プロジェクトは、現在の RHEL リリースより先行する CentOS Stream へとプロジェクトの活動の焦点を移し、RHEL 8 のリビルドである CentOS Linux 8 のサポートを 2021 年末に終了するという発表をしました [1]

このニュースを知って、家庭内 LAN で稼働している CentOS サーバーを CentOS Stream へ移行したり CentOS へ戻したりとあたふたしましたが、結局、Red Hat Developer Subscription for Individuals を割り当てて RHEL 8.3 をインストールしました。

純正の RHEL を使い始めて、無料の CentOS とは違うことがいろいろあることに気づいて、それらをまとめ始めています。今後は RHEL 一本で行けるかと考えると、そうでもありません。もし、将来手広く Linux サーバーを使うことになれば、有料のサブスクリプションは縛りになります。RHEL 互換のディストリビューションを上手に利用していくことは今後も必要になります。

そういうわけで、CentOS の開発方針変更であたふたした際に調べた RHEL 互換のディストリビューションについて、ひとつにまとめました[ABC 順]。

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AlmaLinux

AlmaLinux は CloudLinux チームによって開発されている RHEL 8 のバイナリ互換のフォークで、コミュニティと密接に協力して開発するコミュニティのためのフリーの Linux OS です。ラテン語で「魂」を意味する言葉にちなんで名付けられた AlmaLinux は、GitHub のページを通じてコミュニティの協力を得ながら開発が進められています。

AlmaLinux 8.3 beta のデスクトップ画面

CloudLinux, Inc. は CentOS オペレーティングシステムをベースに CloudLinux OS を開発し、共有ホスティングプロバイダ向けに販売しています。CloundLinux OS は OpenVZ カーネルを使用しています。

CloudLinux のチームが CentOS に代わる RHEL クローンを開発するのは、CloudLinux OS が CentOS をベースにしていることが最大の理由なのでしょう。コミュニティベースの活動になるように公開されていることはありがたいことです。

Oracle Linux

Oracle Linux は Oracle 社が配布している Red Hat Enterprise Linux (RHEL) をベースとした Linux ディストリビューション。Oracle Linux は i686 と x86-64 アーキテクチャに対応しており、Red Hat Compatible Kernel (RHCK) と、Oracle 製品に最適化した Unbreakable Enterprise Kernel (UEK) の二種類のカーネルを選択できます。

Oracle Linux Server 8.3 のデスクトップ画面

RHEL 互換とは言え Oracle 製品に最適化した Unbreakable Enterprise Kernel (UEK) がデフォルトになっていることから、Oracle ブランドの OS という印象が強いですが、Red Hat Compatible Kernel (RHCK) も利用できるので、コミュニティベースの OS にこだわらなければ、RHEL 互換のディストリビューションとして十分評価に値すると思います。

起動時の grub メニュー画面

Rocky Linux

Rocky Linux は Red Hat Enterprise Linux (RHEL) オペレーティングシステムのソースコードをビルドし直すことで、RHEL と完全なバイナリ互換性を持つことを意図しています。このプロジェクトの目的は、コミュニティでサポートされた、製品グレードのエンタープライズ用途の OS を提供することです。

2021 年 3 月末までに Rocky Linux のリリース候補を公開するという予定が発表されています。

RHEL のソースコードをビルドした従来の CentOS の未来が無くなったことを受け、CentOS の創設者の一人である Gregory Kurtzer 氏が、CentOS の初期の目標を達成するために Rocky Linux プロジェクトを立ち上げました。この名称は共同創設者である Rocky McGaugh にちなんで名付けられました。

RHEL のサポートと同じく 10 年使い続けられるコミュニティベースのディストリビューションの存在は頼もしいことですが、コミュニティでプロジェクトを永続的に維持し続けることができるか、人ごとみたいでなんですが、とても興味があるところです。

Springdale Linux

Springdale Linux は RHEL (Red Hat Enterprise Linux) をベースにした Linux ディストリビューションで、プリンストン大学プリンストン高等研究所 (IAS)で開発されています。以前は PUIAS Linux として知られていました。このディストロは、CentOS などの RHEL クローンよりずっと前に始まっているプロジェクトです。RHEL に含まれていないリポジトリも提供されています。

Springdale Linux 8.3 のデスクトップ

学術的用途のためか、いままで聞いたことのなかったディストリビューションです。途中で名称の変更はあったものの、ディストリビューションの歴史は CentOS よりも長く、CentOS から他の無料の RHEL クローンに乗り換えるとすれば、Springdale Linux も有力な候補になるのではないでしょうか。

参考サイト

  1. CentOS Project shifts focus to CentOS Stream – Blog.CentOS.org [2020-12-08]
  2. CentOS 8 EoL 変更と CentOS 8 Stream との違い、影響について — サイバートラスト株式会社 [2020-12-10]
  3. CentOS Stream:エンタープライズLinuxの革新的な未来を築く [2021-01-05]
  4. 「CentOS」に代わる「Rocky Linux」、2021年第2四半期に最初のリリース登場の可能性 - ZDNet Japan [2021-01-04]
  5. CloudLinux、「CentOS」の代替OS「AlmaLinux」ベータ版リリース - ZDNet Japan [ 2021-02-02]

 

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