AlmaLinux のサイト [1] によると、AlmaLinux(旧 Project Lenix)は CloudLinux チームによって開発されている RHEL 8 のバイナリ互換のフォークで、コミュニティと密接に協力して開発するコミュニティのためのフリーの Linux OS とあります。
早くも RHEL8.3 に対応する AlmaLinux 8.3 のベータ版が公開されていたので試してみました。
- https://repo.almalinux.org/almalinux/8.3-beta/isos/x86_64/
- AlmaLinux-8.3-beta-1-x86_64-dvd1.iso
インストール
Fedora 33 上 GNOME Boxes の仮想マシンにインストールしました。インストール方法や内容は、Linux ディストリビューションのロゴが異なる他は RHEL 8 や CentOS 8 と同じですが、スクリーンショットを取りましたので簡単に紹介します。
起動
ISO ファイルを読み込み、メディアの内容(チェックサム)を確認します。
インストールの設定
最初に言語設定をして、インストールに必要な設定をします。
インストール先のメディア、ネットワーク、ルートアカウントおよびユーザーアカウントを設定します。
インストール
インストールの開始(B) ボタンをクリックしてインストールを開始して、終了したら システムの再起動(R) ボタンをクリックして再起動します。
再起動後
grub のメニューが出て、そのまま起動します。
ライセンス契約
AlmaLinux を使用するにはライセンス契約に同意します。
ログイン
インストール時に設定したユーザーアカウントでログインします。
ログイン後の設定
はじめてログインした後の設定をします。
GNOME ヘルプ
最後に GNOME ヘルプが表示されて、はじめてのログインで表示されるウィンドウは、これでおわりです。
CentOS と比べてデスクトップの背景はカラフルになっています。
戸惑ったこと
NetworkManager のデーモンが起動していませんでした。仮想マシン特有なのかどうかはわかりません。
[bitwalk@almalinux ~]$ sudo service NetworkManager status [sudo] bitwalk のパスワード: Redirecting to /bin/systemctl status NetworkManager.service ● NetworkManager.service - Network Manager Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/NetworkManager.service; enabled; ven> Active: inactive (dead) Docs: man:NetworkManager(8) [bitwalk@almalinux ~]$ sudo service NetworkManager start Redirecting to /bin/systemctl start NetworkManager.service [bitwalk@almalinux ~]$ sudo service NetworkManager status Redirecting to /bin/systemctl status NetworkManager.service ● NetworkManager.service - Network Manager Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/NetworkManager.service; enabled; ven> Active: active (running) since Wed 2021-02-03 19:05:13 JST; 5s ago Docs: man:NetworkManager(8) Main PID: 10714 (NetworkManager) Tasks: 4 (limit: 11238) Memory: 9.7M CGroup: /system.slice/NetworkManager.service └─10714 /usr/sbin/NetworkManager --no-daemon : :
CloudLinux OS について
CloudLinux OS は、CloudLinux, Inc.(以降、CloudLinux 社と呼びます)が開発し、共有ホスティングプロバイダ向けに販売されている Linux ディストリビューションです。CloudLinux OS は CentOS オペレーティングシステムをベースにしており、OpenVZ カーネルと rpm パッケージマネージャを使用しています。
CloudLinux のチームが CentOS に代わる RHEL クローンを開発するのは、CloudLinux OS が CentOS をベースにしていることが最大の理由なのでしょう。コミュニティベースの活動になるように公開されることはありがたいことです。
Rocky Linux と AlmaLinux のどちらを使うか?
CentOS に代わる RHEL 互換のコミュニティベースの OS に、Rocky Linux と AlmaLinux という選択肢ができたことは喜ばしいことです。
どちらを使うべきか?それは好みの問題かもしれませんが、個人的には、たとえコミュニティベースの OS でも、バックに企業がついている方を選ぶでしょう。AlmaLinux は、CloudLinux 社が展開する CloudLinux OS のベースとなる OS ですから、会社が存続する限り AlmaLinux も存続するし、CloudLinux 社の基盤技術の一部として積極的に維持されると期待できるからです。あくまでこれは個人的意見です。
将来、CloudLinux 社が IBM/Red Hat 社に買収されることになれば、AlmaLinux も CentOS のような運命を辿ることになるかもしれませんが、そのようなケースは今は考えたくありません。😜
雑感
唐突ですが、かつて五橋研究所が販売していた Red Hat Linux 互換の Laser5 Linux のことを思い出しました。振り返って考えると、オープンソースの世界を熟知したビジネス展開ができなかったなぁと人ごとのように思ってしまいます。
むかしむかし、Windows 95 や 98 が隆盛だった頃は、パソコンを売っている家電量販店で Linux のインストールメディアを買い求めていました。そのうち 日経 Linux などの専門誌にインストール用メディアが付録に付くようになりましたが、インターネットの普及に伴い、最近では ISO イメージを無料でダウンロードして、USB メモリに書き込んでインストーラにして使うことが当たり前になってしまいました。その結果、Linux の選択肢が広がって、あれもこれも試してみたくなるのが個人ユーザの性(さが)です。個人ユーザがわざわざ Red Hat 社からサブスクリプションを購入して、安定した OS を安全に使うという興味が薄れてしまいました。
Red Hat 社はそんな未来が見えていたのか、Red Hat Linux 9 [2003-03-31] を最後に、インストールメディアの販売を止めて、Red Hat Enterprise Linux を基盤とした、サブスクリプションによる技術サービスを提供するビジネスモデルへ切り替えてしまいました。そのとき、Red Hat Linux の後継がコミュニティベースの Fedora Core(現在の Fedora)とされ、渋々 Fedora Cire へ移行したことを覚えています。一個人としては不満でしたが、Red Hat 社のその後の発展を考えると、当時の経営判断は正しかったのだと、今は思うのです。
ちなみに Red Hat 社のサブスクリプション費用は、開発用途で Red Hat からのサポートが不要の場合、年間 99 ドルです [8]。
ありがたいことに、一年間の Red Hat Developer Subscription を無料でもらえたので、GNOME Boxes に Red Hat Enterprise Linux をインストールして評価用に使っています。無料のまま更新できるのかは不明です。
もし、エンタープライズ用途のパッケージ開発を生業にしていたら、必ずサブスクリプションを購入して開発し、動作環境の指定を付けることでしょう。しかし、自社で完結するサーバー環境を構築するぐらいであれば、同等レベルの安定性を期待できるクローン OS の使用で十分だと考えるのは、もっともなことのように思ってしまいます。
CloudLinux 社には、オープンソースのコミュニティと関わりながら、RHEL 9, 10 と続く製品のクローンを余裕でリリースできるぐらいの企業として今後も発展して欲しいです。
参考サイト
- AlmaLinux - Forever-Free Enterprise-Grade Operating System
- CloudLinuxが「CentOS」の代替目指すプロジェクト「Lenix」--年間100万ドル超投資へ - ZDNet Japan [2020-12-17]
- Introducing AlmaLinux Beta: A Community-Driven Replacement for CentOS – Almalinux Blog [2021-02-01]
- AlmaLinux, the CentOS Linux replacement, beta is out | ZDNet [2021-02-01]
- CloudLinux、「CentOS」の代替OS「AlmaLinux」ベータ版リリース - ZDNet Japan [2021-02-02]
- CloudLinux - About the Company
- My View - AlmaLinux Bug Tracker
- Buy Red Hat Enterprise Linux subscriptions
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