Fedora Linux は Red Hat 社が支援するコミュニティ Fedora Project で開発されている Linux ディストロです。このディストロは、最新の技術を積極的に取り込むことで知られています。Fedora Linux の開発成果は CentOS Stream に取り込まれます。ここでテストを経て最終的に Red Hat Enterprise Linux, RHEL へ反映されます。
Fedora Linux は、おおむね春と秋の年二回の頻度で新しい版がリリースされています。
3 月 26 日(現地時間)に、次期 Fedora Linux 40 のベータ版が公開されました [1]。
Fedora Linux のプロジェクトサイト
ダウンロードのページで "Show Beta downloads" のスイッチを ON にすると、ダウンロードする Fedora Linux 40 の ISO イメージが表示されます。
以下は、GNOME Boxes の仮想環境にインストールした Fedora Linux 40 prerelease 版のスクリーンショットです。
Fedora Linux 40 Workstation prerelease のデスクトップ画面
Fedora Linux 40 では、昨 2 月末にリリースされた KDE Plasma 6 が KDE Spin に収録されています。
Fedora Linux 40 KDE prerelease のデスクトップ画面
Fedora Linux 40 の ChangeSet
Fedora Linux 40 で予定されている変更点 (ChangeSet) は、参考サイト [2] にまとめられています。英文ですので、機械翻訳の助けを借りて、ざっくり日本語にしてみました。
システム全体の変更 | |
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Golang 1.22 | Go(golang パッケージ)を次期バージョン 1.22 に更新。 |
Enable IPv4 Address Conflict Detection by default | アドレスの競合を検出する RFC 5227(IPv4 Address Conflict Detection, ACD)がデフォルトで有効になります。IPv6 は RFC 4862 で規程されているように、設定された各アドレスに対して常に重複チェックを実行しています。 |
LLVM 18 | すべての llvm サブプロジェクトをバージョン 18 に更新。 |
Change Firefox desktop file | Firefox のデスクトップファイルを firefox.desktop から org.mozilla.firefox.desktop に変更して DBus/Gnome 検索プロバイダのルールに準拠させます。 |
Assign individual, stable MAC addresses for Wi-Fi connections | Wi-Fi 接続時に個別の MAC アドレスを割り当てるのに stable-ssid を採用、ネットワークの安定性を損なうことなくユーザーのプライバシーを強化。 |
Build Fedora Cloud Edition Images Using Kiwi in Koji | Fedora Cloud Edition イメージのビルドツールは、保守されていない ImageFactory から Kiwi に置き換えられます。 |
java-21-openjdk as the system JDK in F40 | Fedora のシステム JDK を java-17-openjdk から java-21-openjdk に更新。 |
Boost 1.83 upgrade | 最新の Boost 1.83 へ更新。 |
Build Fedora with DNF 5 | Mock (mock-core-configs)、Koji、Copr の Mock コンフィギュレーションを変更し、DNF 4 の代わりに DNF 5 をMockのパッケージ・マネージャーとして使用します。DNF 5 は Mock がパッケージのビルドのためにビルドの依存関係を chroots にインストールするのに使われます。この変更はビルドインフラストラクチャに関連しており、Fedora のデフォルトパッケージマネージャの変更とは異なります。 |
Enable systemd service hardening features for default system services | デフォルトのシステムサービスを分離してサンドボックス化する高レベルの systemd security hardening 設定のいくつかを有効にすることで、セキュリティを向上させます。 |
Changes/Linker Error On Security Issues | redhat-rpm-config パッケージの %{hardened_build} 機能を拡張し、既知のセキュリティ問題を 1 つ以上含む実行バイナリの作成する場合に、リンカがエラーメッセージを生成して失敗するようにしました。 |
389_Directory_Server_3.0.0 | 389-ds-base が バージョン 3.0.0 にアップグレードされました。新しく作成されたインスタンスは、デフォルトで BerkeleyDB の代わりに LDMB データベースを使用するようになりました。 |
Removing SSSD ‘files provider’ | "id_provider=files" を使用してローカルユーザー(/etc/passwd と /etc/group)を処理する SSSD 機能は、以前は非推奨であり、Fedora 38 で将来の削除がアナウンスされていました。今回 lexibleLocalUserCache の変更により、この機能はデフォルトで無効になりました。 |
DNF: Do not download filelists by default | デフォルトでファイルリストをダウンロードしないように DNF の動作を変更。各パッケージに含まれるすべてのファイルを記述するこれらのメタデータは、大半のユースケースでは不要で、さらに、これらのメタデータファイルはサイズが大きくなる可能性があり、ユーザーエクスペリエンスの大幅な低下を招くのを防ぐための措置。 |
Ruby 3.3 | Ruby 3.3 に更新。 |
Modernize Thread Building Blocks for Fedora 40 | Thread Building Blocks ライブラリーをバージョン 2020.3(2020年7月10日リリース)から現行バージョン 2021.8(2022年12月22日リリース)へ更新。 |
SPDX License Phase 3 | SPDX (Software Package Data Exchange) は、システムを構成するソフトウェアについての情報を収集して管理するためのデータ形式の標準の一つです。ソフトウェア部品表 (SBOM) の作成に用いられます。Fedora の rpm パッケージをビルドする SPEC ファイル内の License: フィールドの記載を SPDX 識別子への移行させる活動の第三フェーズ。 |
Removing OpenSSL 1.1 package | Fedora 40 から openssl11 パッケージは含まれません。 |
Changes/MinizipNGTransition | minizip から minizip-ng への移行。zlib パッケージの削除によって minizip-compat サブパッケージも削除されるため、Zlib 移行の変更と強く関連しています。 |
Changes/ZlibNGTransition | Zlib を Zlib-ng に置き換えます。Zlib-ng への移行は、既存のパッケージやライブラリとの互換性を確保しながら、Fedora の圧縮効率とパフォーマンスを強化することを目的としています。 |
KDE Plasma 6 | KDE Plasma 5 の後継バージョンの KDE Plasma 6 は Qt 6 と KDE Frameworks 6 をベースにしており、以前のバージョンと比較して多くの変更と改良が加えられています。Fedora Linux では、KDE Plasma 6 への移行に伴い X11 セッションのサポートを終了します。Plasma Wayland のみが唯一のデスクトップモードとして提供されます。 |
Drop Delta RPMs | 現在実装されている Delta RPM の欠点に対処することは実現不可能であると考えられ、またアップグレードのダウンロードサイズを正味で減らす結果にはならないことが多いため、DeltaRPM の生成を無効にすることと、dnf / dnf5 の deltarpm サポートをデフォルトで無効にします。 |
Switch pam_userdb from BerkeleyDB to GDBM | pam_userdb は BerkeleyDB から GDBM にデータベースに移行します。 |
GNU Toolchain Update (gcc 14.0, binutils 2.41, glibc 2.39, gdb 14.1) | GNU Toolchain を gcc 14.0、binutils 2.41、glibc 2.39、gdb 14.1 へ更新。 |
Changes/SQLAlchemy 2 | python-sqlalchemy パッケージをメジャーバージョン 2 にアップグレード。まだ新しい API を使っていないソフトウェアのために、互換性パッケージ python-sqlalchemy1.4 をディストリビューションに追加。 |
Build Fedora Workstation live ISO with Image Builder | Image Builder は、オペレーティングシステムのイメージをビルドするためのツール群です。Image Builder を使用して、Fedora Workstation ライブ ISO を作成できます。なお、Image Builder はすでに Fedora IoT の ISO と raw ディスクをビルドするために使用されています。 |
Deprecating libuser and removing passwd package from Fedora | libuser は、ユーザーとグループの情報を操作するためのライブラリーとコマンドラインユーティリティーを提供します。このライブラリの目的は、LDAP のユーザーと etc のファイル (passwd, groups...) の違いを隠すことです。LDAP のサポートは完全ではなく、機能を拡張する計画もありません。Fedora における LDAP の統合は、現在では SSSD によって行われています。 |
Build JDKs once, repack everywhere | これは、https://fedoraproject.org/wiki/MoveFedoraJDKsToBecomePortableJDKs の取り組みの最後のステップです。Fedora の JDK はすでにスタティックです。 |
Porting Fedora to Modern C | 1999 年に C 標準の新しい改訂が行われ、いくつかの後方互換機能が削除されました。しかし、GCC ではこれらの時代遅れの構文をデフォルトでまだ受け入れています。これらの構文のサポートはプログラマを混乱させ、将来のC標準の機能を実装する GCC の性能に潜在的に影響します。将来の GCC のバージョン(おそらく GCC 14)では、これらの古い言語構文のサポートをデフォルトで無効にすることが期待されています。本変更の目的は、Fedora がこの移行に備えることです。 |
自己完結している変更 | |
Changes/ArmMinimalImageOSBuild | osbuild で Arm 版最小イメージをビルド。 |
Fedora IoT Bootable Containers | Fedora IoT ユーザーのために 2 つの(ブート可能な)bootc コンテナを提供します。1 つはユーザーが Fedora IoT をベースとした最小バージョン、それと従来の Fedora IoT です。 |
ibus-anthy 1.5.16 | ibus-anthy の更新。 |
IBus 1.5.30 | IBus 1.5.30 へ更新。 |
IoT Simplified Provisioning | Fedora IoT システムをデプロイし設定するための、Simplified Provisioning と呼ばれる新しいツール。 |
Deprecate_ntlm_in_cyrus_sasl | NTLM は何年も前から非推奨とされており、時代遅れです。SASL メカニズムとしてのサポートは削除されるべきです。cyrus-sasl ではサポートされなくなったので、cyrus-sasl-ntlm サブパッケージは削除されます。 |
ROCm 6 Release | AMD ROCm™ 6.0は、AMD GPU の AI および HPC ワークロード性能向けに最適化された AMD のソフトウェアの最新リリースです。この最新リリースは、最新のフラッグシップ・データセンター GPU である AMD Instinct™ MI300 を有効にするだけでなく、前回の 5.x リリースで有効になった GPU を継続し、最近の GPU のほとんど/すべてを有効にします。 |
PyTorch Release | PyTorch を Fedora 向けにパッケージ化する目的は、このオープンソースの機械学習フレームワークに簡単にアクセスできるようにし、Fedora Linux のエコシステムの中でシームレスに統合できるようにすることです。PyTorch を Fedora リポジトリでパッケージ化されたソフトウェアとして提供することで、ユーザーはインストールとメンテナンスのプロセスを簡素化することができます。これにより、Fedora ユーザーにとっての PyTorch のアクセシビリティが向上し、開発者、研究者、愛好家がこの強力な機械学習フレームワークの機能を活用できる環境が醸成されます。さらに、PyTorch を Fedora 向けにパッケージ化することは、Fedora プラットフォーム上での機械学習分野における共同開発とイノベーションを促進することで、より広範なオープンソースコミュニティに貢献します。 |
Replace iotop with iotop-c | 10 年前にリリースされたバージョン 0.6 である iotop を廃止予定にし、活発にメンテナンスされている iotop-c へ置き換えます。 |
Move /var/run selinux-policy entries to /run | システム・ランタイム・ファイルの実際のパスは、10年ほど前に /var/run から /run に移動したが、それ以来、ポリシーは古いエントリを保持する方法で管理されており、実際のパスはファイル等価機能によって処理される一方で、更新は不正確なパスのまま行われている。このため、実際にどのパスを使うべきかわからず、システム管理者を混乱させたり、ユーザー空間のツールが正しく動作しなかったりすることがある。 |
Update Kubernetes to v1.29 in Rawhide | Kubernetes 1.28 を v1.29に更新。 |
Podman 5 | Podman 5 に更新。 |
Build Fedora IoT using rpm-ostree unified core | 上流の rpm-ostree の開発は、現在、"unified core" モードにフォーカスしており、将来的に以前のモードは非推奨になる予定です。Fedora IoT は、SilverBlue と Kinoite が Fedora 39 で変更した、この古い、まもなく非推奨となるモードを使用する最後の rpm-ostree ベースの Fedora エディションです。この変更により、IoT は Fedora の他の ostree ベースのエディションと揃うことになります。 |
Wget2 as wget | wget を wget2 に置き換えます。 |
Fedora Atomic Desktops | Fedora の rpm-ostree ベースのすべてのデスクトップの変種を Fedora Atomic Desktops の名前で再編成します。 |
F40 MariaDB & MySQL repackaging | 変更のほとんどは(すべてではないにせよ)、Fedora Change のような正式なプロセスは必要ないかもしれない小さな変更です。主に変更の可視性を高め、それらの情報を恒久的な文書として保存し、ユーザーとメンテナの両方が現在と将来の両方でこのページを見つけられるようにすることです。 |
PostgreSQL 16 | Fedora のデフォルトの PostgreSQL ストリーム(postgresql と libpq コンポーネント)のバージョン 15 からバージョン 16 への更新。 |
Update To Pydantic Version 2 | Python データ検証ライブラリ python-pydantic が 1.10.z から 2.y.z に更新されます。 |
Switch bogofilter to use SQLite | bogofilter のデータベースエンジンを Berkeley DB (libdb) から SQLite へ変更。 |
Passim Peer-to-Peer Metadata | Passim は、特定の共有メタデータをローカルネットワーク上の他のクライアントにブロードキャストし、インターネットからダウンロードされる重複データの量を削減するローカルキャッシュサーバーです。 |
PHP 8.3 | 最新のバージョン 8.3.x に更新。 |
Restructure Kubernetes Packages | Fedora の Kubernetes パッケージについて、新しい(サブ)パッケージ名または改訂されたパッケージ名が提案されています。新しい名前は、Kubernetes をアップストリームで文書化されている現在の使用法とよりよく整合させ、パッケージの内容を現在の Fedora のプラクティスと標準に整合させます。 |
Revitalize Forge Macros | これまで、forge マクロは redhat-rpm-config の一部でした。これを新しい forge-srpm-macros パッケージに分割します。より多くのテストカバレッジを追加し、新しい %forgeversion マクロを追加して、スナップショット情報を Release ではなく Version に追加できるようにします。 |
Unified Kernel Support Phase 2 | Fedora の "Unified Kernel" のサポートを改善。 |
Enable bootupd for Fedora Silverblue & Kinoite | 設計上、ostree はブートローダの更新を管理しません。この問題を解決するために、bootupd (https://github.com/coreos/bootupd) が作成されました。 bootupd は小さなソケット起動プログラムで、ブートローダの更新を行います。現在のところ、EFI ブートシステムと rpm-ostree ベースのシステムのみをサポートしています。アップデートは管理者がトリガーし、安全上の理由から自動化されていません。この変更は、ブートローダーの更新を簡単にするために、Fedora Silverblue と Fedora Kinoite で bootupd の統合を可能にするものです。 |
Retire python3.7 | python3.7 パッケージは Fedora Linux 40 では置き換えられることなく引退します。Python 3.7 は 2023 年 6 月に EOL (End of Life) となり、Debian 10 "Buster" LTS をターゲットとしたソフトウェアのテスト用にのみ残されます。Fedora 39 (Python 3.7 を含む最後のもの) は 2024-11-12 に EOL になる予定です。 |
参考サイト
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