2021-10-30

Debian に思う

Debian プロジェクトは、Debian フリーソフトウェアガイドライン (Debian Free Software Guideline, DFSG) に適合するフリーなソフトウェアをディストリビューションに収録していて、GNU プロジェクトのプロダクトを積極的に採用しています。GNU プロジェクトの精神を尊重していることから、Linux ディストリビューションを Debian GNU/Linux と呼んでいます。

1993 年に Ian Ashley Murdock 氏によって立ち上げられたこのディストリビューションは、Slackware に次ぐ歴史あるディストリビューションです。

Wikipwdia より引用、編集

8 月 14 日にリリースされた Debian 11 "bullseye"(ブルズアイ)は、約 2 年ぶりの安定版リリースです [1]。Ubuntu や Fedora Linux といった他の著名なディストリビューションと異なり、明確にリリース間隔が定められてはいませんが、近年は概ね 2 年毎にリリースされています。

テスト機に Debian 11.1 (debian-11.1.0-amd64-netinst.iso) をインストールして使ってみているので、感想をまとめました。

WiFi の設定に戸惑う

Ubuntu や Fedora Linux などのインストールに慣れているせいでしょうか、WiFi の設定に戸惑いました。仮想環境にインストールする時には気にしなくとも良いのですが、実機にネットインストールする場合に直面する問題です。一気にデスクトップ環境までインストールしたかったので、Ethernet(有線LAN RJ45)⇒ USB Type A へ変換するアダプタを挿入して、有線ネットワークがつながっている環境でインストールしました。

Debian プロジェクトは、利便さを犠牲にしても、フリーなソフトウェアだけを収録するという精神を忠実に守っているわけです。だからといって、フリーでないソフトウェアを使う自由もユーザにはあります。設定をしなければならないのは少々面倒ですが…。何が正解かという答えがあるわけではありませんが、インストールのし易さを追求している他のディストリビューションとは対象的です。

テスト機では、下記のように /etc/apt/sources.list に記載されている、インストールできるパッケージのリポジトリに contrib non-free を追加して、パッケージをインストール、再起動するだけで WiFi を利用できるようになりましたが、機種によってはインストールするべきパッケージが異なります。

/etc/apt/sources.list
# deb cdrom:[Debian GNU/Linux 11.1.0 _Bullseye_ - Official amd64 NETINST 20211009-10:07]/ bullseye main

deb http://deb.debian.org/debian/ bullseye main contrib non-free
deb-src http://deb.debian.org/debian/ bullseye main contrib non-free

deb http://security.debian.org/debian-security bullseye-security main contrib non-free
deb-src http://security.debian.org/debian-security bullseye-security main contrib non-free

# bullseye-updates, to get updates before a point release is made;
# see https://www.debian.org/doc/manuals/debian-reference/ch02.en.html#_updates_and_backports
deb http://deb.debian.org/debian/ bullseye-updates main contrib non-free
deb-src http://deb.debian.org/debian/ bullseye-updates main contrib non-free

# This system was installed using small removable media
# (e.g. netinst, live or single CD). The matching "deb cdrom"
# entries were disabled at the end of the installation process.
# For information about how to configure apt package sources,
# see the sources.list(5) manual.
root@debian:/home/bitwalk# apt update
...
...
root@debian:/home/bitwalk# apt install firmware-iwlwifi
...
...

インストール時、デスクトップ環境は GNOME (3.38.5) を選択しました。

インストールした Debian 11 (GNOME) のデスクトップ画面

sudoer になる

Debian では、設定をしなければ sudo コマンドを利用できません。

bitwalk@debian:~$ sudo apt update
[sudo] password for bitwalk:
bitwalk は sudoers ファイル内にありません。この事象は記録・報告されます。
bitwalk@debian:~$

sudo グループに自分のアカウントを所属させれば、sudo コマンドを利用することができます。

bitwalk@debian:~$ su
パスワード:
root@debian:/home/bitwalk# /sbin/adduser bitwalk sudo
ユーザ `bitwalk' をグループ `sudo' に追加しています...
ユーザ bitwalk をグループ sudo に追加
完了。
root@debian:/home/bitwalk# exit
bitwalk@debian:~$ 

一旦ログアウトして、ログインし直します。

bitwalk@debian:~$ sudo apt update
[sudo] bitwalk のパスワード:
ヒット:1 http://security.debian.org/debian-security bullseye-security InRelease
ヒット:2 http://deb.debian.org/debian bullseye InRelease
ヒット:3 http://deb.debian.org/debian bullseye-updates InRelease
ヒット:4 http://dl.google.com/linux/chrome/deb stable InRelease
パッケージリストを読み込んでいます... 完了
依存関係ツリーを作成しています... 完了
状態情報を読み取っています... 完了        
パッケージはすべて最新です。
bitwalk@debian:~$ 

sudo コマンドを利用できるようになったことが確認できました。

ちなみに、ここでは adduser コマンドを使いましたが、多くのサイトの説明では gpasswd コマンドを使っています。使い方はこんな感じです。

root@debian:/home/bitwalk# gpasswd -a bitwalk sudo

日本語入力は Mozc

インストール時に日本語環境を選択すると、日本語入力に Mozc がすぐに利用できるようになります。

GNOME の「設定」 → 「地域と言語」

Debian は…

Debian のインストーラは、他のディストリビューションと比べると冗長ではあるものの、それでも簡単ではあります。インストール後にさらに設定しなければならないことがあっても、それは Linux を使っているユーザにとっては、そんなに難しいことではありません。

ずいぶん昔のことになりますが、はじめて Slackware をインストールした時は、膨大な設定をするのが当たり前でした。その後、Red Hat Linux 3 (Picasso) に乗り換えたあと、インストーラがどんどん進化して、そのうち、自分では何も設定しなくなってしまいました。嘘です。でも、設定しなければならないことが激減したことは事実です。

Debian のインストーラだって基本的な設定をしてくれるのですが、WiFi の設定のようないまどき必須の設定部分がカバーされていないので、Linux を使い始めようとするユーザーからは敬遠されるのではないでしょうか。なんだか損をしている気がします。

参考サイト [3] Top 9 Best Linux Distributions for Beginners [2021](初心者のためのベストLinuxディストリビューション トップ 9, 2021 年版)によると、主な選定基準は、インストールのしやすさ、すぐに使えるハードウェアのサポート、使いやすさ、ソフトウェアパッケージの入手のしやすさ、とあります。このすぐに使えるハードウェアのサポートが重要なのですが、ハードウェアのドライバがオープンソースかどうかはベンダーに依存しますので、Debian にとっては難しいところです。ちなみに、このサイトで取り上げられているほとんどが Debian/Ubuntu 由来のディストリビューションです。

入念なリリースステップ

Debian は下記のようなリリースステップを経て、安定版がリリースされます。

  1. 実験版 (experimental)
  2. 不安定版 (unstable, sid)
  3. テスト版 (testing)
  4. 安定版 (stable)

自分は最新の技術を積極的に取り込んでいると言われる Fedora Linux をメインに使っていますが、Debian で相当の最新パッケージを利用したければ、不安定版に切り替えれば良いでしょう。

Debian 不安定版 (GNOME 41.0)

不安定版というと響きが悪いのですが、二週間ほど使っている限りにおいては、動作が不安定になるというところはありませんでした。

参考サイト

  1. Debian -- News -- Debian 11 "bullseye" released [2021-08-14]
  2. Debianで無線LANに接続する | クロの思考ノート [2014-06-23]
  3. Top 9 Best Linux Distributions for Beginners [2021] [2021-03-25]

 

 

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