2020-12-19

Oracle Linux は CentOS の代替になれるか

Oracle Linux は Oracle 社が配布している Red Hat Enterprise Linux (RHEL) をベースとした Linux ディストリビューション(RHEL クローン)の一つです。2007 年に RHEL 4.5 への対応から始まった Oracle Linux(当時の名称は Oracle Unbreakable Linux → Oracle Enterprise Linux)は、ゆうに 10 年を超える実績があります。

Oracle Linux は i686 と x86-64 アーキテクチャに対応しており、Red Hat Compatible Kernel (RHCK) と、Oracle 製品に最適化した Unbreakable Enterprise Kernel (UEK) の二種類のカーネルを選択できます。また、CentOS などとは異なり、デスクトップ向けのアプリケーションは標準ではインストールされないため、デスクトップ用途で利用する場合は、必要なパッケージを手動でインストールする必要があります。

Red Hat 社による有償ディストリビューションの RHELと、RHEL をベースにし RHEL との互換環境を無償で実現しようとする CentOS などのディストリビューションの間を埋める製品として、RHEL と同じバージョンや操作は必要だが安価なサポートを求める企業などを対象にしているそうです。

Wikipedia より引用、編集
Oracle Linux Server 8.3 のデスクトップ画面

CentOS 8 の開発が 2021 年に開発を終了し、CentOS Stream へ開発をシフトすることが、CentOS プロジェクトからアナウンスされました [1]。プロジェクトが推奨する CentOS から CentOS Stream への移行以外に、同様な RHEL クローンである Oracle Linux へ移行するという選択もありそうです。

本記事では そんな Oracle Linux 8 について調べたことを簡単に紹介します。

Oracle Linux の入手

Oracle Linux のインストール・メディア(ISO イメージ)は、下記 Oracle Software Delivery Cloud から無償で入手できます。

無償ではありますが、サイトに入るにはオラクルのアカウント(無料で登録可能)が必要になります。

Oracle 社の製品のダウンロードサイト

ダウンロードに至る前の途中のページを省略しますが、Oracle Linux のインストールメディアをインストールするページでは四種類の ISO イメージを選択できます。(Oracle Linux 8.3 の場合)インストールだけなら三番目の □ V1004253-01.iso Oracle Linux Release 8 Update 3 for x86 (64 bit), 8.6 GB をクリックしてダウンロードします。

Oracle Linux インストールメディアのダウンロード

インストールは、CentOS と同じですので省略しますが、一点、大きな違いがあります。

起動時の grub メニュー画面

本記事の冒頭で触れたように Oracle Linux では、Red Hat Compatible Kernel (RHCK) と Unbreakable Enterprise Kernel (UEK) の二種類のカーネルを選択できます。UEK の方のバージョンが新しいのですが、これは RHEL のカーネルのバージョンとは異なります。さらに上図のように grub メニューではデフォルトで UEK が起動するようになっています。

Oracle Linux はコミュニティベースのプロジェクトではありませんが、そういうことを気にしないのであれば試してみる価値はありそうです。特に Oracle 社のソフトウェアを併せて利用する場合には、有償・無償に関係なく良い選択肢になるかもしれません。

サポートが必要であれば下記のサイトからサービスの価格を確認することができます。

Oracle Linux を十分使い込んでいないので断言はできませんが、CentOS から Oracle Linux へ移行するのは難しいことではないでしょう。ただ、中身がほとんど同じであっても、RHEL のノーブランドである CentOS から Oracle ブランドの OS に移行したという印象が強く、文化の違いみたいな差を感じてしまいます。正直なところ、個人ユーザーでコミュニティの雑多な情報の方が好きな方は、従来の CentOS の更新スタイルから変更になることを受け入れ CentOS Stream への移行を検討する方が良いかもしれないと思います。

企業で CentOS を利用していることもあるでしょう。その場合、Oracle Linux への移行を現実的な選択肢のひとつと考えて評価を始めるのもアリだと思います。もっとも、コミュニティベースでフリーな OS を採用するぐらいですから、当然、コミュニティによる開発の継続性についてリスク評価をした上で BCP を立てていることでしょう。

参考サイト

  1. CentOSが開発方針を変更ーー「CentOS 8」は2021年終了、今後は「CentOS Stream」に注力 | OSDN Magazine [2020-12-09]
  2. CentOS 8 を Oracle Linux 8 に切り替える - NO LIMIT Is. はてな支部'
  3. GitHub - oracle/centos2ol: Script and documentation to switch CentOS Linux to Oracle Linux
  4. Switching from CentOS to Oracle Linux: a hands-on example | Simon Coter Blog [2020-12-15]
  5. Rocky Linux

 

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