2020-12-30

Microsoft の Linux アプリ

2014 年に Satya Nadella 氏が Microsoft Corp.(以下 Microsoft 社)の CEO に就任して約 6 年が経ちました [1]。その後の変革をつまびらかに語れるほど Microsoft 社の歴史に精通してはいませんが、例えば Winodws 10 で、Windows as a Service (WaaS) というコンセプトが導入されたことは変革の一つと言えるでしょう [2][3]。また、Linux との距離が縮まったことも特徴的なことだと思います [4]

参考サイト [4] から転載

Linux に限らず、Github の買収のように、コミュニティによるオープンソースのソフトウェア開発のアプローチに Microsoft 社は歩み寄ろうとしているように見えます [5]

本ブログ記事では、Linux 上で動作する Microsoft のアプリを幾つか紹介します。

下記の OS 環境で動作確認をしていますが、Flatpak でアプリが利用出来れば、そちらを優先して紹介します。

Fedora 33 (Workstation Edition) x86_64

OUTLINE

Visual Studio Code

Visual Studio Code は Microsoft 社が開発した Windows, Linux, macOS 用のソースコードエディタです。デバッグ、埋め込み Git コントロールと GitHub、シンタックスハイライト、インテリジェントなコード補完 、スニペット、コードリファクタリングのサポートが含まれます。カスタマイズ性が高く、テーマやキーボードショートカット、環境設定を変更できたり、機能を追加する拡張機能をインストールすることができます。フリーなオープンソースで、MIT ライセンスの下でリリースされています。

Wikipedia から引用、編集

入手方法

GNOME ソフトウェアで Flathub から Flatpak パッケージをインストールできます。

GNOME ソフトウェアから Visual Studio Code を入手

使用例

メニューなどは英語表記ですが、日本語の入力は問題ないので、Windows 上で使うのと同じ感覚で使用できます。

Visual Studio Code の使用例

Visual Studio Code は Windows 上でも UTF-8 のエンコードを普通に扱えるので、Windows と Linux 共通で使える高機能なエディタとして重宝しています。

Microsoft Teams

Microsoft Teams は、Microsoft 社が Windows, macOS, Linux, iOS 及び Android 向けに開発・提供しているコラボレーションプラットフォームです。Microsoft 365 アプリケーションの一部です。

Wikipedia から引用、編集

入手方法

GNOME ソフトウェアで Flathub から Flatpak パッケージをインストールできます。本ブログを書いている時点では Linux 向けの Microsoft Teams はプレビュー版です。

GNOME ソフトウェアから Microsoft Teams を入手

使用例

会社では Skype から Teams へ最近になって本格的に切り替わったばかりなので、Windows 上でも Teams の使い方についての経験値が高くなく、Skype を使ったオンライン会議と同等な使い方を Teams でしている程度です。Linux でも Teams を使えるのは選択肢としてはありがたいのですが、個人ユースではあまり使っていません。

Microsoft Teams の使用例

ちなみに(Microsoft 社に買収された)Skype も Flatpak パッケージで利用できます。すくなくとも、ビジネス用途で利用されてきた Skype for Business online はサポートを終了し Microsoft Teams へ移行していくようです [6]。個人で利用する Skype が今後どうなるのか判らないのですが、Microsoft Teams が利用できるようになっているので、Skype の説明は割愛します。

Microsoft Edge

Microsoft Edge は、Microsoft 社が Chromium をベースに開発したウェブブラウザです。

Wikipedia から引用、編集

入手方法

Linux 向け Microsoft Edge はまだ開発中で、まもなくβ版リリースされるようです。下記のサイトから deb あるいは rpm パッケージをダウンロード、インストールして利用します。

 
Linux 向け Microsoft Edge のダウンロードサイト

使用例

普段は Google Chrome を使っているので、同じレンダリングエンジン Blink が使われている Edge をわざわざ使う必要は無いと思われますが、企業が Microsoft 社のソフトウェアで IT インフラ基盤を固めている場合、OS に関係なく Edge が利用できれば、それなりのメリットはありそうです。

Microsoft Edge の使用例

現在、Linux 向けの Edge は開発版で、マイクロソフトアカウントへのサインイン、プロファイルの同期ができませんでした。

サインイン時のメッセージ

ちなみに、インストールした Edge パッケージの中身を確認すると下記のようになっています。

[bitwalk@fedora-pc ~]$ rpm -ql microsoft-edge-dev
/etc/cron.daily/microsoft-edge-dev
/opt/microsoft/msedge-dev
/opt/microsoft/msedge-dev/MEIPreload
/opt/microsoft/msedge-dev/MEIPreload/manifest.json
/opt/microsoft/msedge-dev/MEIPreload/preloaded_data.pb
/opt/microsoft/msedge-dev/WidevineCdm
/opt/microsoft/msedge-dev/WidevineCdm/_platform_specific
/opt/microsoft/msedge-dev/WidevineCdm/_platform_specific/linux_x64
/opt/microsoft/msedge-dev/WidevineCdm/_platform_specific/linux_x64/libwidevinecdm.so
/opt/microsoft/msedge-dev/WidevineCdm/manifest.json
/opt/microsoft/msedge-dev/crashpad_handler
/opt/microsoft/msedge-dev/default-app-block
/opt/microsoft/msedge-dev/icudtl.dat
/opt/microsoft/msedge-dev/libEGL.so
/opt/microsoft/msedge-dev/libGLESv2.so
/opt/microsoft/msedge-dev/liblearning_tools.so
/opt/microsoft/msedge-dev/libmicrosoft_apis.so
/opt/microsoft/msedge-dev/liboneds.so
/opt/microsoft/msedge-dev/libsmartscreen.so
/opt/microsoft/msedge-dev/libtelclient.so
/opt/microsoft/msedge-dev/locales
...
(途中省略)
...
/opt/microsoft/msedge-dev/xdg-settings
/usr/bin/microsoft-edge
/usr/bin/microsoft-edge-dev
/usr/share/appdata/microsoft-edge-dev.appdata.xml
/usr/share/applications/microsoft-edge-dev.desktop
/usr/share/gnome-control-center/default-apps/microsoft-edge-dev.xml
/usr/share/man/man1/microsoft-edge-dev.1.gz
[bitwalk@fedora-pc ~]$ 

Google Chrome の構成と良く似た、Linux 用にビルドされたフツーのアプリケーションに見えます。

PowerShell

PowerShell は、Microsoft 社が開発した拡張可能なコマンドラインインターフェイス (CLI) シェルおよびスクリプト言語です。オブジェクト指向に基づいて設計されており、.NET Core を基盤としています。

Wikipedia から引用、編集

入手方法

下記、PowerShell のプロジェクトサイト (Github) から、Windows, macOS, Linux 向けのパッケージが LTS / stable / preview 別にダウンロードできるようになっています。

 
PowerShell のプロジェクトサイト

自分が使っている Fedora には、stable 版の powershell-7.1.0-1.rhel.7.x86_64.rpm をダウンロードして使っています。

端末エミュレータを起動して、pwsh とタイプすれば PowerShell が起動します。

[bitwalk@fedora-pc ~]$ pwsh
PowerShell 7.1.0
Copyright (c) Microsoft Corporation.

https://aka.ms/powershell
Type 'help' to get help.

PS /home/bitwalk> 

デスクトップアプリケーションとして登録

GNOME 端末のプロファイルに PowerShell 用のプロファイルを登録して、デスクトップファイルを作成して GNOME のアプリ一覧から PowerShell を直接起動できるようにしています。

GNOME 端末のプロファイルを PowerShell 用に準備

PowerShell 用のデスクトップファイルは、下記に用意します。

~/.local/share/applications/powershell.desktop
[Desktop Entry]
Encoding=UTF-8
Name=PowerShell
Comment=PowerShell Terminal
Exec=gnome-terminal --profile=PowerShell
Icon=PowerShell
Keywords=shell;prompt;command;commandline;cmd;PowerShell;
Type=Applications
Categories=GNOME;GTK;System;TerminalEmulator;
Version=1.0
Type=Application

PowerShell のアイコンは、下記サイトから PowerShell.svg をダウンロードして、~/.local/share/icons/hicolor/scalable/apps/ に保存しました。

 

自分の場合、GNOME のアプリ一覧でマイクロソフト関係のアプリをひとつにまとめています。PowerShell のアイコンも一緒にしています。

GNOME デスクトップのアプリ一覧

PpowerShell のアイコンをクリックすると GNOME 端末が開き、PowerShell のプロファイルが読み込まれて PopwerShell を利用できます。

PowerShell の実行例

ちなみに、インストールした PowerShell パッケージの中身を確認すると下記のようになっています。

[bitwalk@fedora-pc ~]$ rpm -ql powershell
/opt/microsoft/powershell/7/LICENSE.txt
/opt/microsoft/powershell/7/Markdig.Signed.dll
/opt/microsoft/powershell/7/Microsoft.ApplicationInsights.dll
/opt/microsoft/powershell/7/Microsoft.CSharp.dll
...
(途中省略)
...
/opt/microsoft/powershell/7/zh-Hans/Microsoft.CodeAnalysis.resources.dll
/opt/microsoft/powershell/7/zh-Hant/Microsoft.CodeAnalysis.CSharp.resources.dll
/opt/microsoft/powershell/7/zh-Hant/Microsoft.CodeAnalysis.resources.dll
/usr/bin/pwsh
/usr/local/share/man/man1/pwsh.1.gz
[bitwalk@fedora-pc ~]$ 

Mictosoft Edge の場合と異なり、PowerShell は C# でコンパイルされており、ライブラリの拡張子は .dll です。実行ファイルの /usr/bin/pwsh はさすがに拡張子 .exe が付いていません。

まとめ

Windows がデスクトップ PC 用 OS のデファクトスタンダードになって久しいですが、Microsoft 社のアプリケーションの方は OS に依存しないクロスプラットフォーム対応へじわりと軸足を移しているように思えます。参考サイト [7] にあるように、そろそろ特定の Linux ディストリビューションを対象にした Office スイーツの正式サポートがあるのかもしれません。

Microsoft 365 online apps を使えば、OS に関係なくブラウザ上で Office 文書の編集作業のかなりの部分ができるようになりましたが、それでもデスクトップアプリと全く同じにはいきません。

参考サイト

  1. Microsoftの新CEOはサトヤ・ナデラ氏 ゲイツ会長は退任してCEOのサポート役に - ITmedia NEWS [2014-02-05]
  2. Windows as a Service: サービスモデルがわかりやすくシンプルに - Windows Blog for Japan [2017-08-04]
  3. サービスとしての Windows の概要 (Windows 10) - Windows Deployment | Microsoft Docs [2020-09-30]
  4. Microsoft Loves Linux - Windows Server Blog
  5. マイクロソフト、GitHubの買収を完了 - ZDNet Japan [2018-10-29]
  6. Skype for Business Online のサポート終了 - Microsoft Teams | Microsoft Docs [2020-12-18]
  7. 2020年5月8日 “Very Usable”―Ubuntu開発者がチラ見せした「MS Office on Ubuntu」のナゾ:Linux Daily Topics|gihyo.jp … 技術評論社

 

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