インターネット・キオスク (Internet kiosk) は、街頭あるいは駅・空港・ホテル・商業施設などの公衆の場に設置されているインターネット接続のための情報端末です。電子キオスクまたはキオスク端末(kiosk terminal)の一種で、パーソナルコンピュータ(パソコン)とは異なり用途はほぼウェブ閲覧に限定されます。
Porteus Kiosk はそんな専用端末を実現できる Linux ディストリビューションです。
OUTLINE
Porteus Kiosk とは
Porteus Kiosk は、無料で使用できる軽量な Linux OS です。ポーランドにある Porteus Solutions 社によって開発されています。
Porteus Kiosk が起動すると、自動的に Firefox(または Google Chrome)ブラウザが起動し、選択したホームページが表示されます。履歴は保存されず、パスワードも保存されず、多くのメニュー項目はセキュリティのために無効にされています。ブラウザを再起動すると、すべてのキャッシュはクリアされ、履歴の痕跡が残らないようにクリーンなセッションで自動的に開きます。
用途
Porteus Kiosk はデスクトップ環境用ではなく、以下のような専業用途が想定されています。
- インターネットキオスク
- 学校、図書館、カフェ、ホテル、オフィス、観光センターなどで利用するインターネットキオスクや、公共利用向け Web 端末
- デジタルサイネージ
- 情報、広告、写真、ストリーミングビデオを表示するために利用
- ディスクレスのワークステーション
- カスタマーサポートセンターなど、ブラウザを主な作業ツールとして使用している企業では、ネットワーク経由で起動するディスクレスのワークステーションとして利用することもできます。
Porteus Kiosk のカスタマイズの方法 [1] は開示されていますが、Porteus Solutions 社によるカスタムビルド、自動アップデート、ソフトウェアのアップグレードなどの商用サービスも用意されています。
インストール
Porteus Kiosk のサイト [2] にある Download now をクリックしてダウンロードした、下記の iso ファイルをインストールに使用しました。
Porteus-Kiosk-5.1.0-x86_64.iso |
インストールはシンプルかつ詳細です。デスクトップ環境用 Linux と異なり、インストール後に追加設定できる余地を残すようなコンセプトではありません。
GNOME Boxes 上の仮想環境にインストールしました。
ネットワークの設定とブラウザの選択
まずネットワークの設定をします。ここでは有線ネットワークを選択しています。オススメのブラウザは Firefox で、Google Chrome では一部使えない機能があるということなので、ここでは Firefox を選択しています。
設定
Kiosk Wizard を起動して、Porteus Kiosk の詳細設定をします。
詳細に設定を設定できますが、Firefox の設定をはじめ、数多くあります。ここでは起動後に開くブラウザのホームページの設定と、日本語フォントを含む追加フォントの設定の二つに留めます。
Homepage
Porteus Kiosk を起動した後に開く Firefox が表示するサイトを設定します。ここでは例として、YouYube のページ (https://www,youtube.com) が表示されるように設定しました。
Additional fonts
Additional fonts(追加フォント)を有効にして日本語フォントを利用出来るようにします。
設定の確認
ここまでのインストール設定の内容一覧が表示されます。
Automatic updates
Porteus Kiosk を無料で利用する場合、自動アップデートのサービスを利用できません。しかし一ヶ月間、サービスを試用できます。試用後は再インストールが必要となり、本番環境で継続的な自動アップデートのサービスを利用するには、有料のサブスクリプションに登録する必要があります [3]。
インストール先の選択とインストール
フォーマットオプションを選択後、インストール先のストレージをを選択して Install system をクリックすると、ストレージのフォーマットとインストールが始まります。インストール後、再起動されます。
インストール後の再起動
インストールメディアを取り外して、再起動後に設定どおりにサイトが表示されることを確認します。
シャットダウンは、シャットダウンのメニューが無いので、電源ボタンオフ(長押し)です。
気付いた点
日本語のキーボードレイアウトが選択できなかったことが残念です。カスタマイズできるのかもしれませんが未調査です。
柔軟にカスタマイズができるらしい
参考サイト [1] によると、Porteus Kiosk のカスタマイズは、ダウンロードした iso ファイルをマウントして、中身を別フォルダーにコピー、モジュールを追加して、dd コマンドで iso ファイルを新たに作成するという手順になります。カスタマイズの実際は、ニーズがあれば機会をあらためてまとめます。
iso ファイルのマウントは下記のようにします。
[bitwalk@fedora-pc kiosk]$ sudo mount -o loop Porteus-Kiosk-5.1.0-x86_64.iso /home/bitwalk/Projects/kiosk/cdrom mount: /home/bitwalk/Projects/kiosk/cdrom: 警告: ソースは書き込み禁止です、読み込み専用でマウントします. [bitwalk@fedora-pc kiosk]$ ls cdrom boot docs make_iso.sh xzm [bitwalk@fedora-pc kiosk]$ ls cdrom/xzm 000-kernel.xzm 001-core.xzm 003-settings.xzm 004-wifi.xzm [bitwalk@fedora-pc kiosk]$
Porteus Kiosk のインストールは、.xzm の拡張子のファイル(モジュール単位)で管理されているようです。unsquashfs コマンドで展開できます。例えば 001-core.xzm を展開すると、squashfs-root というディレクトリ内に展開されます。
[bitwalk@fedora-pc kiosk]$ ls cdrom/xzm/001-core.xzm cdrom/xzm/001-core.xzm [bitwalk@fedora-pc kiosk]$ unsquashfs cdrom/xzm/001-core.xzm Parallel unsquashfs: Using 8 processors 5192 inodes (5702 blocks) to write [=============================================================|] 5702/5702 100% created 4282 files created 284 directories created 689 symlinks created 0 devices created 0 fifos created 0 sockets [bitwalk@fedora-pc kiosk]$ ls Porteus-Kiosk-5.1.0-x86_64.iso cdrom squashfs-root [bitwalk@fedora-pc kiosk]$ ls squashfs-root bin etc lib64 sbin usr [bitwalk@fedora-pc kiosk]$ ls squashfs-root/usr bin lib64 libexec sbin share [bitwalk@fedora-pc kiosk]$ ls squashfs-root/usr/bin X fbv mcookie vncpasswd Xorg feh mcview volumeicon alsamixer free mkisofs wget alsaucm fromdos ntfs-3g wmctrl amixer gio-launch-desktop obxprop xcompmgr aplay glxinfo openbox xdotool apulse gsimplecal openbox-session xev arecord gtf openssl xinit c_rehash gtkdialog pactester xinput certutil hhpc ripples xinput_calibrator conky hsetroot rsync xkbcomp crontab hxselect sensors xlock curl imlib2_grab setxkbmap xmodmap cvt imlib2_view sshpass xprintidle dbus-daemon iptables-xml stunnel xrandr dbus-launch isohybrid synclient xset dbus-send logger tiff2pdf xvkbd dbus-uuidgen logrotate tint2 yad dunst mc top dunstify mcdiff usb-devices eglinfo mcedit vainfo [bitwalk@fedora-pc kiosk]$
まとめ
項目 | 説明 |
---|---|
ディストリビューション | Porteus Kiosk |
プロジェクトサイト | https://porteus-kiosk.org/ |
デスクトップ環境 | インターネットブラウザ Firefox または Google Chrome |
対応プラットフォーム | x86_64 |
パッケージ管理 | xzm |
日本語入力 | 未調査 |
寸評 |
対応プラットフォームが x86_64 のみなので、インターネットキオスク用に安い Windows タブレットを探してデモ機にして評価したいと思い、Amazon.jp を物色しましたが、今時の廉価帯のタブレットはすっかり Android に市場を奪われており、プラットフォームは x84_64 ですらありませんでした。 インターネットキオスクの用途はいろいろあると思いますが、個人ユースの場合、残念ながらわざわざ Windows PC に Linux をインストールするだけの動機を持ちにくいでしょう。某回転寿司店の注文用のタブレットは Windows だったのを何かの拍子に知りましたが、スーパーマーケットや家電量販店に置いてある商品紹介用の小さな液晶端末は OS に何を使っているのかとても気になります。 |
参考サイト
- Manual kiosk customization
- Porteus Kiosk - free and open source kiosk software for web terminals.
- Automatic updates
- Modules
- Index of /public/5.1
にほんブログ村
0 件のコメント:
コメントを投稿