2021-09-25

Fedora Kinoite を試してみた

Fedora Kinoite は、Fedora Silverbule のデスクトップ環境 GNOMEKDE Plasma に変更したスピンです。10 月 19 日に予定されている次期 Fedora 35 のリリースで、正式に公開される予定です。ちなみに Kinoite は青い鉱物で日本ではキノ石と呼ばれています。

Fedora Silverblue とは

Fedora Silverblue はデスクトップ用途の immutable(不変)な OS です。Atomic Host Workstation → Fedora Atomic Workstation と名前を変え、Fedora 29 から Silverblue にブランド名が変更されました。OS は、rpm-ostree で生成されたイメージを使用しています。一方、GUI を伴うデスクトップアプリケーションの管理には Flatpak が採用されています。

Fedora Silverblue は本ブログで何回か取り上げていますが [1]、Kinoite の KDE Plasma のデスクトップ環境を試してみたくなり、Fedora Linux の開発版の位置づけの Fedora Rawhide の下記サイトから ISO イメージをダウンロードして、テスト機にインストールしてみました。

なんと、もう Fedora Linux 36 になっています。😮

Fedora Kinoite(プレリリース版)のデスクトップ画面

Fedora 35 の開発スケジュール [2] を見ると、Rawhide の Fedora Linux 36 の開発ブランチは 8 月 10 日に作られていますから、まあ当然ではあります。

はじめて Knoite を試して、既に Fedora Linux 36 になっているのは、なんだか乗り遅れた感がありますが、Fedora Kinoite 35 がリリースされれば、あらためてインストールをし直すことでしょう。😅

KDE Plasma は使い慣れていないので、評価の度に試行錯誤する必要があります。注目は、immutable(不変)なデスクトップ用途の OS である Fedora Silverblue(GNOME デスクトップ環境)に、正式なスピンとして KDE Plasma を採用した Knoite が加わったことです。

従来の rpm 形式によるパッケージ単位での管理から、OSTree (rpm-ostree) で OS 全体をひとつのイメージのように管理、デスクトップ・アプリケーションを Flatpak で管理する方向へ緩やかにシフトさせてきているように思います。

Discover の設定画面

Fedora 29 のリリース時 [2018-10-30]、正式に Workstation 版の variant(変種)に加わった Silverblue は、あくまでも選択肢のひとつで、積極的な宣伝を展開しているようには感じませんでしたが、Fedora プロジェクトはユーザーのニーズを見極めていたのかもしれません。しかし、今度の Knoite 登場でこの動きがもっと活発になるかもしれないと思っています。

全然 Fedora Kinote の評価記事になっていませんが、Fedora Linux 35 のリリースまでにいろいろ調べて Fedora Silverblue/Kinote について、あらためてまとめたい思います。

参考サイト

  1. bitWalk's: Linux ディストロ探訪(10) 〜 Fedora Silverblue 〜 [2019-11-24]
  2. Fedora Linux 35 Schedule: All
  3. レッドハットが買収したCoreOSの今後の行方 - ZDNet Japan
  4. apt2ostreeを使ってみる

 

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2021-09-20

RHEL 互換の Linux

※ 2021-05-03 のブログ記事「bitWalk's: RHEL 互換の Linux」の内容を新しくしました。

Red Hat Enterprise Linux, RHEL は、Red Hat 社によって開発されている、エンタープライズ市場向けの Linux ディストリビューションです。最近の RHEL のライフサイクルは 10 年で、延長が必要であれば追加サブスクリプション (Extended Lifecycle Support Add-On) も提供されます。

Wikipedia より引用、翻訳、編集
Red Hat Enterprise Linux 8.4 のデスクトップ画面

Red Hat 社は RHEL に含まれているソフトウェアのソースコードをオープンソースライセンスに基づき無償公開しています。そのため、Red Hat 社の商標や商用パッケージ等を含めずに、RHEL とバイナリレベルで互換の Linux OS を構築することが可能で、実際にいくつもの RHEL 互換の OS が公開されています。

現在の RHEL 互換ディストロについてまとめました[ABC 順]。

--- OUTLINE ---

AlmaLinux

AlmaLinux は CloudLinux チームによって開発されている RHEL 8 のバイナリ互換のフォークで、コミュニティと密接に協力して開発するコミュニティのためのフリーの Linux OS です。ラテン語で「魂」を意味する言葉にちなんで名付けられた AlmaLinux は、GitHub のページを通じてコミュニティの協力を得ながら開発が進められています。

対応しているアーキテクチャは x86_64 と ARM64 (aarch64) です。

AlmaLinux 8.4 のデスクトップ画面

CloudLinux, Inc. は CentOS オペレーティングシステムをベースに CloudLinux OS を開発し、共有ホスティングプロバイダ向けに販売しています。CloundLinux OS は OpenVZ カーネルを使用しています。

CloudLinux のチームが CentOS に代わる RHEL クローンを開発するのは、CloudLinux OS が CentOS をベースにしていることが最大の理由なのでしょう。コミュニティベースの活動になるように公開されていることはありがたいことです。

移行ツール

CentOS から AlmaLinux へ移行するツールが下記のサイトに公開されています。

CentOS

CentOS はコミュニティーベースのプロジェクトで RHEL のソースコードを元に再構築した、無料のディストリビューションです。Red Hat 社は、CentOS プロジェクトを支援しています [1]

CentOS 8.4.2105 のデスクトップ画面

昨年の 12 月 8 日、CentOS プロジェクトは、現在の RHEL リリースより先行する CentOS Stream へとプロジェクトの活動の焦点を移し、RHEL 8 のリビルドである CentOS Linux 8 のサポートを 2021 年末に終了して、CentOS Stream の開発にシフトするという発表をしました。

ちなみに、CentOS Stream については、下記に詳しく説明されています。

EuroLinux

EuroLinux は、RHEL のソースコードをベースにしたエンタープライズクラスの Linux オペレーティングシステムで、RHEL と機能的な互換性があります。EuroLinux Sp. z o.o.というポーランドの会社が開発、公開しています。

EuroLinux 8.4 のデスクトップ画面

Oracle Linux

Oracle Linux は Oracle 社が開発、配布している Red Hat Enterprise Linux (RHEL) をベースとした Linux ディストリビューションです。Oracle Linux は x86-64 と AMD64 アーキテクチャに対応しており、RHEL 互換の Red Hat Compatible Kernel (RHCK) と、Oracle 製品に最適化した Unbreakable Enterprise Kernel (UEK) の二種類のカーネルを選択できます。

Oracle Linux Server 8.4 のデスクトップ画面

RHEL 互換とは言え Oracle 製品に最適化した Unbreakable Enterprise Kernel (UEK) がデフォルトになっていることから、Oracle ブランドの OS という印象が強いですが、Red Hat Compatible Kernel (RHCK) も利用できるので、コミュニティベースの OS にこだわらなければ、RHEL 互換のディストリビューションとして十分評価に値すると思います。

起動時の grub メニュー画面

移行ツール

CentOS から Oracle Linux へ移行するツールが下記のサイトに公開されています。

Rocky Linux

Rocky Linux は Red Hat Enterprise Linux (RHEL) オペレーティングシステムのソースコードをビルドし直すことで、RHEL と完全なバイナリ互換性を持つことを意図しています。このプロジェクトの目的は、コミュニティでサポートされた、製品グレードのエンタープライズ用途の OS を提供することです。対応しているアーキテクチャは x86_64 と ARM64 (aarch64) です。

Rocky Linux 8.4 のデスクトップ画面

RHEL のソースコードをビルドした従来の CentOS の未来が無くなったことを受け、CentOS の創設者の一人である Gregory Kurtzer 氏が、CentOS の初期の目標を達成するために Rocky Linux プロジェクトを立ち上げました。この名称は共同創設者である Rocky McGaugh にちなんで名付けられました。

RHEL のサポートと同じく 10 年使い続けられるコミュニティベースのディストリビューションの存在は頼もしいことですが、コミュニティでプロジェクトを永続的に維持し続けることができるか、人ごとみたいでなんですが、とても興味があるところです。

Rocky Linux は、コミュニティベースのプロジェクトであることを謳っていますが、プロジェクトの活動を維持するには資金が必要です。プロジェクトのスポンサーは下記にまとめられています。

Rocky Linux プロジェクトのスポンサー企業

Springdale Linux

Springdale Linux は RHEL をベースにした Linux ディストリビューションで、プリンストン大学プリンストン高等研究所 (IAS)で開発されています。以前は PUIAS Linux として知られていました。このディストロは、CentOS などの RHEL クローンより前に始まっているプロジェクトです。RHEL に含まれていないリポジトリも提供されています。

Springdale Linux 8.4 のデスクトップ

学術的用途のためか、いままで聞いたことのなかったディストリビューションです。CentOS から他の無料の RHEL クローンに乗り換える場合で、スポンサー企業の影響を嫌うのであれば、Springdale Linux も候補になるのではないでしょうか。

VzLinux

VzLinux (Virtuozzo Linux) は Virtuozzo(バーチュオッゾ)社によって公開されている RHEL 互換の Linux ディストロです。Virtuozzo 社は、仮想化ソフトウェアに特化した株式非公開のソフトウェア企業です。Virtuozzo 社は、2000 年に初めて商用利用可能な OS レベルの仮想化コンテナ技術を開発し、2005 年に OpenVZ としてオープンソース化されました。

VzLinux 8.4 のデスクトップ

各ディストリビューションの比較

各ディストリビューションがサポートしている CPU アーキテクチャなどをまとめました。

Linux CPU Architecture 備考
x86_64 ARM64 IBM Power IBM Z
Red Hat Enterprise Linux (RHEL) 8 サブスクリプション(有償)
AlmaLinux 8 有償サポート有
CentOS 8 2021 年 12 月末でサポート終了
Euro Linux 8 有償サポート有
Oracle Linux 8 有償サポート有
Rocky Linux 8 MontaVista Software 社などからの有償サポートあり
Springdale Linux 8
VzLinux 8 (有償サポート有)

勝手に考察

Red Hat 社が CentOS プロジェクトのメンバーの一部を Red Hat 社員として雇用して CentOS プロジェクトを支援すると発表した時は、オープンソースの活動に対する寛大な態度に驚嘆しました。もう7年も前のことです。

勝手な推測ですが、資金難、人材難にあえぐオープンソース・プロジェクトを、利益相反することを厭わず Red Hat 社が救済したのだと捉えていました。

その Red Hat 社が IBM 傘下になった後、2021 年末に CentOS の開発を終了すると発表したことは、タイミングが中途半端だったにせよ、仕方がないことかもしれないと思いました。

この発表にコミュニティからは非難の嵐と報じられ、Red Hat 社は、一年間の移行期間を確保しての発表だったにもかかわらず、すっかり悪者にされてしまいました。しかし、批判をする多くのユーザは、オープンソースの活動に大した貢献もせずに、オープンソースの成果を無料(タダ)で貪っているだけの人が多いのではないかと、これまた勝手に推測してしまいました。ま、自分もその類に含まれるのですが…。😅

CentOS プロジェクトへの支援は自社の利益にならない

Red Hat 社にとって、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) こそが正式な Linux 製品であって、CentOS はあくまで支援プロジェクトでした。しかし、Red Hat 社が支援しているが故に、CentOS が RHEL クローンとしてのお墨付きを得ているというような認識を世間に与えてしまっているとすれば、支援によって自社ブランドを毀損してしまうことになります。

例えば、RHEL 7 と CentOS 7 について、著者こそ違えど、同じシリーズの本で出版されることについて、Red Hat 社はどう考えていたのでしょう。

節操が無い出版社をはじめ、無料のクローン OS に群がる世間の行為が、Red Hat 社を CentOS 開発中止へ追い込んだのではないかというような議論が、ニュースで見つからなかったのが残念です。

ビジネスに必要不可欠なオープンソース

でも成り行きを見ると、Red Hat 社の決断は妥当だったと思えるのです。

CentOS をベースに OpenVZ カーネルを採用した CloudLinux OS でビジネスを展開している CloudLinux 社は、CentOS の代替になる AlmaLinux プロジェクトを立ち上げました。CentOS 開発終了の発表後、3ヵ月程度で CentOS 8.3 相当の AlmaLinux 8.3 の一般公開を実現しています。

遅れること一ヶ月、コミュニティが立ち上げた Rocky Linux プロジェクトも Rocky Linux 8.3 のリリース候補 RC1 を公開しました。

コミュニティベースの Rocky Linux は AlmaLinux と違って企業色が無いかと言えば、そうでもありません。プロジェクトのスポンサー企業の一社は Amazon Web Services (AWS) です。直接 Rocky Linux の名称で利用されるかどうかはともかく、将来 AWS のシステムに寄与することは明白です。

MontaVista 社も Rocky Linux プロジェクトのスポンサー企業ですが、CentOS をサポートしている企業です。

いずれにしても、RHEL クローンはビジネスに必要不可欠な OS のひとつになっていて、今では Red Hat 社が自社製品のクローン・プロジェクトを支援しなくとも、他社が RHEL クローンの開発プロジェクトの支援をできるようになったと言えます。

もしも最初の CentOS 8 (8.0-1905) をリリースせずに、CentOS の開発終了を発表していたらどうなっていたでしょう。クローンの見本がない状況で、こうも早く一般公開までこぎつけられていたかどうか。いや、Oracle Linux や Springdale Linux があるので、それはわかりませんが、少なくとも危機感は違っていたでしょう。

参考サイト

  1. Red Hat と CentOS プロジェクトが協力してオープンソースのイノベーションを加速 [2014-01-15]
  2. Product Documentation for Red Hat Enterprise Linux 8 | Red Hat Customer Portal
  3. Red Hat Enterprise Linux derivatives - Wikipedia

 

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2021-09-17

Ubuntu 21.10 Daily Build をインストールしてみた

Ubuntu (/ˈʊbʊntuː/) は、Canonical 社から支援を受けて開発されている Debian をベースにした Linux ディストリビューションです。Ubuntu は半年ごと(通常 4 月と 10 月)にリリースされます。リリースの番号は、西暦の下二桁とリリース月を合わせて 21.10 のように表示されます。Ubuntu は Desktop, Server および Core(IoT 向け)の 3 つのエディションをリリースしています。

リリースの種類には通常版と、長期サポート版(LTS、Long Term Support)があります。通常版のサポート期間はリリースから 9ヶ月です。長期サポート版は 2 年毎(8.04 LTS から、西暦偶数年の 4 月)にリリースされ、サポート期間は公開から 5 年です。さらに ESM (Extended Security Maintenance) プログラムを利用すると、最長10年のサポートが受けられます。

Wikipedia より引用・翻訳、編集

10 月 14 日にリリースが予定されている [1] 次期 Ubuntu 21.10(Impish Indri 小悪魔めいたインドリ)について調べました。

まだベータ版も公開されていないので、下記サイトから開発版の Daily Build の iso ファイル (impish-desktop-amd64.iso) をダウンロードして、GNOME Boxes の仮想マシンにインストールしてみました。[2021-0916]

デスクトップを見ると、デスクトップの壁紙は Ubuntu 21.04 のカバのまま、ドックも左側に表示されています。

Ubuntu 21.10 (Impish Indri) Daily Build のデスクトップ画面例

GNOME の「設定」を起動し、「このシステムについて」のタブを見ると以下のようになっています。デスクトップシェルが GNOME 40 系になっています

Ubuntu 21.10 (Impish Indri) Daily Build のシステム概略

Ubuntu 21.10 Desktop (Impish Indri) の新しい点

Ubuntu については、自分のアンテナの張り方が拙いのか、次期リリースで予定されている変更内容(公式とされる内容)を把握することができません。そのため、参考サイト OMG! Ubuntu! の情報 [2] を引用させていただきます。

  1. GNOME 40 desktop by default
  2. Yaru light theme by default
  3. Firefox Snap by default
  4. New installer made with Flutter
  5. Zstd compression for packages
  6. Wayland enabled for NVIDIA driver users
  7. Touchpad improvements
  8. Linux 5.13 kernel
  9. Updated artwork

このうち Flutter による新しいインストーラがどのようなものか気になったのですが、使用した Daily Build のイメージでは、インストールに違いが認められませんでした。

参考サイト [2] をよく読むと、新しいインストーラーの開発中で、完全に機能するようになるはまだ時間がかかるということです。今回のリリースに間に合わなければ、来年春に予定されている LTSリリースに実験的な変更を含めることをせずに、その後の 22.10 のリリース以降が新しいインストーラーのデビューになるだろうということです。

2021-09-16 にダウンロードした impish-desktop-amd64.iso のインストーラ

一週間後に予定されているベータリリース (2021-09-23) に間に合わなければ、ベータリリースの予定が伸びるのか、それとも今回、新しいインストーラの実装は見送りになるのか…、どうなるのでしょう。

参考サイト

  1. Releases - Ubuntu Wiki
  2. Ubuntu 21.10 Release Date & New Features - OMG! Ubuntu! [2021-09-16]
  3. Ubuntu Will Get a Brand-New Desktop Installer Using Flutter - 9to5Linux [2021-02-01]
  4. Ubuntu 21.10 Impish Indri - New Features and Release Date [2021-09-18]
  5. Ubuntu 21.10 (Impish Indri) Daily Build [Canary desktop image]

 

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2021-09-11

Fedora Linux 35 への気の早いアップグレード

Fedora Linux は Red Hat 社が支援するコミュニティ Fedora Project で開発されているディストリビューションで、最新の技術を積極的に取り込むことで知られています。また Fedora Linux の開発成果が、後にリリースされる Red Hat Enterprise Linux, RHEL に取り込まれています。Fedora Linux は、おおむね春と秋の年二回の頻度で新しい版がリリースされています。

次期 Fedora Linux 35 のリリースは、現在のところ、ベータ版が 9 月 28 日、正式版が 10 月 19 日に予定されています。

ということで、Fedora Linux 35 はまだ Prerelease 版ですが、早く試してみたくなり、手許のラップトップ PC を次の手順でアップグレードしてしまいました。

  1. sudo dnf update --refresh
  2. sudo dnf install dnf-plugin-system-upgrade
  3. sudo dnf system-upgrade download --releasever=35
  4. sudo dnf system-upgrade reboot
Fedora Linux 35(Prerelease 版)のデスクトップ画面

変更点をいくつか

Fedora Linux 35 で変更あるいは追加される新機能は下記のサイトにあります。ベータ版のリリースが迫っているとは言え、まだまだ内容が変更される可能性があります。

たくさんの項目がありますが、収録されるソフトウェアのバージョンの更新情報以外に、個人的に気になった Fedora Linux の変更点をピックアップして紹介します。

Fedora Linux という名称

Fedora はプロジェクトの名前で、Linux ディストリビューションの名称は Fedora Linux であることが明確になりました。小さな変更ですが、/etc/os-release の下記二行が変わりました [1]

[bitwalk@stream11 ~]$ grep -e ^NAME -e PRETTY /etc/os-release
NAME="Fedora Linux"
PRETTY_NAME="Fedora Linux 35 (Workstation Edition Prerelease)"

選択されたFlathubアプリケーションの追加

いままで Flathub で利用できる Flatpak のアプリケーションは、ユーザーが Flathub を手動でインストールした場合にのみ利用できましたが、Fedora Linux 35 からは、サードパーティのリポジトリを有効にすると、Fedora プロジェクトが管理する「Flathub リモート」を通じて、選択された Flathub アプリケーションを利用できるようになりました [2]

これは、特に Fedora Silverblue を使うユーサーにとって朗報でしょう [3]。インストール後にすぐに利用できる Fedora プロジェクトの Flatpak のアプリケーションは僅かだったからです。

「ソフトウェア」のソフトウェアリポジトリ設定画面

もちろん、これまで通り、https://flatpak.org/setup/Fedora/ の指示に従って、完全に制限のない Flathub リモートをインストールすることもできます。

Fedora Kinoite をバリアント(変種)として追加

Fedora Kinoite は、Fedora Silverblue [3] と同様に rpm-ostree(OSTree による OS のイメージ管理と rpm によるパッケージ管理を併せ持つハイブリッドシステム)でシステムのバージョンを管理するデスクトップ用途の immutable な(書き換えることができない)OS です。デスクトップには KDE Plasma が採用されています [4]

Fedora Kinoite は、Fedora Silverblue のスピンという位置づけです。

参考サイト [4] によると、Kinoite という名前にしたのは、次のような理由からということです。

  • KDE ベースのプロジェクトは伝統的に K で始まる。
  • Kinoite(キノ石)は青い鉱物である (https://en.wikipedia.org/wiki/Kinoite) ことから、Silverblue の「銀」と「青」の両方の部分と、KDE ロゴの青い色を指している。
  • Kinoite は日本語で「木がある」という意味で (https://translate.google.com/?sl=auto&tl=en&text=kinoite&op=translate)、ostree の「木」を指しています。
    • いやぁ、ちょっと苦しいこじつけのように思いますが…。日本人の開発者が関与しているのかも。

Fedora Silverblue のスピン Fedora Kinote の登場で、いよいよ rpm-ostree + flatpak + podman を組み合わせた、新しい構成の Linux ディストロを本格的に普及させる時期になったのかもしれません。

参考サイト

  1. Changes/Fedora Linux in os-release - Fedora Project Wiki
  2. Changes/Filtered Flathub Applications - Fedora Project Wiki
  3. bitWalk's: Linux ディストロ探訪(10) 〜 Fedora Silverblue 〜 [2019-11-24]
  4. Changes/Fedora Kinoite - Fedora Project Wiki

 

 

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2021-09-03

【備忘録】Linux で KNIME を使う

KNIME (/naɪm/) は、コンスタンツ・インフォメーション・マイナーと呼ばれる、フリーでオープンソースのデータ分析・レポート・統合プラットフォームです。KNIME は、モジュール式のデータパイプライン, Building Blocks of Analytics のコンセプトにより、機械学習やデータマイニングのための様々なコンポーネントを統合しています。グラフィカル・ユーザー・インターフェースと JDBC の使用により、前処理 (ETL:Extraction, Transformation, Loading) を含む様々なデータソースを組み合わせたノードを組み立て、モデリング、データ分析、ビジュアライゼーションをプログラミングなしに、あるいは最小限のプログラミングで行うことができます。

Wikipedia より引用、翻訳

業務で KNIME Analytics Platform(以下、単に KNIME と表します)を使うことになったので、プライベートでも勉強用にと自宅の Linux PC にインストールしたところ、ちょっとしたことにハマってしまったので備忘録としました。

使用している環境は以下の通りです。

Fedora 34 Workstation x86_64
   KNIME Analytics Platform 4.4.1

Configuration dialog の画面が見えない!?

KNIME 4.4 から Java 11 に対応しました [3]。Fedora は、33 から、システムの JDK が 11 になっているので、何も問題なく KNIME を使えると思っていました。しかし…、

node の configuration を開く

node の configuration を開くと、画面に何も表示されません。この画面が表示されないと KNIME が使い物になりません。

node の configuration dialog 画面 (1)

Wayland が原因だった

試行錯誤の結果、node の configuration dialog 画面が表示されないのは、どうやら Wayland との相性が悪いということが判りました。ログイン時に下記のように "GNOME on Xorg" に切り替えてログインします。

GNOME on Xorg でログイン

なお、ログイン画面のスクリーンショットを撮る環境がいま手許にないので、本ブログの過去記事から Fedora 33 のログイン画面を転用しています。Fedora のロゴが異なる以外は同じです。

node の configuration を開くと、フツーに画面が表示されることを確認できます。

node の configuration dialog 画面 (2)

おまけ

Eclipse のデスクトップファイル /usr/share/applications/eclipse.desktop を参考にして、KNIME のデスクトップファイル knime.desktop を作成し、$HOME/.local/share/applications/ 内に保存しました。

$HOME/.local/share/applications/knime.desktop
[Desktop Entry]
Type=Application
Name=KNIME
Comment=KNIME Analytics Platform
Icon=/home/bitwalk/knime/knime_4.4.1/icon.xpm
Exec=/home/bitwalk/knime/knime_4.4.1/knime
Terminal=false
Categories=Development;KNIME;Java;

以下のように、アプリケーション一覧に KNIME のアイコンが表示され、これをクリックすることでローカル領域に展開した KNIME(この例では /home/bitwalk/knime/knime_4.4.1/knime)を起動できるようになります。

アプリケーション一覧に追加した KNIME の起動アイコン

参考サイト

  1. KNIME | Open for Innovation
  2. KNIME|データの連携・統合・分析を自動化するオープンソースプラットフォーム
  3. Preview KNIME AP 4.4 -- Java 11 & Eclipse Upgrade - KNIME Development - KNIME Community Forum

 

 

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