The Fedora Project は 10月27日(米国時間)に Fedora 33 を公開しました [1]。10 月 26 日から 11 月 2 日までの一週間、The Fedora Test Week for Kernel 5.9 [2] と称して、ユーザを巻き込んだ Kernel 5.9 のテストに突入してしまったので、これに合わせて Fedora 33 の正式リリースも遅れるかもしれないと思いましたが杞憂でした。記録を取っていないのであやふやですが、RHEL と異なり、同一リリース内で Kernel のバージョンが上がったことがあったと記憶しています。
Fedora 33 Workstation のデスクトップ画面
Fedora 33 の主要な変更点
今回のリリースで更新または追加、廃止された機能、パッケージは数多くありますが、そのうち、参考サイト [3] から、Fedora 33 Accepted System-Wide Changes(システム全体の変更)の部分を抜き出し、興味のある部分について日本語訳(抄訳やリンク先の詳細説明の訳を含む)も加えました。
- Aarch64 Pointer Authentication & Branch Target Enablement
- Binutils 2.34
- Make btrfs the default file system for desktop variants
- ラップトップやワークステーションにインストールする Fedora Workstation のデフォルトのファイルシステムに Btrfs が採用されました。これにより、従来の LVM より簡単にストレージを追加して容量不足を解消することができます。
- Cleanup GNOME Hidden Boot Menu Integration
- CMake to do out-of-source builds
- Disable dmraid-activation.service on first run if no dmraid sets are found
- ELN Buildroot and Compose
- Boost 1.73 upgrade
- Changes/MinGW environment and toolchain update
- FlexiBLAS as BLAS/LAPACK manager
- BLAS/LAPACK パッケージは FlexiBLAS ラッパーライブラリを用いてコンパイルされ、OpenBLAS をシステム全体のデフォルトのバックエンドとして設定すると同時に、今までの Fedora に欠けていた、適切な切り替え機構を提供します。
- The GNU C Library version 2.32
- Golang 1.15
- Promote IoT to an Edition
- Fedora IoT が Fedora の正式版 (Official Edition) の一つに昇格しました。
- java-11-openjdk as system JDK in F33
- Fedora のシステム JDK が java-1.8.0-openjdk から java-11-openjdk に更新されました。
- Mark libdb as deprecated
- libdb の利用を非推奨するこの変更は、将来的に libdb (すべてのサブパッケージを含む) を削除する開発方針をメンテナや開発者に知らせるためのものです。
- BerkeleyDB 6.xは以前のバージョン (AGPLv3 vs. LGPLv2) に比べてライセンスが厳しく、多くのプロジェクトで使用できないため、将来的には Fedora から libdb を削除する予定です。現在の Fedora は古いバージョン (5.3.28) を使用しており、新しいバージョンにアップデートすることができません。多くのプロジェクトが libdb に依存しているため、完全に削除するためにいくつかのステップを踏みます。最初のステップは、Fedora 33 で libdb を非推奨パッケージとします。次のステップとして、Fedora 35 で既存のデータベースを変換するツールを提供して libdb に依存しないようにします。
- LLVM 11
- GNU Make version 4.3
- NetworkManager keyfile instead of ifcfg-rh
- Node.js 14.x by default
- Perl 5.32
- Python 3.9
- Remove device-mapper-multipath from the Fedora workstation livecd
- Removal of the glibc-headers package
- RPM 4.16
- Sqlite RpmDB
- RPM データベースのフォーマットを Berkeley DB から Sqlite へ変更します。
- 現在の rpm データベースの実装は Berkeley DB 5.x をベースにしています。Berkeley DB 6.x はライセンスの互換性がないので新しいバージョンに移行することはできません。その上、既存の rpmdb の実装はトランザクションではないため、信頼性が低くデータベースの矛盾を検出する手段がありません。
- より持続可能なデータベースの実装への変更は、長い間の課題でした。今回のリリースでデフォルトの rpmdb フォーマットを sqlite ベースの実装に変更します。現在の BDB フォーマットのサポートは Fedora 33 では維持され、次の Fedora 34 では読み取り専用になります。
- Strong crypto settings: phase 2
- swap on zram
- スワップは便利ですがアクセスが遅いです。 zram は圧縮を利用した RAM ドライブです。起動時に swap-on-zram を作成し、デフォルトでスワップパーティションを使わないようなります。
- systemd-resolved
- Use %make_build and %make_install macros
- RPM の spec ファイルで %make_build と %make_install の両マクロが使用できるようになりました。
- Make nano the default editor
- ユーザーは、デフォルトのエディタを呼び出すコマンドを使用すると、デフォルトのエディタが起動します。例えば git commit を実行したときです。
- Fedora は今までのところところデフォルトのターミナルテキストエディタを定義していませんでした。しかし、ユーザーがターミナルテキストエディタを使用することになるケースは、git commit を使用するときです。いままではデフォルトで、git は vi を起動しました。Fedora 33 では vi の代わりに nano が起動します。
- Nano もターミナルエディタですが、人々が慣れ親しんだグラフィカルなテキスト編集の使い心地を提供しますので、専門的な知識を必要としません。
- Zanata Removal
- Changes/LTO by default for package builds
参考サイト
- Fedora 33 is officially here! - Fedora Magazine
- Contribute at the Fedora Test Week for Kernel 5.9 - Fedora Magazine
- Releases/33/ChangeSet - Fedora Project Wiki
Fedora 33 インストール後の最初の起動時にユーザアカウントを作成する点が素晴らしい、と下記 YouTube では力説しています。確かにプレインストールされた Windows PC であたり前のことが Linux では意外と出来ていませんでした。😮念の為、遡って確認してみたところ、少なくとも Fedora 31 ではインストール後の最初の起動時の初期設定でアカウントを作成するようになっていました。
にほんブログ村
0 件のコメント:
コメントを投稿