軽量デスクトップ環境を求めて LXDE を使っていた時期もありましたが、最近では格安 PC でも GNOME3 を使うことに抵抗感がなくなりました。GNOME3 にすっかり慣れたということもあるのでしょうが、エントリレベルの CPU も性能が上がっているので、GNOME3 でもストレスなく使えるようになったことの方が大きいと思っています。
Linux には選択する自由がありますから、好きなデスクトップ環境を使う自由もあります。理由はなんであれ、好きなデスクトップ環境を使えるシアワセ、ブラボー Linux です。
Windows 強し
しかし、デスクトップ市場における Linux のシェアは微々たるものです。
デスクトップ PC のシェアは、やはり Windows が強く、8 割近くを占めています。
Windows のシェアの高さはそのままオフィススイートにおける Microsoft Office(以下 MS Office)のシェアの高さにつながっています。特にビジネスでは、Excel でデータを集計するだけでなく、PowerPoint でプレゼン資料を作成することが必須といっても過言ではありません。
MS Office が普及すれば、これを(一定以上)使えることを資格として認定することがビジネスになり、参考書などの書籍販売や教育機関によるトレーニングもビジネスになります。MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)の資格認定もそのひとつでしょう。このように関連するビジネスが賑わうようになると、ますます MS Office を利用するという好循環が生まれます。
MS Office が業務で必須とあれば、動作環境である Windows あるいは Mac OS X がデスクトップ PC の主流になるのは当然です。MS Office は Linux に対応していないので、現状ではデスクトップ PC マーケットで Linux が台頭する余地は無いと思われます。
しかし、思わぬところからチャンスはやってくるものです。
米中の対立が Linux 普及を助長する
UOS (Unity Operating System) は、UnionTech(统信软件)によって開発されている Deepin をベースとた Linux ディストロです。Wikipedia によると、この開発は中国政府から委託されていて、中国市場において 2022 年までに Windows を UOS へ換えることを目的としているようです。
Windows XP や Windows 7 といった前世代の OS をまだ多く使用している中国は、今後(というより現在の)アメリカとの国交悪化に左右されないように、独自 OS を開発しようと考えているようです。自由経済とは違う中国のことですから、2022 年までにどこまで Windows からの脱却を図れるかはともかく、UOS の普及はかなりの程度、実現されそうです。
- Windowsから脱却するためにLinuxベースの独自OSが中国で開発されている - GIGAZINE [2020-03-29]
これは、デスクトップ PC のシェア拡大という側面では、中国が中心になるとは言え、Linux にとって追風になりそうです。
※ ちなみに、従来の Deepin は UOS に吸収されて無くなってしまうのかと危惧しましたが、そうではありませんでした。先行開発版の位置づけで今後も Deepin としての開発が続けられるようです。
UOS の入手は、中文での登録が必要で、中国語ができない自分にはハードルが高く、以前、なんとかイメージを入手して試用したところ、中文重視で日本人にとって使いにくいものでした。そこで UOS ではなく、今回は最新版である Deepin 20 beta を仮想環境にインストールして、利用できるソフトウェア環境について見ていきたいと思います。
WPS Office は MS Office を越えるか?
WPS Office(旧:KINGSOFT Office)は、中国のソフト開発販売会社 金山軟件の合弁会社であるキングソフト株式会社のオフィススイート製品で、MS Office に類似したユーザインタフェースと操作性、MS Office との高いファイル互換性が特徴です。
WPS Office は、Windows や Mac OS X 向けばかりでなく、Linux にも対応しており、しかも Linux 版は無料で配布されています。
WPS Office が MS Office を越えるためには、とにかく市場シェアの獲得に尽きます。WPS Office に求められるのは、MS Office からどれだけ簡単に移行できるかが重要になるでしょう。
Deepin 20 beta では WPS Office がデフォルトではインストールされていなかったので App Store を起動してインストールしました。ちなみに Deepin の App Store は、中文のメッセージが至る所にみられます。
個人的に感心したのは、Linux 版の WPS Office の使い心地がなかなか秀逸だということです。試しに、下記 Microsoft 社が公開している PowerPoint 用テンプレートファイルを WPS Office (WPS Presentation) で読み込んでみます。
個人的にはこれで全然問題なしです。それほど使い込んでいませんが、Libre Office の Impress に比べれば、遥かに PowerPoint の操作に近く、迷うことが少ないです。あら探しをするための評価をしていないので、凝ったアニメーションや映像を埋め込んだ時の挙動がどうなのかわかりません。そういえば、メニューが英語です。Fedora でインストールできる WPS Office のメニューは日本語になっているのですが…。
ちなみに Libre Office もインストールできます。同じファイルを読み込んだ例を下記に示しました。星の色が WPS Office で読み込んだ時と違います。どちらが正解なんでしょうか?
中国で、Deepin (UOS) が Windows に置き換わるためには、WPS Office(あるいは、もしかすると Libre Office ?)がキラーアプリになるかにかかっているように思います。中国政府が進めているので、ある程度の普及は間違いないでしょうが、どこまで普及するか注目したいです。
Deepin を使って気になること
Deepin の前のバージョンでは、(仮想環境で)ストレージ容量が 20 GB もあれば問題なくインストールできていましたが、最低 64GB、推奨で 128GB 以上のストレージ容量がないとインストールできなくなりました。
画面の解像度は、推奨で 2560 x 1600 (WQXGA) になっていました。
これはつまり、中国が目指しているデスクトップ PC のスタンダードとは、128 GB のストレージと WQXGA のディスプレイで快適に使える環境なのでしょうか。ストレージ容量はともかく、そろそろ解像度の高いディスプレイを新調して、余白の使い方に慣れておいた方が良さそうです。💦
参考サイト
- キングソフトのオフィスソフトWPS Office 2(WPSオフィス2)
- Free WPS Office for Linux Download - WPS Office
- なぜ“デスクトップLinux”は普及しなかったのか? (1/2) - ITmedia エンタープライズ [2018-11-19]
Windows 版と Mac OS X 版です。
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