2021-12-05

AMD Ryzen 7 搭載のミニ PCを買いました

Amazon のブラックフライデーのセールで逃した、AMD Ryzen 7 (5700G) を搭載したミニ PC (MINISFORUM Elitemini X500) を、損な買い方だと承知の上でセール終了後に買ってしまいました。やっぱり Ryzen 7 のパワーを体験してみたかったのでした。

店頭で実物を見て買うとなると逡巡する時間が長いのですが、Amazon のサイトでポチっとクリックするのは早いです。困ったことです。😅

格安 PC 買いがモットー

Intel 系 (x86, x86-64) の CPU を搭載した PC をメインにしてずっと使ってきましたが、そろそろ ARM 系を試したいとずっと思っていました。しかし、いわゆるワンボードコンピュータでない、ARM 系の CPU を搭載した筐体付きの魅力的な PC になかなか出会えません。

振り返ってみると、そろそろかなと思って Linux を 32bit から 64bit へ移行した時期 [1] は、AMD の Athlon 64 を搭載した PC を使っていました。その後、格安 PC を買いまくる路線に変更しました。CPU は Intel Atom とか Celeron という省電力、エントリーブランドのものばかりでした。要するに長く使える PC を買おうとすると高いので、変化の速い業界では、経済的な負担と新しいものへの興味を両立させるため、予算 5 万円未満の廉価な PC をある程度の頻度で買うというやり方を選んだのでした。

しかし、格安 PC に Linux をインストールしても非力すぎて、仮想環境を作って評価用に他の Linux をインストールすることができないので、2018 年末に Skynew の Intel i7-8550U を搭載したミニPC M4S を買ってメインの PC として使ってきました [2]。もちろん、既に買ってしまった格安 PC は古くなっても実機へのインストールテスト用に使い続けていますし、いまでも格安 PC を見つければ買ってしまうことがあります。

一方、Linux カーネルの生みの親である Linus Torvalds 氏が最近使っているワークステーションは、AMD Ryzen を搭載しているという記事 [3] を読み、Intel 系と同じ x86_64 の CPU であっても Ryzen 搭載の PC を使ってみたいものだと夢見ていました。

まず Windows でベンチマーク

前置きが長くなってしまいましたが、Amazon で買ったミニ PC MINISFORUM Elitemini X500 のスペックは下記のとおりです。

ブランドMINIS FORUM
製品名Elitemini X500
システムWindows 10 Pro
CPU ブランドAMD Ryzen 5700G (3.8GHz, 8Core/16Thread, TDP/TDP 65W)
RAM2 x 8GB DDR4 3200MHz デュアルチャネル (SODIMM Slots x 2)
ストレージM.2 2280 512GB PCIe SSD (PCIe 4X サポート, 最大 2TB)
拡張ストレージ1 x M.2 2242 SATA SSD (最大 2TB, SATA 3.0, 6.0Gb/s), 1 x 2.5 インチSATA HDD (SATA 3.0, 6.0Gb/s), 1 x TFカード (最大 128GB)
ワイヤレス接続M.2 2230 WiFi サポート (WiFi6 AX200, BT5.1 プリインストール)
有線接続RJ45 x 2 (1000M LAN)
ビデオ出力① HDMI (4K@60Hz), ② DisplayPort (4K@60Hz)
オーディオ出力HDMI, DisplayPort, 3.5mm Audio Jack, HP OUT
電源アダプターDC 19V
寸法・重量15.3 x 15.4 x 6.2cm, 2.11kg

Windows を使うつもりはないのですが、とりあえず致命的な不良品でないことを確認するためにも、プリインストールされている Windows を設定することにしています。せっかくですのでデータ収集のためにベンチマークも取っておきました。Linux でも同じようにベンチマークが取れる Geekbench をいつも使っています。

Fedora Linux 35 をインストール

Fedora Linux 35 (Server Edition) をインストールしました。ストレージが 512GB ありますので、当面、容量不足に悩まされることはないと思いますが、将来の拡張に備え、Workstation Edition のデフォルトのファイルシステム btrfs ではなくて、Server Edition の xfs にしてロジカルボリュームを管理することにしました。

以前は、Server Edition をインストールするときに GUI 環境を一緒にインストールできたように記憶していましたが、記憶間違いか、GUI 環境の選択ができませんでした。

仕方がないのでそのままインストールして、インストール後に

[bitwalk@fedora-pc ~]$ sudo dnf group install "Fedora Workstation"

のように実行して Workstation Edition のパッケージをインストールしました。

また、ランレベルの設定について、systemd ではやったことがなかったので、参考サイト [4] を参考に、

[bitwalk@fedora-pc ~]$ sudo systemctl set-default graphical.target

を実行しました。

これで再起動後に GDM でログインできるようになりました。

GNOME の「設定」→「このシステムについて」の画面

追記

デフォルトの条件でインストールした Fedora Linux 35 Server Edition は、ストレージの領域を 15GB しか確保していないことに、あとになって気が付きました。

[bitwalk@fedora-pc ~]$ df -hT
ファイルシス                             タイプ   サイズ  使用  残り 使用% マウント位置
devtmpfs                                 devtmpfs   6.8G     0  6.8G    0% /dev
tmpfs                                    tmpfs      6.9G   38M  6.8G    1% /dev/shm
tmpfs                                    tmpfs      2.8G  1.9M  2.8G    1% /run
/dev/mapper/fedora_desktop--c80ethb-root xfs         15G   13G  2.5G   84% /
tmpfs                                    tmpfs      6.9G  2.5M  6.9G    1% /tmp
/dev/nvme0n1p2                           xfs       1014M  264M  751M   26% /boot
/dev/nvme0n1p1                           vfat       599M  6.1M  593M    2% /boot/efi
tmpfs                                    tmpfs      1.4G  120K  1.4G    1% /run/user/1000
[bitwalk@fedora-pc ~]$

vgdisplay コマンドでボリュームグループの詳細情報を表示します。

[bitwalk@fedora-pc ~]$ sudo vgdisplay
[sudo] bitwalk のパスワード:
  --- Volume group ---
  VG Name               fedora_desktop-c80ethb
  System ID             
  Format                lvm2
  Metadata Areas        1
  Metadata Sequence No  2
  VG Access             read/write
  VG Status             resizable
  MAX LV                0
  Cur LV                1
  Open LV               1
  Max PV                0
  Cur PV                1
  Act PV                1
  VG Size               475.35 GiB
  PE Size               4.00 MiB
  Total PE              121690
  Alloc PE / Size       3840 / 15.00 GiB
  Free  PE / Size       117850 / 460.35 GiB
  VG UUID               ExIryT-bI14-cnT5-Mea4-HpHe-slLt-joKC6x
   
[bitwalk@fedora-pc ~]$

ボリュームグループは 475GB あまりあり、そのうち 15GB が割り当てられていることが判ります。lvdisplay コマンドで論理ボリュームを確認します。

[bitwalk@fedora-pc ~]$ sudo lvdisplay
  --- Logical volume ---
  LV Path                /dev/fedora_desktop-c80ethb/root
  LV Name                root
  VG Name                fedora_desktop-c80ethb
  LV UUID                t3bbDw-C2Zs-8G9Y-sreB-CZCP-LpXL-rxnd01
  LV Write Access        read/write
  LV Creation host, time fedora-pc, 2021-12-05 16:37:07 +0900
  LV Status              available
  # open                 1
  LV Size                15.00 GiB
  Current LE             3840
  Segments               1
  Allocation             inherit
  Read ahead sectors     auto
  - currently set to     256
  Block device           253:0
   
[bitwalk@fedora-pc ~]$

lvextend コマンドで、残っている物理領域すべてを論理ボリュームに拡張しました。

[bitwalk@fedora-pc ~]$ sudo lvextend -l +100%FREE /dev/fedora_desktop-c80ethb/root
  Size of logical volume fedora_desktop-c80ethb/root changed from 15.00 GiB (3840 extents) to 475.35 GiB (121690 extents).
  Logical volume fedora_desktop-c80ethb/root successfully resized.
[bitwalk@fedora-pc ~]$

ボリュームのサイズは増えましたが、まだ利用できる論理ボリュームのサイズは増えていません。

[bitwalk@fedora-pc ~]$ sudo vgdisplay
  --- Volume group ---
  VG Name               fedora_desktop-c80ethb
  System ID             
  Format                lvm2
  Metadata Areas        1
  Metadata Sequence No  3
  VG Access             read/write
  VG Status             resizable
  MAX LV                0
  Cur LV                1
  Open LV               1
  Max PV                0
  Cur PV                1
  Act PV                1
  VG Size               475.35 GiB
  PE Size               4.00 MiB
  Total PE              121690
  Alloc PE / Size       121690 / 475.35 GiB
  Free  PE / Size       0 / 0
  VG UUID               ExIryT-bI14-cnT5-Mea4-HpHe-slLt-joKC6x
   
[bitwalk@fedora-pc ~]$ 

xfs_growfs コマンドでファイルシステムを拡張します。

[bitwalk@fedora-pc ~]$ sudo xfs_growfs /dev/fedora_desktop-c80ethb/root
meta-data=/dev/mapper/fedora_desktop--c80ethb-root isize=512    agcount=4, agsize=983040 blks
         =                       sectsz=512   attr=2, projid32bit=1
         =                       crc=1        finobt=1, sparse=1, rmapbt=0
         =                       reflink=1    bigtime=0 inobtcount=0
data     =                       bsize=4096   blocks=3932160, imaxpct=25
         =                       sunit=0      swidth=0 blks
naming   =version 2              bsize=4096   ascii-ci=0, ftype=1
log      =internal log           bsize=4096   blocks=2560, version=2
         =                       sectsz=512   sunit=0 blks, lazy-count=1
realtime =none                   extsz=4096   blocks=0, rtextents=0
data blocks changed from 3932160 to 124610560
[bitwalk@fedora-pc ~]$

lvdisplay コマンドで論理ボリュームが拡張されたことを確認します。

[bitwalk@fedora-pc ~]$ sudo lvdisplay
  --- Logical volume ---
  LV Path                /dev/fedora_desktop-c80ethb/root
  LV Name                root
  VG Name                fedora_desktop-c80ethb
  LV UUID                t3bbDw-C2Zs-8G9Y-sreB-CZCP-LpXL-rxnd01
  LV Write Access        read/write
  LV Creation host, time fedora-pc, 2021-12-05 16:37:07 +0900
  LV Status              available
  # open                 1
  LV Size                475.35 GiB
  Current LE             121690
  Segments               1
  Allocation             inherit
  Read ahead sectors     auto
  - currently set to     256
  Block device           253:0
   
[bitwalk@fedora-pc ~]$

最後に、df コマンドで利用できる領域が増えていることを確認します。

[bitwalk@fedora-pc ~]$ df -Th
ファイルシス                             タイプ   サイズ  使用  残り 使用% マウント位置
devtmpfs                                 devtmpfs   6.8G     0  6.8G    0% /dev
tmpfs                                    tmpfs      6.9G   64M  6.8G    1% /dev/shm
tmpfs                                    tmpfs      2.8G  1.9M  2.8G    1% /run
/dev/mapper/fedora_desktop--c80ethb-root xfs        476G   16G  460G    4% /
tmpfs                                    tmpfs      6.9G  4.6M  6.9G    1% /tmp
/dev/nvme0n1p2                           xfs       1014M  264M  751M   26% /boot
/dev/nvme0n1p1                           vfat       599M  6.1M  593M    2% /boot/efi
tmpfs                                    tmpfs      1.4G  120K  1.4G    1% /run/user/1000
[bitwalk@fedora-pc ~]$ 

以上、予期せぬストレージの容量不足にびっくりして、慌てて対応した顛末でした。😅

ベンチマーク

先述したように、Windows と Fedora Linux についてGeekbench 5 でベンチマークを取りました。

CPU の性能比較では、Linux の方がやや高くなっています。[比較]

Geekbench 5 によるベンチマーク (CPU)
#NamePlatformArchitectureSingle-core ScoreMulti-core Score
11430246 BESSTAR TECH LIMITED X500
AMD Ryzen 7 5700G 3801 MHz (8 cores)
Windows 64 x86_64 1490 8015
11431139 BESSTAR TECH LIMITED X500
AMD Ryzen 7 5700G 4672 MHz (8 cores)
Linux 64 x86_64 1542 8234

 

一方、Compute の方は Windows の方がやや高くなっています。[比較]

Geekbench 5 によるベンチマーク (Compute)
#ModelAPIPlatformCompute Score
3855240 BESSTAR TECH LIMITED X500
AMD Radeon(TM) Graphics
Vulkan Windows 64-bit 18542
3855495 BESSTAR TECH LIMITED X500
AMD Radeon(TM) Graphics
Vulkan Linux 64-bit 18452

ふだん、非力な CPU を搭載した格安 PC のベンチマークばかりを取っているので、このような桁違いの性能では Windows / Linux の差はほとんどないんだなぁと感じました。グラフィック性能 (Compute) の方は、専用のグラフィックボードを搭載しているものの方が凄いスコアを叩き出しているのかもしれませんが、格安 PC ばかり試す自分には別世界です。

性能については上には上がある、ということを重々判っているつもりですが、コストパフォーマンスを考えると、良い買い物をしたと思っています。

参考サイト

  1. bitWalk's: Fedora を i386 から x86_64 へ移行 [2008-04-12]
  2. bitWalk's: 【備忘録】Fedoraで論理ボリュームを追加する [2018-12-29]
  3. "Linuxの父"トーバルズ氏が評価するAMD、そしてインテル - ZDNet Japan [2021-01-09]
  4. Fedora 35 : Change Run-Level : Server World

 

 

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