HP Stream 11 は、11.6 インチ画面を持つエントリーブランドのモバイルノート PC です。何よりも手頃な価格で販売されていることが最大の特徴と言えます。
私は、2015 年 10 月に発売された Stream 11-r016TU に Fedora (Linux) をインストールして愛用してきましたが、2016 年 9 月発売されたモデルに 4GB メモリが搭載されたものを選べるということで、Amazon.jp で発売されるのを待って購入してしまいました。
それぞれのモデルについてのレビューは既に専門の方たちによってなされています。購入に際に参考にさせていただいたいくつかのサイトを紹介します。
- HP Stream 11-r000 シリーズ(2015 年 10 月)
- HP Stream 11-r000の実機レビ ュー - the比較
- HP Stream 11-r000辛口レビュー(外観編)本体デザインやキーボードの使い勝手を検証! – こまめブログ
- 【西川和久の不定期コラム】HP「Stream 11-r000」 ~税別直販価格で3万円を切る11.6型ノートPC - PC Watch
- HP Stream 11-y000 シリーズ(2016 年 9 月)
- HP Stream 11-y000の実機レビ ュー - the比較
- HPのモバイルPC「HP Stream 11-y000」を買ったのでレビューします。 | Tanweb.net
- HP Stream 11-y000 の特徴&簡易レビュー OneDrive 100GBが付属!性能向上した11.6型モバイルノート - prototype
今さらという感はありますが、日本 HP のサイトで紹介されている仕様 [1][2] を元に比較表を作って、それをベースに使用感をまとめました。
仕様比較
シリーズ | HP Stream 11-r000 シリーズ | HP Stream 11-y000 シリーズ | |
---|---|---|---|
発売開始月 | 2015 年 10 月 | 2016 年 9 月 | |
モデル | 11-r016TU | 11-y003TU | 11-y004TU |
外観 | |||
カラー | コバルトブルー | アクアブルー | |
プロセッサ | Intel® Celeron® N2840 (2.16GHz-2.58GHz, L2キャッシュ 1MB) |
Intel® Celeron® N3050 (1.60GHz-2.16GHz, L2 キャッシュ 2MB) |
|
メモリ | 2GB オンボード | 4GB オンボード | |
(1333MHz,DDR3L SDRAM) | (1600MHz,DDR3L SDRAM) | ||
ストレージ | 32GB (eMMC) | ||
Web カメラ | HP TrueVision HD Webcam (約92万画素) | VGA Webcam (約30万画素) | |
内蔵無線LAN | IEEE802.11a/b/g/n/ac, Bluetooth 4.0 | IEEE802.11a/b/g/n/ac, Bluetooth 4.2 | |
グラフィックスタイプ | インテル®HDグラフィックス (プロセッサーに内蔵) | ||
ビデオメモリ | 最大1033MB (メインメモリと共有) | メインメモリと共有 | |
ディスプレイタイプ | 11.6インチワイドHD非光沢・ディスプレイ (1366×768/最大1677万色) | ||
外部ディスプレイ | 最大1920×1080/最大1677万色 | ||
ポインティングデバイス | イメージパッド (タッチジェスチャー対応) | ||
メディアカードスロット | microSDカードスロット | ||
キーボード | 日本語配列 | ||
インターフェイス | HDMI 出力端子×1, USB3.0×1、USB2.0×1, ヘッドフォン出力/マイク入力コンボポート×1 | ||
オーディオ | dts Sound+, Realtek High Definition Audio準拠 | dts Studio Sound, Realtek High Definition Audio準拠 | |
デュアルスピーカー, 内蔵デュアルマイク | デュアルスピーカー, 内蔵マイク | ||
サイズ (幅x奥行きx高さ) | 約 300 x 206 x 18.4 mm | 約 300 × 205 x 18.5(最薄部)-20.0(最厚部)mm | |
質量 | 約1.18 kg | 約1.13 kg | |
ACアダプター | 45W スマートACアダプター(動作電圧:100-240 VAC、動作周波数:50-60 Hz) | ||
消費電力 (標準時/最大時) | 約 5W / 45W | ||
省エネ法に基づくエネルギー消費効率 | S区分 0.043(AA) | Y区分 0.043(AAA) | S区分 0.043(AA) |
バッテリ | リチウムイオンポリマーバッテリ(2セル) | リチウムイオンバッテリ(2セル) | |
バッテリ駆動時間 | 約10時間30分 | 約10時間45分 | |
実勢価格 (amazon.jp 1/26 調べ) | 26,270 円 | 28,980 円 | 38,800 円 |
仕様の比較では、一字でも記載が異なる場合は何かが違うとみなし欄を分け、そうでない場合は共通にして違いが見やすいようにしました。
スペックダウンと機能向上
よく見ると、今回のモデル(HP Stream 11-y000 シリーズ)では、スペックダウンされた項目があります。それは Web カメラの画素数と内蔵マイクです。反面、Bluetooth が 4.2 に対応したり、重量が微妙に軽くなっていたりと小さな改善があります。
Web カメラと内蔵マイクは、自分にとっては使用頻度が低いデバイスですので、うまいところで全体のバランスを取って価格を抑えてくれたように思います。なお、DTS(サウンドシステム)についても表記が微妙に異なるので分けましたが、具体的に何がどう違うのかは判りません。
CPU の違い
CPU が 22nm 世代の Celeron® N2840 から 14nm 世代の Celeron® N3050 へ変わっていますが、参考資料 [3] によると、CPU の処理性能は Celeron® N2840 のほうが高く、グラフィックスの性能は Celeron® N3050 の方が高いようです。
実際の使用感では、Fedora の起動時間や、ログインして GNOME3 のデスクトップ環境が使えるようになるまでの時間は、明らかに新しいモデルの方が早いと感じます。しかしメモリが 4GB であることも影響している可能性が高いです。ベンチマークを別の機会でレポートします。
気に入らない点
筐体がアクアブルーになりましたが、旧モデルのコバルトブルーの方が良かったと感じるのは、まだ新しいカラーに慣れていないからでしょうか。
しかし変更は色だけではありません。今回のモデルでは電源 ON/OFF のボタンの発光ダイオードが無くなりました。旧モデルでは電源を ON にすると、電源マークのダイオードが灯り(左図左側)、ON の状態を容易に確認できましたが、新モデルではその確認ができなくなりました(左図右側)。
筐体左側面のダイオードが灯るので電源 ON/OFF の状態を確認できるのですが、電源ボタンのリアクションが無くなるとなんだか拍子抜けしてしまいます。慣れが必要なのかもしれません。
こういうダイオードによる表示もバッテリーの消費に効いてくるのは判りますが、発光ダイオードを減らすのであれば、筐体左側面ではなく電源ボタンの方のダイオードを残して欲しかったです。その場合、ディスプレイパネルを閉じれば電源 ON/OFF の状態を確認できなくなってしまうので、悩ましいところではあります。
そういえば、インターフェイス部分の 🎧 みたいな表示が、前モデルはコバルトブルーの筐体に白色で示されていたのに対し、新モデルでは凹凸で示されているだけで、やや識別しにくくなってしまいました。このように色を塗らずに凸凹にする方がきっとコスト的には有利なのででしょうが、個人的には安っぽくなったという感が拭えません。
ストレージは、旧モデルと同じく eMMC で容量も 32GB のままになっています。Windows の場合 C ドライブに割り当てられるので、この容量の少なさがネックになりそうですが、ロジカルボリューム (LVM) を標準で扱える Linux においては、microSD カードと組み合わせて使えば良いので、あまり気にすることはありません。
欲を言えば、もし eMMC の容量が 64GB あれば、/home だけ microSD に分離するという贅沢な使い方を余裕で出来るので、運用がもっと楽になります。
※ システム要件にはありませんが、Fedora や RHEL ではインストール時におけるパーティションの自動設定の挙動から察するに、フルインストールに必要な領域は、最大でも 50GB 程度と見積もっているようです。
モバイルノートの楽しみ方
私の仕事は出張が多く、週の半分以上はホテル暮らしです。業務で使うノート PC はショルダーバッグへ、プライベートで使う PC (HP Stream 11-y004TU) をキャリーバッグに忍ばせ、ごろごろ引いて持ち歩いています。
※ HDD がストレージの主流だった時代は、キャリーバッグに入れてごろごろ引いて歩くと、継続的な衝撃で HDD が劣化していくことを常に心配していました。SSD や eMMC を利用できるようになった今、そのような心配をしなくて済むようになりました。
こういったサブノート的な役割を担うノート PC に期待する性能はそれほど高くはありません。ホテルの WiFi に接続して Web サーフィンをして調べ物をして、プライベートのメールの確認をする程度です。そう、Amazon.jp でプライム・ビデオも見ます。さらに言うなら、プログラミングでプロトタイプ開発案件の動作確認もしたいと言ったところでしょうか。
JavaFX による GUI アプリケーションであれば NetBeans で、Python/wxPython による GUI アプリケーションであれば Eclipse で、そこそこ動作確認や修正を行えれば合格点です。動作速度がクリティカルな開発案件はありませんが、データ処理量は多いので、メモリが多いほど安心です。
前述のような不満点はありますし、Amazon.jp で価格が安定するまで待てなかったという失敗はありますが、総合的に考えると今回の新モデル HP Stream 11-y004TU はまあまあ良い買い物だったと思っています。
参考サイト
- HP Stream 11-r000 シリーズ(詳細スペック)
- HP Stream 11-y000 シリーズ(詳細スペック)
- Celeron N3050とN2840の違いは?Braswell世代のCeleronの性能をチェック! – こまめブログ [2015-07-03]
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