2022-03-30

Red Hat Enterprose Linux 9 とクローン OS

Red Hat Enterprise Linux, RHEL は、Red Hat 社によって開発されている、エンタープライズ市場向けの Linux ディストリビューションです。最近の RHEL のライフサイクルは 10 年で、延長が必要であれば追加サブスクリプション (Extended Lifecycle Support Add-On) も提供されます。

Wikipedia より引用、翻訳、編集

次期 Red Hat Enterprise Linux 9 のベータ版が昨年 11 月にリリースされていますが [1]、正式版のリリースはいつになるのでしょうか。

参考サイト [2] によると Red Hat 社は Red Hat Enterprise Linux の将来のリリーススケジュールについては開示しないということですが、RHEL のメジャーバージョンは 3 年おきにリリースされると言われており、現 RHEL 8 のリリースが 2019 年 5 月 7 日であったことから [3]、RHEL 9 も今年の同じような時期にリリースされるのではないかと予想しています。

既に RHEL 9 のベータ版に対応した版をリリースしている RHEL のクローン OS と呼ばれるディストリビューションがいくつかあります。

Red Hat Enterprise Linux 9 beta

CentOS Stream 9 [4] をベースにして開発されている次期 RHEL 9 のベータ版です。

Red Hat Enterprise Linux のダウンロードサイト

ダウンロードにはサブスクリプションを持っている Red Hat ID が必要になります。自分は Red Hat Developer Program の無償サブスクリプション [5] でダウンロードしました。

Red Hat Enterprise Linux 9 ベータ版のデスクトップ画面

EuroLinux 9 beta

EuroLinux は、RHEL のソースコードから開発されたエンタープライズ用途のオペレーティングシステムで、RHEL とのバイナリ互換性が保証されています。なお、EuroLinux を開発している EuroLinux Sp. z o. o.(EuloLinux 社)は、ポーランドにあります。

EuroLinux 9 beta のダウンロードサイト

この iso ファイルでは、最小限の CUI 環境しかインストールされないので、root でログイン後、下記のようにして、ワークステーション用のグラフィカルなデスクトップ環境に必要なパッケージをインストールしました。

[root@eurolinux9 ~]# dnf group install Workstation
   :
   :
   :
[root@eurolinux9 ~]# systemctl set-default graphical.target
   :
[root@eurolinux9 ~]# reboot
EuroLinux 9 ベータ版のデスクトップ画面

Virtuozzo Linux (VzLinux) 9 beta

スイスにある Virtuozzo International GmbH(Virtuozzo 社)は、2000 年に初めて商業的に利用可能な OS レベルの仮想化コンテナ技術を開発した会社です。2005 年に OpenVZ としてオープンソース化されました。

Virtuozzo Linux (VzLinux) も EuroLinux と同様に、RHEL をベースにして開発されています。

Virtuozzo Linux (VzLinux) 9 beta のダウンロードサイト

この iso ファイルでも CUI 環境しかインストールされないので、EuroLinux の時と同様にして、ワークステーション用のグラフィカルなデスクトップ環境に必要なパッケージをインストールしました。

VzLinux 9 ベータ版のデスクトップ画面

VzLinux ではインストール時に、日本語フォントなどマルチバイトのフォントが含まれていないようで文字化けしており、日本語でのインストールは諦めました。またワークステーション用のパッケージをインストールした時に、日本語入力システム Anthy パッケージを利用できませんでした。

AlmaLinux や Rocky Linux の動向

CentOS の開発終了を受けて立ち上がった RHEL クローンの新興ディストリビューション、AlmaLinuxRocky Linux の RHEL 9 への対応が気になるところですが、CentOS がそうであったように、RHEL のベータリリースには対応しないと考えられます。RHEL 9 がリリースされた後の動向を注視するつもりです。

参考サイト

  1. Red Hat Enterprise Linux 9 Betaでました - 赤帽エンジニアブログ [2021-11-04]
  2. Red Hat Enterprise Linux のリリース日 - Red Hat Customer Portal
  3. Red Hat Enterprise Linux 8 リリース! - 赤帽エンジニアブログ [2019-05-08]
  4. CentOS Stream入門 - 赤帽エンジニアブログ [2021-03-19]
  5. Red Hat Developer Programに参加して最新技術を学習しよう - 赤帽エンジニアブログ [2019-06-18]
  6. bitWalk's: EuroLinux 9 ベータ版リリース [2022-03-03]

 

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2022-03-24

PySide6: チェックボックス付きの QTreeView

PySide (Qt for Python) は、Qt(キュート)の Python バインディングで、GUI などを構築するためのクロスプラットフォームなライブラリです。配布ライセンスは LGPL で公開されています。最新のバージョンは Qt6 に対応した PySide6(記事執筆時点で 6.2.3)です。

今回は、出来合いの QStandardItemModel を使って、QTreeView に表示するチェックボックス付きのツリー構造のサンプルを紹介します。

下記の OS 環境で動作確認をしました。

Fedora Silverblue 35 x86_64
Python 3.10.3
PySide6 6.2.3
qt_treeview_check.py
qt_treeview_check.py の実行例

チェックボックスの表示を強調してしまったために、ちっともツリー構造らしくないのですが、チェックすることで下記のように出力されます。

0 北海道 checked
1 青森県 checked
0 札幌市 checked
1 青森市 checked
1 青森市 unchecked

参考サイト

  1. QTreeView — Qt for Python
  2. QStandardItemModel — Qt for Python
  3. QStandardItem — Qt for Python

 

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2022-03-23

今度の Fedora Linux 36 の壁紙(更新)

Fedora Linux は Red Hat 社が支援するコミュニティ Fedora Project で開発されているディストリビューションで、最新の技術を積極的に取り込むことで知られています。また Fedora Linux の開発成果が、後にリリースされる Red Hat Enterprise Linux, RHEL に取り込まれています。Fedora Linux は、おおむね春と秋の年二回の頻度で新しい版がリリースされています。

4 月末にリリースが予定されている次期 Fedora Linux 36 ですが、ベータ版がリリース(米国時間 3 月 29 日の予定)される直前(でもないか?)で、壁紙が変更されました [3]

Fedora Linux 36 Workstation(開発版)のデスクトップ(更新)

たかが壁紙なんですが、目立つ変更ですので記事にしました。

参考サイト

  1. Fedora Linux 36 Schedule: Key
  2. Releases/36/ChangeSet - Fedora Project Wiki
  3. bitWalk's: 今度の Fedora Linux 36 の壁紙 [2022-03-07]

 

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2022-03-20

Windows の exe ファイルのプロパティ ~ PyInstaller ~

PyInstaller は Python アプリと依存するライブラリなどのファイルを一つのパッケージにまとめます。ユーザーは、Python インタプリタやモジュールをインストールすることなく、パッケージ化されたアプリを実行することができます。

PyInstaller の基本的な使い方については、本ブログの過去記事 [1] を参考にしてください。

自分にとって PyInstaller が重宝するのは、Python で作ったアプリケーションを Windows 用に配布したい時です。配布するアプリのバージョン情報などはアプリ側で持っていますが、なにもケアしないと exe ファイルのプロパティにはアプリの情報が表示されません。

ということで、今回は、Python アプリを PyInstaller で exe 化して Windows 用に配布する際に、下記のようにバージョンなどのプロパティ情報を付与するサンプルを紹介します。

PyInstaller で生成した Windows の exe ファイルのバージョン情報例

今回のサンプルは、下記のようにクローンするか、同等の方法でサンプルコードを入手してください。

$ git clone https://github.com/bitwalk123/Calculator.git

このサンプルは電卓プログラムで、GUI ライブラリに PySide6 を使用するので PyInstaller と一緒にインストールします。なお、必要最小限のパッケージで exe 化するには、venv で仮想環境を用意することをお薦めします。

> pip install pyside6 pyinstaller

参考サイト [2] の情報を参考にして、下記のようなバージョン情報のファイルを用意しています。とりあえず、ファイルの拡張子を .rc とします。

calculator.rc

今回は、プロジェクトのフォルダ Calculator 内で下記のように PyInstaller を実行しました。

PS C:\Users\...\PycharmProjects\Calculator> pyinstaller -w -i calculator.ico --version-file calculator.rc --add-data 'LICENSE;.' --add-data 'README.md;.' calculator.py
197 INFO: PyInstaller: 4.10
197 INFO: Python: 3.9.6
207 INFO: Platform: Windows-10-10.0.19042-SP0
   :
   :
   :
8167 INFO: Building COLLECT COLLECT-00.toc
11060 INFO: Building COLLECT COLLECT-00.toc completed successfully.
PS C:\Users\...\PycharmProjects\Calculator> 

自分は、Python で作成したアプリを単一ファイルの実行形式にすることには興味がなく、下記のように実行形式のファイルを生成でさえきれば、それで満足してしまいます、この calculator.exe のプロパティを見ると、冒頭のようになっていることが確認できます。

exe 化された C:\Users\...\PycharmProjects\Calculator\dist\calculator 内

参考サイト

  1. bitWalk's: PyInstaller を使ってみる [2020-10-11]
  2. python - How do I write version files for pyinstaller 3.2 - Stack Overflow [2016-08-10]

 

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2022-03-18

Ubuntu 22.04 LTS (Jammy Jellyfish) のデスクトップ画面

Ubuntu (/ˈʊbʊntuː/) は、Canonical 社から支援を受けて開発されている Debian をベースにした Linux ディストリビューションです。Ubuntu は半年ごと(通常 4 月と 10 月)にリリースされます。リリースの番号は、西暦の下二桁とリリース月を合わせて 21.10 のように表示されます。Ubuntu は Desktop, Server および Core(IoT 向け)の 3 つのエディションをリリースしています。

リリースの種類には通常版と、長期サポート版(LTS、Long Term Support)があります。通常版のサポート期間はリリースから 9ヶ月です。長期サポート版は 2 年毎(8.04 LTS から、西暦偶数年の 4 月)にリリースされ、サポート期間は公開から 5 年です。さらに ESM (Extended Security Maintenance) プログラムを利用すると、最長10年のサポートが受けられます。

Wikipedia より引用・翻訳、編集

4月末にリリースされる予定の次期 Ubuntu の LTS リリース、22.04 (Jammy Jellyfish) について、参考サイト [1] から開発版の ISO ファイルをダウンロードして、仮想マシン上で試していますが、ようやく新しいデスクトップの壁紙がリリースされたようです。

Ubuntu 22.04 LTS (Jammy Jellyfish) のデスクトップ画面

開発コード名 Jammy Jellyfish⁠(⁠幸運なクラゲ⁠)のとおり、今回はクラゲの壁紙です。⁠

参考サイト

  1. Ubuntu 22.04 LTS (Jammy Jellyfish) Daily Build

 

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2022-03-17

【備忘録】Numba を試す

Numba は、Python と NumPy のコードのサブセットを、高速な機械語に変換するオープンソースの JIT コンパイラです。Numba のサイト [1] によると、Numba デコレータを Python 関数に適用するだけで、実行時に機械語に変換されるということです。

Numba のサイトで紹介されている簡単なサンプルで、Numba の有無で実行速度の差がどのぐらい違うのかを確認してみました。

下記の OS 環境で動作確認をしました。

Fedora Silverblue 35 x86_64
Python 3.10.2
Numba 0.55.1

Numbe は pip コマンドでインストールしました。

(venv) $ pip install numba

以下のサンプルの処理部分は、Numba のサイト [1] で紹介されているモンテカルロ法のサンプルの丸写しです。Numba のデコレータ指定の有無での実行速度の差を計測してみました。

test_numba.py

非力な CPU (Intel Celeron N4020) を搭載した PC による結果です。

monte_carlo_pi_1 function tool 11921.090 ms
Pi = 3.140964
monte_carlo_pi_2 function tool 2346.997 ms
Pi = 3.1419032

monte_carlo_pi_1 が Numba 指定無し、monte_carlo_pi_2 が Numba 指定有りです。簡単な処理とはいえ、一億回ループを回して、計算時間が一桁違うのであれば、使ってみる価値は十分ありそうです。また、並列演算にも使えるようなので、使いこなせるようになればパフォーマンス向上に役立ちそうです。

参考サイト

  1. Numba: A High Performance Python Compiler

 

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2022-03-08

【備忘録】Python のデコレータ

独学でプログラミング言語を使っていると、ときどきとんでもなく初歩的なことを知らなくて赤面😳することがあります。Python のデコレータもそのひとつです。備忘録として、簡単な GUI サンプルに適用してみました。

下記の OS 環境で動作確認をしました。

Fedora Silverblue 35 x86_64
Python 3.10.2
PySide6 6.2.3
qt_filedialog.py

聖書のファイル bible.txt を読み込んでみました。

qt_filedialog.py の実行例

GUI の実行例は実は重要ではなく、今回は、下記の出力の方が重要です。

read_data function took 14.084 ms

参考サイト

  1. Python time measure function - Stack Overflow [2011-03-29]

 

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2022-03-07

今度の Fedora Linux 36 の壁紙

Fedora Linux は Red Hat 社が支援するコミュニティ Fedora Project で開発されているディストリビューションで、最新の技術を積極的に取り込むことで知られています。また Fedora Linux の開発成果が、後にリリースされる Red Hat Enterprise Linux, RHEL に取り込まれています。Fedora Linux は、おおむね春と秋の年二回の頻度で新しい版がリリースされています。

たかがデフォルトの壁紙が変わったぐらいで騒ぐのもなんですが、4月末にリリースが予定されている Fedora Linux 36 Workstation の開発版にアップグレードしたところ、従来とは異なる雰囲気の壁紙に変わったのでビックリしました。

Fedora Linux 36 Workstation(開発版)のデスクトップ

Fedora Linux の壁紙は、いつも青系の色調で、どちらかというとシャープな感じがするデザインでした(Fedora 34 の幻想的情景の壁紙は例外)。今回は暖色が加わった、太陽と山(森)、川の情景です。

まだベータ版にもなっていないので、Fedora Linux 36 の正式なリリースまでに壁紙が変わる可能性はあります。

これから、Fedora Linux 36 の特徴をまとめる予定です。

参考サイト

  1. Fedora Linux 36 Schedule: Key
  2. Releases/36/ChangeSet - Fedora Project Wiki

 

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