2019-03-09

ASUS TransBook T100HA と Fedora 29

3年ほど前、2016 年頃の格安ノート PC といえば、非力な CPU に RAM が 2GB、ストレージが eMMC で 32GB という構成が主流でした。

そんな中、Amazon プライム会員向けセール「プライムデー 2016」で衝動的に買ってしまった ASUS TransBook T100HA(38,800 円)は、4GB の RAM、64GB の eMMC という構成で非力ながらも 4 コアの Atom プロセッサを搭載した、当時はワンランク上の 2 in 1 の「格安PC」でした [1]

[購入日 2016 年 7 月 12 日]

この PC は自分にとって Linux でタッチスクリーンを試す最初の PC でもありました。しかし、Linux をフツーにインストールした状態ではタッチスクリーンを縦横自由に使えないばかりか無線やサウンドも使えませんでした [2]。細かい設定を追加すればそれなりに使えましたが手が掛かるので次第に使わなくなってしまいました。

起動できなくなった Manjaro

ところが最近になって Manjaro 18 をインストールしてみたところ、ほとんどの機能が利用できるようになっていることが判ったので、遅ればせながら出張時にプライベート用の PC として携行するようになりました [3]。これで Manjaro を長く使うことになりそうだと思ったのですが…、そうはなりませんでした。三週間ほど前、出張先のホテルで(ちょっと大きな)パッケージ更新をして再起動したところ、起動しなくなってしまったのです。

理由がよく判らなかったのですが、更新によって起動に必要なあるパッケージが無くなってしまっていたようです。😭

Fedora 27 をインストール → Fedora 29 へ

業務で使用している Windows PC は、暗号化しないとメディアへの書き込みができないようになっていて、ISO イメージをダウンロードしても起動用の USB メモリを作成することができません。Manjaro が起動しなくなってしまったのは出張先のホテルでの更新時だったので、これでは何もできません。

幸い、手持ちに古い Fedora 27 のインストール用 USB メモリがあったので、応急措置として仕方無くこれをインストールしてから最新の Fedora 29 までアップグレードしていくことにしました。すると、アップグレードしている中で、昔 Fedora 24 をインストールした時には使えなかったタッチスクリーンが使えるようになっていることに気がつきました。

Fedora 29 へアップグレード後に機能を確認した結果を下記にまとめました。いつのまにか Fedora でも T100HA のかなりの機能が利用できるようになっていました。😄

Fedora 29 で利用できる T100HA の機能(上から順に優先度が高い)
WiFi Ubuntu 17.10 をインストールした時 [2] と同様に、WiFi ファイルを設定することで利用できるようになりました。
タッチスクリーン  
画面自動回転  
オーディオ  
Bluetooth ルート権限で BCM43341B0.hcd/lib/firmware/brcm/ にコピー、再起動して利用できるようになりました。
バッテリー残量  
カメラ ×  

キーボードを取り外してタブレットを縦横に変えた時に、画面が自動的に縦横に変わることを確認しました。

T100HA のキーボードを取り外してタブレットとして縦横に動かした例

T100HA に microSD カードを挿入すると、すっぽりとは入らずに下記のように少しだけ外に出ます。

microSD カードの挿入口

そのため、気付かずに触ってしまったり、どこかに当ててしまったりして、いつの間にか microSD カードが外れていることがあります。使用中に誤って外れる可能性もあるので microSD カードを LVM/home (/dev/mapper/fedora-home) の領域に加えることはせずに、アカウント内からシンボリックリンクして、あくまでもデータ領域として使うことにして、使用中に万が一外れてしまっても致命的な問題にならないようにしています。

df コマンドでストレージの容量を確認した例
リスト:ブロックデバイスの一覧 
$ lsblk
NAME               MAJ:MIN RM   SIZE RO TYPE MOUNTPOINT
mmcblk0            179:0    0  58.2G  0 disk 
├─mmcblk0p1      179:1    0   200M  0 part /boot/efi
├─mmcblk0p2      179:2    0     1G  0 part /boot
└─mmcblk0p3      179:3    0    57G  0 part 
   ├─fedora-root 253:0    0  35.7G  0 lvm  /
   ├─fedora-swap 253:1    0   3.9G  0 lvm  [SWAP]
   └─fedora-home 253:2    0  17.5G  0 lvm  /home
mmcblk0boot0       179:8    0     4M  1 disk 
mmcblk0boot1       179:16   0     4M  1 disk 
mmcblk2            179:24   0 120.3G  0 disk 
└─mmcblk2p1      179:25   0 120.3G  0 part 
$ 

まとめ

私は「古い PC に Linux をインストールして再利用しよう」という Linux 普及のやり方があまり好きではありません。新しい PC に Linux をインストールすれば、もっともっと快適に使えるのに…と思うからです。

今では仕事でしか Windows を使わなくなってしまった変わり者の戯言です。

格安 PC に Linux をインストールするのが趣味である私は、年に一回以上の頻度で格安 PC を買っては Linux をインストールして遊んでいます。しかし、買ってきた格安 PC は次第に古くなります。結果的に、処分できない古い PC に Linux をインストールし続けていることになっています🤔。ところが、購入当時にインストールした Linux では利用できなかったサウンド機能などが、今の Linux ではフツーに利用できるようになっている…なんて現象をたびたび経験しています。古い PC に Linux をインストールすることにはそれなりの発見もあるのです。

Linux カーネルの開発は日々続けられており、まさに日進月歩ですが、周辺デバイスへの対応は、Linux でそのデバイスを使いたいユーザーの需要およびデバイスドライバを含んだパッケージを作れる開発者で決まるので、Linux で使えるようになるのは、Windows に比べれば遅れてしまうのでしょう。しかも他に需要がなければ、自分で調べて作るしかありません。

ASUS TransBook T100HA の Linux 化は、時間はかかりましたが幸いにもカメラ以外は使えるようになりました。オープンソース世界の開発者のみなさんの努力に感謝です。

参考 サイト

  1. bitWalk's: プライムデー 2016 と ASUS TransBook T100HA [2016-07-13]
  2. bitWalk's: ASUS TransBook T100HA と Ubuntu 17.10 [2017-11-12]
  3. bitWalk's: ASUS TransBook T100HA と Manjaro 18 [2019-02-13]

いまさらですが…

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