2025-07-27

deepin 25 をインストール

deepin(深度操作系统)は、中国に拠点をおく UnionTech(统信软件)の子会社である Wuhan Deepin Technology Co., Ltd.(武汉深之度科技有限公司)が開発している Linux ディストロです。デスクトップ環境に Qt を利用した独自の DDE (Deepin Desktop Environment) を採用しています。

deepin は DDE をデスクトップ環境にした Debian ベースのディストロだと単純に思っていましたが、そんな単純なプロジェクトではないようです。Deepin_Profile | DeepinWiki によると、2022 年以降の開発計画では、Linux カーネルをベースに独自のディストロへの展開を目指しているように見えます。一部を抜粋しました。

Plan of Deepin after 2022 year

  • based on kernel
graph LR 1(Linux Kernel)---2(Deepin) 2(Deepin)---3(UniontechOS) 2(Deepin)---4(Other OS)

deepin 25

2025-06-21 に deepin 25 がリリースされたので、遅ればせながら評価用の PC にインストールしてみました。インストール用の ISO イメージは下記からダウンロードできます。

リリースノートによると、このリリースの新機能は以下の 5 点になっています。

  1. DDE 7.0
    • DDE は Qt で記述された deepin 独自のデスクトップ環境です。
    • QMLを使用して数多くのデスクトップコンポーネントを再構築しました。
  2. UOS AI
    • UOS AI という音声 AI アシスタントが利用可能になりました。
    • 話すだけで操作
      • システムが聴き取ります。画面の明るさを調整したり、迅速に会議を作成したい場合、自然言語でシステムにコマンドを発行してみてください!
      • 音声でもテキストでもシステムは理解し、面倒なメニュークリックから解放されます。
    • デュアルモードエンジン
      • DeepSeek、Baidu Qianfan、iFlytek Sparkなどの主要なオンライン大規模モデルに接続し、クラウドコンピューティングのパワーを活用できます。
    • エージェントストア
      • AIアシスタントの新しい「エージェントストア」から、さまざまな分野のエージェントをダウンロードし、AIの応用シーンを拡大し、よりパーソナライズされたAIを実現できます。
  3. Solid (deepin Immutable System)
    • Solid というイミュータブル(読み取り専用)のシステムが導入されました。
    • 読み取り専用保護
      • /usr/bin などのシステムコアディレクトリを読み取り専用として強制マウントすることで、システムはユーザーによる誤操作やマルウェアによるシステムコアの改変を根本的に阻止し長期的に安定した動作を保証します。
    • セカンドレベルのスナップショット
      • システム更新のたびに、システムは自動的にバックアップスナップショットを作成します。更新中に予期せぬ問題が発生した場合でも、再起動時に最後の正常な状態に自動的にロールバックするため、「更新によるシステム破損」の不安を解消します。
    • 安心復元
      • 公共のコンピュータや展示用デバイスなどのシナリオ向けに設計された「安心復元」機能は、再起動時に使用履歴を自動的に削除するほか、セキュリティと効率のバランスを調整するためのホワイトリスト設定もサポートしています。
  4. Linyaps: Universal Adaptability,Deep Ecosystem Roots
    • Linyaps はコンテナ化されたサンドボックス技術を採用し、アプリケーションとその依存関係ライブラリを完全に隔離します。
      • 単一のLinyapパッケージは Debian、Ubuntu、Arch、Fedora、openEuler を含む7つの主要なディストリビューション上で直接実行可能です。
      • マルチアーキテクチャ対応
        • AMD64、ARM64、LoongArch64など、主要な CPU アーキテクチャに対する包括的なサポートを提供しています。
        • Linyaps のエコシステムには、オフィス、開発、エンターテインメントなど多様なニーズに対応する 5000 を超えるソフトウェアパッケージがホストされています。
  5. Community Power Tools
    • Distrobox サブシステム
      • Debian 12、Ubuntu (20.04/24.04)、Arch、Fedora (41/42) などの主要なディストリビューションのサブシステムイメージを App Store から直接インストールでき、慣れた開発やテスト環境を自由に構築できます。
    • Treeland ウィンドウコンポジター (プレビュー / 探索)
      • 独自開発したコンポジターは、アニメーションの滑らかさを 40% 向上させ、マルチフィンガータッチパッドジェスチャー追跡をサポートし、シルクのような滑らかな操作を実現します。
    • クロスデバイスコラボレーション
      • PC 間のキーボード/マウスとクリップボード共有をだけでなく、スマートフォンと PC 間の双方向制御を実現。
      • スマートフォンのメッセージに返信したり、スマートフォンのアプリをパソコンの大画面で操作したりすることで、シームレスで統合されたワークフローを構築可能。
    • 主要アーキテクチャ対応
      • AMD64 / ARM64 / LoongArch64 / RISC-V アーキテクチャに対応。
      • 対応デバイスには Raspberry Pi 4B+、Radxa Rock5B/5B+、ROCK 5 ITX マザーボードなどが含まれます。
    • グローバル対応
      • インストーラーに17言語を追加。
      • システムレベルの翻訳は51言語に対応。
      • App Store は地域別のコンテンツ配信をサポートし、グローバルユーザーに一貫したローカライズされた体験を提供。

deepin 25 の使用感や詳細な特徴などについては、少し調査する時間が必要です。今回は日本語用入力メソッドの設定方法を紹介するだけにとどめます。

日本語用入力メソッドの設定

日本語用入力メソッドを利用するにはパッケージのインストールと設定が必要になります。

パッケージのインストールには Debian と同じように apt コマンドを利用できます。ここでは、fcitx5-mozc をインストールして日本語用入力メソッドを利用できるようにする方法を紹介します。

bitwalk@deepin-PC:~$ sudo apt install fcitx5-mozc
[sudo] bitwalk のパスワード:
Verification successful
パッケージリストを読み込んでいます... 完了
依存関係ツリーを作成しています... 完了        
状態情報を読み取っています... 完了        
以下の追加パッケージがインストールされます:
  fcitx-mozc-data libprotobuf32 mozc-data mozc-server mozc-utils-gui
提案パッケージ:
  ibus-qt5
以下のパッケージが新たにインストールされます:
  fcitx-mozc-data fcitx5-mozc libprotobuf32 mozc-data mozc-server mozc-utils-gui
アップグレード: 0 個、新規インストール: 6 個、削除: 0 個、保留: 7 個。
13.8 MB のアーカイブを取得する必要があります。
この操作後に追加で 27.4 MB のディスク容量が消費されます。
続行しますか? [Y/n] y
取得:1 https://community-packages.deepin.com/beige crimson/main amd64 mozc-data all 2.28.4715.102+dfsg-2.3deepin1 [16.8 kB]
取得:2 https://community-packages.deepin.com/beige crimson/main amd64 fcitx-mozc-data all 2.28.4715.102+dfsg-2.3deepin1 [8,408 B]
取得:3 https://community-packages.deepin.com/beige crimson/main amd64 libprotobuf32 amd64 3.21.12-8deepin2 [941 kB]
取得:4 https://community-packages.deepin.com/beige crimson/main amd64 mozc-server amd64 2.28.4715.102+dfsg-2.3deepin1 [11.7 MB]
取得:5 https://community-packages.deepin.com/beige crimson/main amd64 fcitx5-mozc amd64 2.28.4715.102+dfsg-2.3deepin1 [276 kB]
取得:6 https://community-packages.deepin.com/beige crimson/main amd64 mozc-utils-gui amd64 2.28.4715.102+dfsg-2.3deepin1 [856 kB]
13.8 MB を 37秒 で取得しました (376 kB/s)                                                                    
以前に未選択のパッケージ mozc-data を選択しています。
...
(途中省略)
...
libprotobuf32:amd64 (3.21.12-8deepin2) を設定しています ...
mozc-data (2.28.4715.102+dfsg-2.3deepin1) を設定しています ...
fcitx-mozc-data (2.28.4715.102+dfsg-2.3deepin1) を設定しています ...
mozc-server (2.28.4715.102+dfsg-2.3deepin1) を設定しています ...
mozc-utils-gui (2.28.4715.102+dfsg-2.3deepin1) を設定しています ...
fcitx5-mozc:amd64 (2.28.4715.102+dfsg-2.3deepin1) を設定しています ...
desktop-file-utils (0.28-1) のトリガを処理しています ...
hicolor-icon-theme (0.17-2) のトリガを処理しています ...
libc-bin (2.38-6deepin13+rb1) のトリガを処理しています ...
bamfdaemon (0.5.6+repack-1) のトリガを処理しています ...
Rebuilding /usr/share/applications/bamf-2.index...
bitwalk@deepin-PC:~$ im-config -n fcitx5
bitwalk@deepin-PC:~$

コントロールセンターを起動して、左側の「デバイス」タブをクリック、右側画面の「キーボード」をクリックして表示される画面下側の「入力メソッド」をクリックした画面で、以下のように入力メソッドの追加をクリックして入力メソッドを追加します。

なお、システムを再起動した後に、入力メソッドの追加の一覧に Mozc が表示されました。

また、「キーボード - 英語(US)」は、日本語キーボードのレイアウトの場合は不要です。この例では、インストールした廉価な中華PCのキーボードが英語レイアウトだったので、英語のレイアウトも残しています。

日本語用入力メソッドを有効にするには Ctrl + スペース を押下します。

米国依存を減らしたい中国

華為 (Huawei) がスマートフォン向けに HarmonyOS を開発しているように、deepin は Windows に替わる OS を目指しているのでしょうか。

Wikipedia の Unity Operating System(UOS, 统一操作系统)の説明によると、一般ユーザー向けが deepin だとあります。UOS は明確に Windows 代替になることを目指しているプロジェクトです。

deepin の Community Edition は多言語に対応していますが、UOS のダウンロードサイトは英語の画面が提供されておらず解読が難しいです。しかし URL は英語表記 (www.chinauos.com/resource/download-professional) なので、こちらが Professional 版(商用版?)のダウンロードサイトであると推測できます。

例えば「统信UOS桌面专业版」は、UnionTech UOS Desktop Professional Edition です。

ちなみに statcounter で中国で使用されている OS のマーケットシェアを確認すると、依然 Windows のシェアが高いように見えます。それでも UOS が中国国内の Loongson などの CPU への対応を進めていることから、徐々にシェアは変化いくのかもしれません。

Source: StatCounter Global Stats - OS Market Share

参考サイト

  1. Deepin - Deepin Linux Distribution Wiki | DeepinWiki

 

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2025-07-11

PySide6 でソケット通信

PySide (Qt for Python) は、Qt(キュート)の Python バインディングで、GUI などを構築するためのクロスプラットフォームなライブラリです。Linux, macOS および Microsoft Windows をサポートしています。配布ライセンスは LGPL で公開されています。

Qt Network を利用して GUI アプリの間でソケット通信をしてみたくて簡単なサンプルがないか探したところ、下記に PySide6 のサンプルがありました。

同一の PC 上 (127.0.0.0) で動作するように作られたサーバーとクライアントの簡単なサンプルです。まさにこんなサンプルが欲しかったのですが、使いやすいように少々手を加えました。

下記の OS 環境で動作確認をしています。

Fedora Linux Workstation 42 x86_64
Python 3.13.5
PySide6 6.9.1

サーバー (qt_tcpsocket_server.py) とクライアント (qt_tcpsocket_client.py) のサンプルを起動し、クライアント側の Connect ボタンをクリックすると、サーバー側のウィンドウに Connected from ... のメッセージ、クライアント側のウィンドウに Connected to server. のメッセージが表示されます。

クライアント側の Message: のエントリに文字列を入力して Enter キーを押すと、サーバー側へ入力した文字列が送信され、クライアント側でもサーバーが受信した文字列が表示されます。

クライアント側の IP アドレスと Port 番号の入力欄は将来の拡張用で、現在のところデフォルトの設定を変更しても動作しません。

以下に 2 つのサンプルのコードを示しました(不具合が見つかり次第、更新しています)。

qt_tcpsocket_server.py
qt_tcpsocket_client.py

参考サイト

  1. PySide6.QtNetwork.QTcpSocket - Qt for Python
  2. PySide6.QtNetwork.QTcpServer - Qt for Python
  3. PySide6.QtNetwork.QAbstractSocket - Qt for Python

 

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2025-06-25

AlmaLinux 10 と RDP

AlmaLinux OS はオープンソースでコミュニティ主導のエンタープライズ Linux ディストロであり、RHEL とバイナリ互換性があります。AlmaLinux OS Foundation は、AlmaLinux OS コミュニティの利益のために設立された 501 (c) (6) の非営利団体です。

先月 Red Hat Enterprise Linux 10(以降 RHEL10)がリリースされて、早速 RHEL10 をリリースしようと思ったのですが、RHEL10 がサポートする AMD および Intel 64 ビットアーキテクチャーは x86-64-v3 である必要があります [1]。RHEL9 をインストールして稼働させていたファイルサーバーの安物のミニ PC は、あいにく RHEL10 へのアップグレードができません。

サーバーを新調したかったのですが、ファイルサーバや cron で集計作業をさせる程度の用途ではまだまだ使えるのでちょっと勿体ない。そこで新しい OS を試したい欲求を満たすため、x86-64-v2 対応のイメージも公開している AlmaLinux 10 へ乗り換えることにしました [2]

xrdp パッケージが見つからない!

AlmaLinxu 10 (v2) のインストールが終わり、今までのように xrdp をインストールして、メイン PC の Fedora Linux から Remmina で RDP 接続して Windows と同様に AlmaLinux 10 (v2) もリモートデスクトップとして利用しようとしたのですが、xrdp パッケージが見つかりません。

さて、どうしたものかと代替案を探していたところ、RHEL10 のドキュメントに答えがありました。

あとでじっくり読み直したら、「1.2. GNOME リモートログインの設定」だけで今までのリモートデスクトップ用途を実現できたように思いましたが、最初は 1.1, 1.2 を設定して 1.3 を試しました。なお、gnome-remote-desktop パッケージは既にインストールされておりました。

設定は上記のドキュメントの通り GNOME の設定をしてファイヤウォールルールの設定をすれば使えるようになるはずですが、なぜかうまくいきませんでした。Cockpit にログインして SELinux access control errors を確認すると以下のメッセージが出ていました。

  • SELinux により、/usr/libexec/gnome-remote-desktop-daemon による read アクセスが、ディレクトリー /var/lib/sss/pubconf/krb5.include.d で拒否されました。

下記のコマンドを実行したところ、RDP による接続ができるようになりました。

sudo ausearch -c 'gnome-remote-de' --raw | audit2allow -M my-gnomeremotede
sudo semodule -i my-gnomeremotede.pp

GNOME の Connections(Fedora Linux 42 の gnome-connections) から RDP 接続できることを確認しましたが、使い慣れている Remmina を使って接続しています。

接続後のログイン画面

xrdp サーバを使っていた時には Remmina 側でユーザー名とパスワードを設定しておけばダイレクトにデスクトップ画面が表示されましたが、GNOME のリモートデスクトップ接続では、ユーザー名とパスワードを Remmina に設定しても必ずログイン画面が表示されるようです。

ログイン後のデスクトップ画面

参考サイト

  1. RHEL 10 の導入における検討事項 | Red Hat Enterprise Linux(第2章 アーキテクチャー)
  2. AlmaLinux OS - Forever-Free Enterprise-Grade Operating System [2025-05-27]

 

ずっと xrdp をインストールして RDP サーバとして利用していたので GNOME のリモート接続の機能を利用したことがありませんでした。

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2025-05-28

【備忘録】Matplotlib で保存するプロットのデフォルト名

Matplotlib は、Python と NumPy のためのプロットライブラリです。Tkinter、wxPython、Qt、GTK のような汎用 GUI ツールキットを使ったアプリケーションにプロットを埋め込むためのオブジェクト指向 API を提供しています。

Wikipedia より引用、翻訳

JupyterLab 上では、Matplotlib でプロットしたチャートを保存するには、plt.savefig(filename) を使うのですが、そうでないときは、以下のようにチャート (figure) の下にナビゲータバーが表示されているので、右端のフロッピーディスクを模した保存用ボタンをクリックして画像として保存します。

保存用のダイアログに表示されたデフォルトのファイル名は Figure_1 になっています。

このデフォルトのファイル名を変更したい

些細なことのようですが、このデフォルトのファイル名 Figure_1 を変えられないかどうか調べたところ、Stack Overflow [1] に該当するやりとりを見つけました。保存するファイルのデフォルトのファイル名を変更するサンプルを紹介します。

下記の OS 環境で動作確認をしています。

Fedora Linux 42 Workstation x86_64
Python 3.13.3
matplotlib 3.10.3
numpy 2.2.6

サンプル・コードを以下の通りです。

sample_mpl_save.py
# This is based on the following sample:
# https://matplotlib.org/stable/users/getting_started/
import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np

x = np.linspace(0, 2 * np.pi, 200)
y = np.sin(x)

fig, ax = plt.subplots()
ax.plot(x, y)

# デフォルトのファイル名を Untitled に設定
c = fig.canvas
ext = c.get_default_filetype()
c.get_default_filename = lambda: f"Untitled.{ext}"

plt.show()

一手間加えるだけで、デフォルトのファイル名を Figure_1 から Untitled へ変更できました。

ちなみに、PySide6 に Matplotlib のチャートを埋め込んで Matplotlib のナビゲーションツールバー (NavigationToolbar2QT) を利用してチャートを画像形式で保存する時には、デフォルトのファイル名が image.png になります。さすがに GUI アプリではデフォルトの保存ファイル名を自由に設定したいので、同じような考え方でファイル名を変更しています。

参考サイト

  1. python - How to change default filename from Matplotlib NavigationToolbar in a PyQt5 application? - Stack Overflow [2017-01-16]

 

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2025-05-25

OS のマーケットシェア

久しぶりに StatCounter のサイトの OS のマーケットシェアを確認しました。このサイトの統計は、サンプリングバイアスを補正するための処理がされていないので、誤った傾向をとらえてしまう可能性はありますが、おおもかな傾向を探るためにときどき眺めています。

さて、グローバルでは相変わらず Anndroid が高いシェア (45.68%) を保っています(下表)。

Source: StatCounter Global Stats - OS Market Share

Android がトップシェアと言っても、自分の周り、例えば電車やバスに乗っていて、座っている人の多くが見つめているスマホは明らかに iPhone が多いように感じます。

車内に座っている人のほとんどがスマホや携帯電話を見つめている光景は異様だと感じた時期が過去にはありました。しかし、今ではそれが日常になってしまって異様だと思わなくなってしまいました。

これは日本特有のことなのでしょうか?

試しに日本だけに絞った統計をみると Windows が 32.85%、iOS が 31.02% になっていて Android は 19.02% です。

Source: StatCounter Global Stats - OS Market Share

減少してきているとはいえ、かろうじて Windows がトップ (32.85%) で、次の iOS は 31.02% でトップと拮抗しています。

Windows の場合は(ノート)PC でのアクセスになるでしょうから、電車などの混雑した狭い車内でみかける頻度は限られます。スマホに iPhone が多いと感じることと iOS のシェアの大きさが一致していると考えて良いのかもしれません。

一方、最近は PC よりスマホのシェアの方が断然多いように思うのですが、Windows が多いのは日本固有の傾向なのかが気になり、米国に絞った統計も見てみました。

Source: StatCounter Global Stats - OS Market Share

米国でも Windows はトップ (33.75%) で、最近のシェアは横ばいか、むしろじわりと増えているようにも見えます。次に iOS のシェア (27.88%) が多いのですから、日本と米国の OS のマーケットシェアは概ね同じような傾向です。

日本では米国から輸入される自動車が少ないことに、トランプ大統領はご不満のようですが、デジタルの世界では OS をはじめとした多くが米国製に頼っていることをもっと評価して欲しいと思います。Windows、iOS そして Android はすべて米国発の製品です。日本は既に GAFAM のデジタル植民地になっているのかもしれません。

参考サイト

  1. Usage share of operating systems - Wikipedia
  2. 日本の道路をアメリカ車が走っていないのは「シンプルに品質不足だから」と海外メディアがツッコミ - GIGAZINE [2025-04-09]

 

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2025-05-21

OS なんてなんでもいいじゃん

Linux が好きで、自宅のメイン PC の OS はずっと Fedora Linux です。パソコンのハードウェア、ソフトウェア共に高機能になり、OS については Windows、macOS 以外の話題を耳にすることがすっかり少なくなってしまいました。今さら Linux を推奨したいわけではないのですが、それでも Linux 好きの言い分みたいなことをまとめたいと思い、つらつらと書き残しています。

今回は初回なので近況紹介です。😁

脱サラしてトレーダーに

私は半導体工場のエンジニアとして大学卒業後のキャリアをスタートして以来、転職を繰り返しながらもずっと半導体業界に身を置いてきました。

しかし SBI 証券と楽天証券が国内株取引の約定手数料の無料化に踏みきったのを知り [1]、意を決して会社を退職、投資の世界に飛び込みました。あと 1 年ぐらい勤め続ければ 60 歳定年を迎える予定でした。しかし、作ってみたかったデイトレの自動売買システム開発に取り組めるまたとないチャンスが到来したと感じ、今始めなければ必ずや後悔すると思ったのでした。

まあ、そんなにすぐに自動売買システムは完成しないことは重々承知の上、トレーディングをしながら自分が作りたいシステムを好きなようにプログラミングできることを楽しんでいる毎日です。

Windows でなければできないこと

自分のためにトレーディング・システムを作るのだから、これで好きな Linux にどっぷり浸ることができると期待していたのですが…、そんな期待は甘かったのでした。

取引ツール

証券会社が提供している取引ツールは Windows 上で動作します。どうしても Windows を使わなければならない事態に備えて Linux 化しなかった廉価なノート PC [2] に件の取引ツールをインストールしました。使ってみたところ、多機能で大変使いやすいツールだったので感動しました [3]。廉価で買った古い PC 上ですが、問題なく動作しているようです。

この取引ツールは、起動時に最新バージョンを確認して勝手にアップグレードしてしまう優れものです。歴史的に Windows のパッケージ管理機能がイマイチだった結果、アプリがセルフ・アップデートできるように進化したのだろうと感じました。

Microsoft Excel

Windows 上で動作する取引ツールは使いやすいのですが、自動取引についてはインターネットブラウザ (Firefox) で証券会社のサイトにログインして Python / Selenium のアプリで処理を自動化する方針でした。そうすれば Linux 上で開発して運用できると考えたからです。

Python / Selenium でマウスでクリックしたり入力したりする部分の自動化は難なく実現できましたが、デイトレ用に 1 秒間隔で常に株価データをブラウザ上から読み取っているため、複数銘柄への柔軟な対応および安定動作を確保するという課題がすぐに顕在化してしまいました。

この課題解消には時間がかかると考え、ひとまず方針変更をしました。つまり、株価取得および取引のために、証券会社が提供している取引ツールに付随する Excel アドインの機能を利用することにしたのです。

職場で使っていた Excel ですが、個人で購入したことはありませんでした。アマゾンで Excel 2024 永続版 [4] を購入して、アドインの機能を利用するために VBA でアプリの開発を始めました。

2 台目の Windows PC

今更ながら VBA のプログラミングに取り組み、リアルタイム(1 秒間隔)でターゲット銘柄(複数)の株価データを取得できるアプリを作り始めました。ところが、リアルタイムで株価データを収集している VBA アプリに修正などの変更を加えたければ、一旦アプリを止めなければなりません。止めてしまうと、その日の株価データに欠損値が出て、後でシミュレータで評価するのに支障が出ます。一方、ひとつの Excel で複数の VBA アプリを動かすことはできません。

日々、欠損の無いリアルタイムの株価データを収集したいので、開発環境としてもう一台 Windows PC を用意する必要が出てきました。幸い、購入した Excel のライセンスは 2 台分ありました。

現状、ディスプレイ 2 台と Windows ノート PC 本体の画面、ときどき Android タブレット画面を見ながらのトレーディングで、ディスプレイの追加は設置場所に困りました。そこで、追加する Windows PC は Windows 11 Pro を搭載したミニ PC を買うことにして [5]、メインの Linux マシンから Remmina [6] でリモート接続 (RDP) で Windows のデスクトップ画面を表示させて利用することにしました。

活躍する廉価な Windows PC

相変わらず Windows には使わないアプリが満載で、バックグラウンドで動いていてしっかりリソースを食っていたりするので、廉価 PC の非力な CPU が少しでも余裕を持って動作できるように、不要なアプリを見つけてはひたすらアンインストールする作業を続けて、専業 PC に仕立てました。

流行りのゲームで遊ぶのでなければ、廉価な Windows PC でも一手間かければしっかり、しかも低電力で働いてくれます。

納得できる売買アルゴリズムを目指して

自動取引をする環境は整いました。あとは売買アルゴリズムの初期バージョン完成を待つばかりです。

日々、さしあたってターゲットにした 3 銘柄の株価データを VBA アプリがリアルタイム(1 秒間隔)で収集しています。収集したデータに対してシミュレーション用のプログラムで評価して売買アルゴリズムの開発に励んでいますが、まだまだ完成に辿り着けません。あまりゴールを高くせず、そこそこ勝てるアルゴリズムから始めたいのですが、その目先のゴールすら、まだまだ遠いです。

最近ではさらに Python の xlwings パッケージ [7] で Excel のワークシート上に流し込まれた株価データを読み込んで、あれこれ取り組んでいます。結局、慣れている Python の方がいろいろ試しやすいんですよね。

売買アルゴリズムの開発については、サブブログ [8] にまとめています。

きっと多くの人は OS に注目していない

いろんなことに使える高性能な Windows PC がフツーに売られていて、その一方で PC のソフトウェア売り場がすっかり少なくなってしまった現在、前述した使わないアプリが満載な初期状態の Windows PC は当たり前なのかもしれません。使いたいアプリが Microsoft Store にあればインターネット経由で入手できますしね。

買った Windows PC で Linux を起動できると確認できれば、迷わず Linux を上書きインストールしてしまう自分は、はっきり言って異端です。そして、最新の CPU を搭載した PC を、Linux 環境でぶんぶん稼働させたい派でもあります。そんなわけでメインの PC にはそこそこのスペックのものを買い求めますが、そう頻繁には買い替えができません。

そこで、廉価な PC を見つけると衝動買いをして Linux をインストールして遊ぶことが趣味みたいになっています。こういった PC は古くなっても Linux が動くので、不本意ながら、古くなった PC でも Linux をインストールすればまだまだ使えることを実感しています。しかし、だからと言って、古くなった PC に Linux をインストールすることを推奨することは避けたいものです。可能であれば新しい PC を使った方が OS がなんであれ、より多くのことができるからです。それに Windows に慣れ親しんでいるのであれば、わざわざ異なる操作を必要とする他の OS を使うことは、人によってはストレスにしかならない場合もあるでしょう。

一般的な用途であれば Windows PC で十分、いや、おそらく多くの人は OS を選ぼうなんて考えていないでしょうから、OS なんてなんでもいいじゃん でよいと思うのです。

だからこそ Linux を話題に

逆説的ではありますが、Linux 好きの言い分として Linux はこんなところで利用されている、ということをなるべく具体的に紹介していきたいと考えています。テーマを考えて不定期に公開していきます。

参考サイト

  1. SBI証券と楽天証券、国内株式の取引手数料を無料化 - Impress Watch [2023-08-31]
  2. bitWalk's: CHUWI GemiBook Pro を買いました [2022-06-24]
  3. bitWalk's: 【備忘録】マーケットスピード II の文字化け [2023-11-09]
  4. Amazon.co.jp: Microsoft Excel 2024(最新 永続版)|オンラインコード版|Windows11、10/mac対応|PC2台 : PCソフト
  5. bitWalk's: GMKtec NucBox G2 Plus [2025-02-16]
  6. bitWalk's: Remmina を使ってみる [2022-06-05]
  7. xlwings Documentation
  8. 私の株日記: 自動売買への道

 

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