PySide6 で GUI アプリを作る時に、まずは使い慣れた Linux 上で開発をはじめて、他の人にも使ってもらえる段階になったら、Windows 上で動作確認をしてから PyInstaller でパッケージにする、というようなやりかたをよくしています。
PySide6 を利用した GUI は、異なるプラットフォーム間で問題なく動作させられますが、ファイル構造は OS によって違いがあります。そのため、アプリが必要とする設定ファイルや一時ファイルなどの保存先を決めるときには、なんとなく無難に OS に依存しない場所にするか、python の platform モジュールを利用して OS を判定して、判定に応じて保存場所を決めたりしていました。
Red Hat Enterprise Linux, RHEL は、Red Hat 社が開発しているエンタープライズ市場向けの Linux ディストリビューションです。最近の RHEL のライフサイクルは 10 年で、延長が必要であれば追加サブスクリプション (Extended Lifecycle Support Add-On) も提供されています。
6月末に Red Hat 社のブログに RHEL の開発責任者である Mike McGrath 氏が投稿した記事(下記)が、オープンソースに関わるプロジェクトに波紋を呼んでいます[1]。
The CentOS Stream gitlab source is where we build RHEL releases, in the open for all to see. To call RHEL “closed source” is categorically untrue and inaccurate. CentOS Stream moves faster than RHEL, so it might not be on HEAD, but the code is there. If you can’t find it, it’s a bug – please let us know.
Simply rebuilding code, without adding value or changing it in any way, represents a real threat to open source companies everywhere. This is a real threat to open source, and one that has the potential to revert open source back into a hobbyist- and hackers-only activity.
Previously, we obtained the source code for Rocky Linux exclusively from the CentOS Git repository as they recommended. However, this repository no longer hosts all of the versions corresponding to RHEL. Consequently, we now have to gather the source code from multiple sources, including CentOS Stream, pristine upstream packages, and RHEL SRPMs.
[参考訳]
以前は、Rocky Linux のソースコードは、(Red Hat 社から)推奨されていた CentOS の Git リポジトリのみから入手していました。しかしこのリポジトリは、もはやすべての RHEL バージョンに対応しているわけではなくなりました。そのため、現在は CentOS Stream など複数のソースからソースコードを集めてくる必要があります。
Moreover, Red Hat’s Terms of Service (TOS) and End User License Agreements (EULA) impose conditions that attempt to hinder legitimate customers from exercising their rights as guaranteed by the GPL. While the community debates whether this violates the GPL, we firmly believe that such agreements violate the spirit and purpose of open source. As a result, we refuse to agree with them, which means we must obtain the SRPMs through channels that adhere to our principles and uphold our rights.
After much discussion, the AlmaLinux OS Foundation board today has decided to drop the aim to be 1:1 with RHEL. AlmaLinux OS will instead aim to be Application Binary Interface (ABI) compatible.
We will continue to aim to produce an enterprise-grade, long-term distribution of Linux that is aligned and ABI compatible with RHEL in response to our community’s needs, to the extent it is possible to do, and such that software that runs on RHEL will run the same on AlmaLinux.
[参考訳]
多くの議論の末、AlmaLinux OS Foundation の理事会は本日、RHEL と 1:1 の対応を目指すことを取りやめることを決定しました。その代わりに AlmaLinux OS は、RHEL と ABI (Application Binary Interface) 互換であることを目指すことにします。
コミュニティのニーズに応えるため、RHEL 上で動作するソフトウェアが同じように動作するように、AlmaLinux に可能な限り RHEL との ABI 互換性をもたせ、エンタープライズグレードの長期サポートを有する Linux ディストリビューションとして作り続けることを目指しています。
当時は、クローンリビルダーと呼ばれていたようです。Red Hat 社はクローンのリビルドに対して寛容だと感じていました。オープンソースを使ってビジネスをする以上仕方がないことなのかもしれません。
Red Hat 社が IBM 傘下になって(買収完了:2019-07-09)、やっぱり社風も変わってきたのでしょうか。
そうかもしれません。
しかし、巷ではブランド品のコピーを無断で作って販売すれば刑罰の対象になり得るのに、オープンソースの世界では(Rocky Linux のように)クローンを配布するのは、あたかも正義であるかのように堂々とその正当性を主張しています。なんだろう、漠然とですが、しっくりこない部分です。🤔
かつて、RHEL のクローンプロジェクトであった CentOS が、財政難から存続の危機に陥った時に、あろうことか RHEL 本家本元の Red Hat 社が救済の手を差し伸べ、CentOS プロジェクトのメンバーを Red Hat 社の社員に雇い入れることまでしました。しかし CentOS を救済してしまったために、いろいろ面倒なことを引きずることになっています。