2020-04-21

ミニ PC を衝動買い

家庭用のルータは便利になったもので、一台で複数規格の WiFi と有線 LAN に対応しており、Linux を使っていても特殊な設定をせずにインターネットを利用できます。

自宅のネットワーク環境は、某ケーブルテレビ会社のインターネットサービスを利用しています。レンタルしている無線ルータ内蔵ケーブルモデムには、さらに有線LANポートが 4 つあります。スマホやタブレットは WiFi に繋いで、据置きの PC やノート PC は、安定した通信速度の方を重視して有線接続しています。

むかしむかし Linux Kernel のバージョンが 2.x だった時期、IP マスカレードなんていう語が Linux 関係の雑誌を賑わせていました。自分もネットワークカード (NIC) 二枚挿しの PC でネットワークアドレス変換をできるように設定して、NAT ができたと嬉々としていたことを思い出しました。

※ 1996 年に五橋研究所から Linux Japan が創刊され、ASCII Linux magazine (1999), 日経Linux (1999) など Linux 関連の雑誌がいくつも刊行されていた時期がありました。

しかしそれは、今も残る自分の知識・技術になっていないことに気が付いてしまいました。今、同じようなことをやって、できたことをしっかりまとめたいと考え始めたら矢も盾もたまらなくなり、評価用に廉価なミニ PC を買ってしまいました。😁

Ethernetの NIC を複数搭載した 3 万円前後の価格帯のミニ PC が Amazon.jp のサイトにいくつもあったのですが、Prime マーク付きのすぐ配達してくれるもので、かつ、安かった Intel NUC Kit Celeron J1900搭載 4LAN 4G RAM 60G SSD ポータブルMini PC(右リンク)を購入することにしました。

※ NUC, Next Unit of Computing とは、インテルが提唱する 101.6 × 101.6 mm サイズの独自フォームファクターのマザーボードです。

※ 製造元のサイト:康耐信(cnction) J1900 全千兆4网口软路由整机,支持LEDE,爱快-康耐信软路由,深圳宏顺欣网科技有限公司,工控机,迷你电脑,软路由-康耐信软路由

搭載されているプロセッサ Intel Celeron J1900(出荷開始 2013 年 Q4)は、Bay Trail 世代 22nm のデザインルール、4 コア 4 スレッド、ベース周波数 2.00 GHz、TDP 10W です。Ethernet の NIC のポートが 4 つあります。プロセッサは古いですが、評価には十分な仕様でしょう。欲を言えば、より低消費電力を追求したかったのですが、価格を抑えた中では選択肢が限られており仕方がありません。いやいや、贅沢な評価環境というべきでしょう。💦

開封と CentOS 8 のインストール

開封

Amazon.jp から配達され、開封してみると、何も説明書がありませんでした。ま、それはいいのですが、電源ケーブルのプラグ形状が 3PIN のものにでした。 幸い AC - DC 電源に接続する部分が合う 3PIN → 2PIN + GND ケーブルが手許にありましたので、それを使いました。

CentOS 8 のインストール

Amazon.jp の商品説明欄には、「OS:Windows/Linux/firewallサポート」とあるだけで、Windows がプリインストールされているかの表記がなかったため、何もインストールされていないと思っていたのですが、Windows 10 Pro (1803) がプリインストールされていました。

4 つある NIC ポートのうち、ETH0 とラベルされているポートを家庭内の LAN に接続し、プレインストールされている Windows で動作確認をしてから、下記の iso イメージを書き込んだ USB メモリを使って、CentOS 8 をインストールしました。インストールはデフォルトの「サーバー(GUI 仕様)」を選びました。

CentOS Linux release 8.1.1911 (Core) x86_64

CentOS 8 のインストールの詳細はここでは触れませんが、bitWalk's: [CentOS 8] インストールなどを参照してください。

インストール後、nmcli (Network Manager command-line) コマンドでネットワークデバイスを調べます。

[bitwalk@cnction ~]$ nmcli device
DEVICE      TYPE      STATE     CONNECTION
enp1s0      ethernet  接続済み  enp1s0
virbr0      bridge    接続済み  virbr0
enp2s0      ethernet  切断済み  --
enp3s0      ethernet  切断済み  --
enp4s0      ethernet  切断済み  --
lo          loopback  管理無し  --
virbr0-nic  tun       管理無し  --
[bitwalk@cnction ~]$

ETH1 のデバイス名が enp1s0 であることが判りましたので、ここに割り当てられた IP アドレスを調べます。なお、もうひとつ緑色になっている virbr0 は KVM 仮想環境で NAT 変換を行う仮想ブリッジです。

[bitwalk@cnction ~]$ ip addr show dev enp1s0
2: enp1s0:  mtu 1500 qdisc mq state UP group default qlen 1000
    link/ether 00:a0:c9:0c:f5:8e brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
    inet 192.168.0.31/24 brd 192.168.0.255 scope global dynamic noprefixroute enp1s0
       valid_lft 85138sec preferred_lft 85138sec
    inet6 fe80::ca14:1036:67c8:2c60/64 scope link noprefixroute
       valid_lft forever preferred_lft forever
[bitwalk@cnction ~]$

この IP アドレスは、DHCP で割り当てられたアドレスですので変更される可能性がありますが、自宅で使っている、ケーブルテレビ会社からレンタルしているルーターでは、割り当てられた IP アドレスの値が、家庭内の使い方ではほとんど変更されないことが判っているので、固定アドレスを設定せずにこのまま使っています。

SSH サーバの設定

ディスプレイやキーボード、マウスを接続して OS をインストールしましたが、普段使いでは端末エミュレータから SSH でアクセスしたいので、SSH サーバーをインストールします。

[bitwalk@cnction ~]$ sudo dnf install openssh-server

openssh-server をインストール後、SSH サーバーは起動されていますが、OS 起動後に自動起動されるようにしておきます。

[bitwalk@cnction ~]$ sudo systemctl enable sshd

OpenSSH をインストールすれば、直ちに LAN 内の他の PC から ssh でログインできますので、ファイヤーウォールの設定は不要のようです。念のため解放されているポートを確認しました。

[bitwalk@cnction ~]$ sudo firewall-cmd --list-all
public (active)
  target: default
  icmp-block-inversion: no
  interfaces: enp1s0
  sources:
  services: cockpit dhcpv6-client ssh
  ports:
  protocols:
  masquerade: no
  forward-ports:
  source-ports:
  icmp-blocks:
  rich rules:

[bitwalk@cnction ~]$

xrdp サーバの設定

新型コロナウイルス (COVID-19) 感染の流行で、このところテレワークが続いており、会社から支給されているノート PC を家庭内 LAN に接続して使うことを強いられています。このような状況では Windows からリモートログインできるようにした方が何かと都合がよいので、xrdp をインストールしておきます。まずは epel を利用できるようにします。

[bitwalk@cnction ~]$ sudo dnf install -y epel-release

xrdp と TigerVNC をインストールします。

[bitwalk@cnction ~]$ sudo dnf install xrdp tigervnc-server

xrdp サーバを起動します。また OS 起動後に自動起動するように enable にしておきます。

[bitwalk@cnction ~]$ sudo systemctl start xrdp
[bitwalk@cnction ~]$ sudo systemctl enable xrdp
Created symlink /etc/systemd/system/multi-user.target.wants/xrdp.service → /usr/lib/systemd/system/xrdp.service.
[bitwalk@cnction ~]$

Windows のリモートデスクトップ接続に使うポート 3389 を開放します。

[bitwalk@cnction ~]$ sudo firewall-cmd --permanent --zone=public --add-port=3389/tcp
success
[bitwalk@cnction ~]$ sudo firewall-cmd --reload
success
[bitwalk@cnction ~]$

以下に接続した例を示しました。

Windows 10 からリモート接続した例

パフォーマンス

クロスプラットフォームでベンチマークを計測できる Geekbench 5 で、CPU 性能を計測しました。

Geekbench によるベンチマーク(Windows と Linux でそれぞれ計測)
#NamePlatformArchitectureSingle-core ScoreMulti-core Score
1846124 CNCTION-IAF
Intel Celeron J1900 2415 MHz (4 cores)
Linux 64 x86_64 239 806
1844492 CNCTION-IAF
Intel Celeron J1900 2007 MHz (4 cores)
Windows 64 x86_64 215 710

 

以上で最低限の作業環境が整いました。さあ、ネットワークのお勉強の時間です。本機を使ってあれこれ試した結果を不定期にまとめていきます。

参考サイト

  1. 第1章 システム管理の使用 Red Hat Enterprise Linux 8 | Red Hat Customer Portal

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