2019-03-17

今度の Fedora 30 リリースについて

Fedora (/fɪˈdɔːɹə/) は、レッドハット社が支援するコミュニティー Fedora Project によって開発されている RPM 系 Linux ディストリビューションです。バージョンアップは概ね半年ごとに行われています。現在は Fedora 29 がリリースされており、Fedora 30 が次のリリースになります。

参考サイト [1] より Fedora 30 のリリースまでのスケジュールを書き出しました。現在のところ、Fedora 30 のリリースは 5 月 7 日となっています。

2018-08-14 Branch Fedora 29 from Rawhide (Rawhide becomes future F30)
2018-10-30 Fedora 29 Release
2019-01-02 Change Checkpoint: Proposal submission deadline (requires infrastructure changes)
2019-01-08 Change Checkpoint: Proposal submission deadline (System Wide Changes)
Change Checkpoint: Proposal submission deadline (Changes requiring mass rebuild)
2019-01-29 Change Checkpoint: Proposal submission deadline (Self Contained Changes)
2019-01-30 Mass Rebuild
2019-02-05 Software String Freeze
2019-02-19 Change Checkpoint: Completion deadline (testable)
Branch Fedora 30 from Rawhide (Rawhide becomes future F31)
2019-03-05 Software Translation Deadline
Bodhi activation point
Beta Freeze
Change Checkpoint: 100% Code Complete Deadline
2019-03-26 Beta Release (Preferred Target)
2019-04-02 Beta Release (Target #1)
2019-04-16 Final Freeze
2019-04-30 Fedora 30 Final Release (GA) (Preferred Target)
2019-05-07 Fedora 30 Final Release (GA) (Target #1)

Fedora 30 で予定されている変更を参考サイト [2] から書き出しました。

  • Fedora 30 Accepted System Wide Changes Proposals
    • Changes/Bash 5.0
    • Make BootLoaderSpec-style configuration files the default
    • DNF Better Counting
    • Make dbus-broker the default DBus implementation
    • Enabling Python Generators by default
    • Boost 1.69 upgrade
    • Flicker Free Boot
    • FreeIPA Python 2 Removal
    • Fully remove deprecated and unsafe functions from libcrypt
    • GCC9
    • The GNU C Library version 2.29
    • GNOME 3.32
    • GnuPG 2 as default GPG implementation
    • Mass Python 2 Package Removal
    • Remove the Group: Tag From All Packages
    • Remove glibc-all-langpacks from buildroot
    • Remove Excessive Linking
    • Remove Obsolete Scriptlets
    • Replace Comps Language Group With Langpacks
    • Reset locale if not available
    • Ruby 2.6
    • Switch cryptsetup default metadata format to LUKS2
    • Zchunk Metadata
    • Golang 1.12
    • Deprecating /etc/sysconfig/nfs
    • uEFI for ARMv7
  • Fedora 30 Accepted Self Contained Changes Proposals
    • DeepinDE
    • Deprecate Apache Avalon
    • Deprecate Apache Jakarta Commons HttpClient
    • Deprecate Apache Jakarta ORO and Regexp
    • Deprecate Apache Maven 2.x
    • Deprecate Sonatype OSS Parent
    • Erlang 21
    • Firefox Wayland By Default On Gnome
    • Fish 3.0
    • Haskell GHC 8.4 and Stackage LTS 12
    • LXQt 0.14.0
    • Make ambiguous python shebangs error
    • Changes/MongoDB Removal
    • Migrate Python-based Nautilus extensions to Python 3
    • No more automagic Python bytecompilation (phase 2)
    • Pantheon Desktop
    • Avoid Fedora-specific build flags in non-RPM Python extensions
    • Python-progressbar2 as default
    • SWID tag enablement
    • Vagrant 2.2
    • java-openjdk JDK12
    • krb5 crypto modernization
    • libcrypt.so.1 (compatibility library for POSIX): Let encrypt, encrypt_r, setkey, setkey_r, and fcrypt return ENOSYS instead of performing any real operation
    • PHP 7.3

個人的に興味がある変更は、GCC 9 系への移行と、ARMv7 アーキテクチャへの uEFI 対応です。ARM プロセッサで Linux を手軽に使いたいと思っているので、もしこの変更で ARM プロセッサを搭載している PC に Linux をインストールしやすくなれば、Intel プロセッサから移行する強い動機になります。

気のせいかもしれませんが、今回の変更では Remove(削除)や Deprecate(廃止予定)という語が目立つように思います。

Fedora 30 開発版へアップグレードしてみた

まだベータ版のリリース前ですが、多少の不具合があることを覚悟の上で、下記の手順で Fedora 29 から 30 へアップグレードしてみました。

  1. dnf update --refresh
  2. dnf install dnf-plugin-system-upgrade
  3. dnf system-upgrade download --releasever=30
  4. dnf system-upgrade reboot

ちなみにアップグレード前に、インストールしてあった RPM Fusion のパッケージを削除しておきました。

リスト:RPM Fusion のパッケージ削除 
# dnf remove rpmfusion-free-release rpmfusion-nonfree-release

Fedora 30 のデスクトップ画面例を示しました。

Fedora 30 開発版のデスクトップ画面

Linux カーネルのバージョンは 5.0.0 になっていました。

リスト:Fedora 30 開発版のカーネルバージョン 
$ uname -r
5.0.0-300.fc30.x86_64

参考 サイト

  1. Releases/30/Schedule - Fedora Project Wiki
  2. Releases/30/ChangeSet - Fedora Project Wiki
  3. 2019年3月5日 Linux 5.0が正式リリース ―AMD Radeon FreeSyncやBtrfsスワップファイルのサポートなど:Linux Daily Topics|gihyo.jp … 技術評論社

 

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2019-03-09

ASUS TransBook T100HA と Fedora 29

3年ほど前、2016 年頃の格安ノート PC といえば、非力な CPU に RAM が 2GB、ストレージが eMMC で 32GB という構成が主流でした。

そんな中、Amazon プライム会員向けセール「プライムデー 2016」で衝動的に買ってしまった ASUS TransBook T100HA(38,800 円)は、4GB の RAM、64GB の eMMC という構成で非力ながらも 4 コアの Atom プロセッサを搭載した、当時はワンランク上の 2 in 1 の「格安PC」でした [1]

[購入日 2016 年 7 月 12 日]

この PC は自分にとって Linux でタッチスクリーンを試す最初の PC でもありました。しかし、Linux をフツーにインストールした状態ではタッチスクリーンを縦横自由に使えないばかりか無線やサウンドも使えませんでした [2]。細かい設定を追加すればそれなりに使えましたが手が掛かるので次第に使わなくなってしまいました。

起動できなくなった Manjaro

ところが最近になって Manjaro 18 をインストールしてみたところ、ほとんどの機能が利用できるようになっていることが判ったので、遅ればせながら出張時にプライベート用の PC として携行するようになりました [3]。これで Manjaro を長く使うことになりそうだと思ったのですが…、そうはなりませんでした。三週間ほど前、出張先のホテルで(ちょっと大きな)パッケージ更新をして再起動したところ、起動しなくなってしまったのです。

理由がよく判らなかったのですが、更新によって起動に必要なあるパッケージが無くなってしまっていたようです。😭

Fedora 27 をインストール → Fedora 29 へ

業務で使用している Windows PC は、暗号化しないとメディアへの書き込みができないようになっていて、ISO イメージをダウンロードしても起動用の USB メモリを作成することができません。Manjaro が起動しなくなってしまったのは出張先のホテルでの更新時だったので、これでは何もできません。

幸い、手持ちに古い Fedora 27 のインストール用 USB メモリがあったので、応急措置として仕方無くこれをインストールしてから最新の Fedora 29 までアップグレードしていくことにしました。すると、アップグレードしている中で、昔 Fedora 24 をインストールした時には使えなかったタッチスクリーンが使えるようになっていることに気がつきました。

Fedora 29 へアップグレード後に機能を確認した結果を下記にまとめました。いつのまにか Fedora でも T100HA のかなりの機能が利用できるようになっていました。😄

Fedora 29 で利用できる T100HA の機能(上から順に優先度が高い)
WiFi Ubuntu 17.10 をインストールした時 [2] と同様に、WiFi ファイルを設定することで利用できるようになりました。
タッチスクリーン  
画面自動回転  
オーディオ  
Bluetooth ルート権限で BCM43341B0.hcd/lib/firmware/brcm/ にコピー、再起動して利用できるようになりました。
バッテリー残量  
カメラ ×  

キーボードを取り外してタブレットを縦横に変えた時に、画面が自動的に縦横に変わることを確認しました。

T100HA のキーボードを取り外してタブレットとして縦横に動かした例

T100HA に microSD カードを挿入すると、すっぽりとは入らずに下記のように少しだけ外に出ます。

microSD カードの挿入口

そのため、気付かずに触ってしまったり、どこかに当ててしまったりして、いつの間にか microSD カードが外れていることがあります。使用中に誤って外れる可能性もあるので microSD カードを LVM/home (/dev/mapper/fedora-home) の領域に加えることはせずに、アカウント内からシンボリックリンクして、あくまでもデータ領域として使うことにして、使用中に万が一外れてしまっても致命的な問題にならないようにしています。

df コマンドでストレージの容量を確認した例
リスト:ブロックデバイスの一覧 
$ lsblk
NAME               MAJ:MIN RM   SIZE RO TYPE MOUNTPOINT
mmcblk0            179:0    0  58.2G  0 disk 
├─mmcblk0p1      179:1    0   200M  0 part /boot/efi
├─mmcblk0p2      179:2    0     1G  0 part /boot
└─mmcblk0p3      179:3    0    57G  0 part 
   ├─fedora-root 253:0    0  35.7G  0 lvm  /
   ├─fedora-swap 253:1    0   3.9G  0 lvm  [SWAP]
   └─fedora-home 253:2    0  17.5G  0 lvm  /home
mmcblk0boot0       179:8    0     4M  1 disk 
mmcblk0boot1       179:16   0     4M  1 disk 
mmcblk2            179:24   0 120.3G  0 disk 
└─mmcblk2p1      179:25   0 120.3G  0 part 
$ 

まとめ

私は「古い PC に Linux をインストールして再利用しよう」という Linux 普及のやり方があまり好きではありません。新しい PC に Linux をインストールすれば、もっともっと快適に使えるのに…と思うからです。

今では仕事でしか Windows を使わなくなってしまった変わり者の戯言です。

格安 PC に Linux をインストールするのが趣味である私は、年に一回以上の頻度で格安 PC を買っては Linux をインストールして遊んでいます。しかし、買ってきた格安 PC は次第に古くなります。結果的に、処分できない古い PC に Linux をインストールし続けていることになっています🤔。ところが、購入当時にインストールした Linux では利用できなかったサウンド機能などが、今の Linux ではフツーに利用できるようになっている…なんて現象をたびたび経験しています。古い PC に Linux をインストールすることにはそれなりの発見もあるのです。

Linux カーネルの開発は日々続けられており、まさに日進月歩ですが、周辺デバイスへの対応は、Linux でそのデバイスを使いたいユーザーの需要およびデバイスドライバを含んだパッケージを作れる開発者で決まるので、Linux で使えるようになるのは、Windows に比べれば遅れてしまうのでしょう。しかも他に需要がなければ、自分で調べて作るしかありません。

ASUS TransBook T100HA の Linux 化は、時間はかかりましたが幸いにもカメラ以外は使えるようになりました。オープンソース世界の開発者のみなさんの努力に感謝です。

参考 サイト

  1. bitWalk's: プライムデー 2016 と ASUS TransBook T100HA [2016-07-13]
  2. bitWalk's: ASUS TransBook T100HA と Ubuntu 17.10 [2017-11-12]
  3. bitWalk's: ASUS TransBook T100HA と Manjaro 18 [2019-02-13]

いまさらですが…

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