Linux とは本来 Linux カーネルのことを指しています。しかし、カーネルだけでは OS として動作させることはできません。そこで、OS に関連するツールやアプリケーションなどをまとめて、インストールし易く、インストール後にすぐ利用できるような配布形態にしたものを「ディストリビューション(略してディストロ)」と呼んでいます。
本シリーズ記事は、Linux ディストリビューションをピックアップ、仮想マシン(あるいは実機)にインストールして紹介します[不定期]。
Linux Mint とは
Linux Mint は、強力かつ簡単に利用できる、現代的でエレガントそして快適なオペレーティングシステム作りを目的としているディストリビューションで、Ubuntu をベースにしています。2006 年にバージョン 1 がリリースされています。また、その後 Debian をベースとしたエディション、LMDE, Linux Mint Debian Edtion もリリースされています。
プロジェクトサイトの説明 [1] によると、Linux Mint はデスクトップ用途の Linux ディストリビューションでは最もポピュラーであると主張されています。そうである理由として、次の5点を挙げています。
- インストール後、設定などの作業がほとんどせずにマルチメディアを含めてすぐに使える手軽さ
- 無料かつオープンソースであること
- コミュニティ主導のプロジェクトであるため、ユーザーからのフィードバックが Linux Mint の改善に結びつく
- Debian と Ubuntu をベースにしているため、30,000 以上のパッケージと最良のソフトウェア管理
- 安全性と信頼性
- ソフトウェアの更新に対する保守的なアプローチ、独自のアップデートマネージャーおよび Linux の構造からくるオペレーションシステムそのものの堅牢さ、これらのおかげで、Linux Mint では、リグレッションテスト、アンチウィルス、アンチスパイウェアなどのためのメンテナンスがほとんど不要。
デスクトップ用途に利用できる Linux のディストリビューションであれば、上に挙げた内容はどれも似たり寄ったりだとは思うのですが、1. のインストールのしやすさや、すぐに使えるかどうかは、ディストリビューションによって差が出やすい項目です。
そこで、インストール後に、日本語入力ができるようになるまでとマルチメディアなどの機能に対応しているかを特に注視してみたいと思います。
対象の Linux Mint のバージョンは、この記事を準備している時点で最新の Linux Mint 19 Tara(ベータ版)です。以下の三種類のデスクトップエディションがあるのですが、ここでは Cinnamon Edition を試してみることにします。
Linux Mint 19 のベータ版に KDE Edtion がありませんでしたが、単にまだリリースできる段階になかっただけなのかもしれません。
仮想環境へインストール
ダウンロードした Linux Mint (Cinnamon Edition) の ISO 形式のイメージ linuxmint-19-cinnamon-64bit-beta.iso を仮想環境 GNOME Boxes で読み込むと、Live 版の Linux Mint が起動します。
Cinnamon はビデオ・ハードウェア・アクセラレータを必要とするデスクトップ環境であるため、ソフトウェアで機能をエミュレートして CPU に負荷がかかるという警告が画面右上に表示されます。ここでは動作が遅くなることを許容してこのウィンドウを閉じておきます。
デスクトップ左側に表示されている Install Linux Mint のアイコンをダブルクリックして、インストーラを起動します。インストールの流れは以下のようになります。
まず、インストール時の言語を設定します。
次にインストール前に必要な設定をします。
設定が終わるとインストールが始まります。
しばらくするとインストールが終了しますので再起動します。
メディアを取り出してから ENTER を押して再起動するようにメッセージが出ますが、ここでは仮想環境なのでこのまま ENTER を押します。
Linux Mint が起動し、ログインすると日本語で初期画面「Linux Mint へようこそ」が表示されます。
日本語入力の設定
インストール時の設定で日本語のメッセージは表示されますが、入力メソッドまでは設定されません。メニューから「設定」→「言語」を選択して入力メソッドの設定をします。
「入力方法」のタブ画面で、下段の「言語サポート」の枠内の日本語の「インストール」ボタンをクリックします。
すると必要な言語サポート・パッケージがインストールされて日本語の入力メソッドが利用できるようなります。ここでは入力メソッド(上段の「入力方法」の枠内)に IBus を選択しています。
念の為、再起動してから、ひらがなの入力、漢字の変換ができることを確認しました。
日本語入力をできるようにするのに、ひと手間かかりますが、やり方さえ判っていれば簡単に設定が出来ます。
実機へインストール
仮想環境へは難なくインストール出来ましたので、実機にもインストールしてみました。
Fedora Media Writer で USB メモリに起動イメージを作成し、テスト機に使用している HP Stream 11-r016TU にインストールしました。この PC は Celeron N2840 という 2014 年後半に出回り始めた 22nm 世代の、主にタブレットや格安 PC に採用された CPU を搭載しています。
はっきり言って、かなり控えめな性能の CPU ではありますが、第7世代 Intel HD Graphics を内蔵しています。ゲーム用途に使えるほど高性能なグラフィックスではありませんが、Cinnamon デスクトップ環境に対応できる性能のようです。仮想環境で Linux Mint を試した時のような警告メッセージは表示されませんでした。
ざっとハードウェアの機能を確認しましたが、下記の項目に付いては特に問題がありませんでした。
- USB ✔
- WiFi ✔
- オーディオ関係 ✔
- Bluetooth ✔
- カメラ ✔
まとめ
項目 | 説明 |
---|---|
ディストリビューション | Linux Mint |
プロジェクトサイト | https://linuxmint.com/ |
デスクトップ環境 | Cinnamon, MATE, Xfce, KDE |
パッケージ形式 | deb(管理ツール APT)、アップデートマネージャ mintUpdate |
日本語入力 | ibus-mozc, fcitx-mozc |
特記事項 |
Ubuntu をベースとしている Linux Mint は、Ubuntu のソフトウェアリポジトリも使用しています。そのため、ほとんどのパッケージは両ディストリビューションで同じであり、二つのシステムはほとんど同じように振る舞います。 |
寸評 |
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参考サイト
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