Linux はきっと今後、Windows と匹敵するほどのポピュラーな OS になるに違いないと、Linux を使い始めた当時は思っていました。
「当時」とは昔の話になってしまいますが Windows 95 が発売された 1995 年前後です。ちょうど Tcl/Tk を盛んに使い始めていた時期で、会社のワークステーションであった SunOS/Solaris と(同じではないものの)同じような環境を、Linux で極めて廉価に自宅の非力な PC 上で構築できたことがかなりの衝撃だったのです。もともと Windows 上で Visual C++ などのいろいろなコンパイラ環境を買い求めることに金銭的に疲れ、もっと手軽にプログラミングを楽しめる環境が欲しかったことが Linux を使い始めた動機でした。当時はデュアルブートで Windows と Linux の両方を使っていたので、結局 Visual Studio 6.0 までは買い続けましたが、その後は Linux を中心としたプログラミング環境へ完全に移行しました。今では、自宅で新旧合わせて三台の PC が稼働していますが全て Linux です。
一方、世の中は、20 年前に自分が思ったこととは異なり、デスクトップやノート PC 市場で Linux は普及していません1.。それどころか、コンシューマ向け PC そのものの市場が縮小しているようです2.。家電量販店の、いわゆる PC コーナーは勢いが無いばかりか、店内の売場面積も縮小されているようにさえ見えます。
そんな中で、久しぶりに Linux を薦める記事を読みました。
この記事を読んで、多くの人や企業が PC に求めることはなんだろうと考えさせられました。
自宅で使うのであれば、きっと、家電量販店あるいはネットショップから手ごろな PC を選んで、自宅に設置してすぐ使えるものであればそれで十分なのだと思います。それが Windows PC なのです。企業にしても、デスクトップ用途には、サポートあるいは苦情先がはっきりしている、納入業者が薦める Windows PC を購入しているのが大半でしょう。Windows サーバの Active Directory 下で企業のネットワークを構築してしまえば、そこそこ動いてしまうだろうし、サポートも契約次第でバッチリです。自分の経験では、昔々は電子メールを含むインターネット関係のサーバーは UNIX 系 OS でカバーしていましたので、そういう管理をする UNIX のシステム管理者がいましたが、今では、Windows の知識だけで管理できてしまいます。Microsoft 社がここまで Windows を社会に普及させたことは偉業なのでしょう。
だから、特に個人で使用する場合、OS を気にする人以外は、一番簡単な方法を選べばよいのでしょう。PC が古くなって速度が気になれば新しい PC に買い替えるべきでしょう。Linux だって、PC の性能が上がればそれだけ力を発揮します。古い PC でも Linux だったら十分使えるのかもしれませんが、果たして使う人はそれで満足するのでしょうか。
Windows PC が非力で、少しでも効率的に動かしたいと考えていた時代は、Linux はソリューションのひとつになりえました。しかし今や 4G, 8G のメモリ搭載は当たり前になり、必要があればもっと搭載することも可能な時代になりました。会社のチームでリモート接続で利用できる解析用の Windows PC に搭載されているメモリが 128GB だと最近知りびっくりしました。これだけ搭載されていれば、そうそうリソース不足には悩まされることはないでしょう。CPU も強力ですので、Windows とか Linux とかもはや関係なさそうです。これはまだ極端な例なのかもしれませんが、OS に何を使うべきか、なんて議論は、もう時代遅れになってしまったのかもしれません。
そう、使いたければ、好きな OS を選べばよいのです。サーバ分野で Linux は活躍しているから、Linux ファンとしては良しとしないと…3.。
参考サイト
- Operating system market share
- タブレット端末、今年度にノートPCと出荷台数が逆転へ | RBB TODAY(2015年6月22日)
- Usage share of operating systems - Wikipedia, the free encyclopedia
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