2018-12-29

【備忘録】Fedoraで論理ボリュームを追加する

Intel Core i7 (i7-8550U) が搭載されている PC が 8 万円程度で買える…、その魅力に負けて弁当箱のような小さな PC (Skynew M4S) を Amazon で買ってしまいました。

ここ数年、廉価なノート PC に Linux をインストールしてモバイルライフを愉しんでいましたが、Amazon の Fire HD 8 を入手して以来、出張が多い毎日にプライベートな用途には意外とこれで十分で、一方、自宅ではもっとパワーのある CPU で Linux を使いたいと思うようになっていました。そんなときに Intel Core i7 搭載で手頃な値段な PC に飛びついてしまったのでした。

プリインストールされている Windows 10 Pro 64bit には興味がないので、Fedora 29 を USB メモリでライブ起動できることを確認してから、そのまま SSD へインストールしてしまいました。

メモリは 8GB (DDR4-2400) 搭載されており、32GB まで増設出来るということなので、将来 増設することを見込んで、スワップ領域を 32GB に設定しました。ストレージ容量は SSD 128GB + HDD 1TB と潤沢ですが、SSD に Fedora をインストールする場合、ルートに 50GB、スワップに 32GB、ブート領域に 1GB と割り当てると、さすがに /home の領域は大して残りません。

インストール時に、/home を HDD の 1TB の領域に割当てようとしましたが、論理ボリュームを利用した状態ではうまく設定ができなかったので、やむなく、まずは SSD だけに Fedora をインストールして、インストール後に HDD 1TB を /home に追加することにしました。

今回は、/home に論理ボリュームを追加した操作を備忘録にまとめました。

論理ボリュームの追加

Fedora をインストールした後の SSD の VG (Volume Group) は以下のように fedora と private になっています。/home 用の VG には private という別の名前を付けて別にしました。

[bitwalk@localhost ~]$ sudo vgdisplay
[sudo] bitwalk のパスワード:
  --- Volume group ---
  VG Name               fedora
  System ID             
  Format                lvm2
  Metadata Areas        1
  Metadata Sequence No  3
  VG Access             read/write
  VG Status             resizable
  MAX LV                0
  Cur LV                2
  Open LV               2
  Max PV                0
  Cur PV                1
  Act PV                1
  VG Size               82.00 GiB
  PE Size               4.00 MiB
  Total PE              20992
  Alloc PE / Size       20992 / 82.00 GiB
  Free  PE / Size       0 / 0   
  VG UUID               FoYIVm-fxdp-Z0dQ-G4sN-sC0Q-RGHW-u1ep3s
   
  --- Volume group ---
  VG Name               private
  System ID             
  Format                lvm2
  Metadata Areas        1
  Metadata Sequence No  2
  VG Access             read/write
  VG Status             resizable
  MAX LV                0
  Cur LV                1
  Open LV               1
  Max PV                0
  Cur PV                1
  Act PV                1
  VG Size               36.23 GiB
  PE Size               4.00 MiB
  Total PE              9276
  Alloc PE / Size       9276 / 36.23 GiB
  Free  PE / Size       0 / 0   
  VG UUID               TOCC3d-MBhO-gi4m-2QGJ-ZL1m-Ec1t-2znm8l

論理ボリュームは次のようになってます。

[bitwalk@localhost ~]$ sudo lvdisplay
  --- Logical volume ---
  LV Path                /dev/fedora/root
  LV Name                root
  VG Name                fedora
  LV UUID                LL7xEh-DFK1-HJaU-ukVf-ts6B-igdX-tkw4SU
  LV Write Access        read/write
  LV Creation host, time localhost, 2018-12-29 03:59:09 +0900
  LV Status              available
  # open                 1
  LV Size                50.00 GiB
  Current LE             12800
  Segments               1
  Allocation             inherit
  Read ahead sectors     auto
  - currently set to     256
  Block device           253:0
   
  --- Logical volume ---
  LV Path                /dev/fedora/swap
  LV Name                swap
  VG Name                fedora
  LV UUID                ajJF5d-li76-6Sf8-vffQ-uv3w-ncRe-P8ggca
  LV Write Access        read/write
  LV Creation host, time localhost, 2018-12-29 03:59:13 +0900
  LV Status              available
  # open                 2
  LV Size                32.00 GiB
  Current LE             8192
  Segments               1
  Allocation             inherit
  Read ahead sectors     auto
  - currently set to     256
  Block device           253:1
   
  --- Logical volume ---
  LV Path                /dev/private/home
  LV Name                home
  VG Name                private
  LV UUID                CpCQlV-ghBA-f655-FhdU-iJM6-Sr0o-0wobIS
  LV Write Access        read/write
  LV Creation host, time localhost, 2018-12-29 03:59:13 +0900
  LV Status              available
  # open                 1
  LV Size                36.23 GiB
  Current LE             9276
  Segments               1
  Allocation             inherit
  Read ahead sectors     auto
  - currently set to     256
  Block device           253:2

ext4 形式でフォーマットされた 1TB の HDD (/dev/sda1) を、ボリュームグループ private に追加します。

[bitwalk@localhost ~]$ sudo vgextend private /dev/sda1
WARNING: ext4 signature detected on /dev/sda1 at offset 1080. Wipe it? [y/n]: y
  Wiping ext4 signature on /dev/sda1.
  Physical volume "/dev/sda1" successfully created.
  Volume group "private" successfully extended

ボリュームグループを確認して、private にフリーな領域が増えていることを確認します。

[bitwalk@localhost ~]$ sudo vgdisplay
  --- Volume group ---
  VG Name               fedora
  System ID             
  Format                lvm2
  Metadata Areas        1
  Metadata Sequence No  3
  VG Access             read/write
  VG Status             resizable
  MAX LV                0
  Cur LV                2
  Open LV               2
  Max PV                0
  Cur PV                1
  Act PV                1
  VG Size               82.00 GiB
  PE Size               4.00 MiB
  Total PE              20992
  Alloc PE / Size       20992 / 82.00 GiB
  Free  PE / Size       0 / 0   
  VG UUID               FoYIVm-fxdp-Z0dQ-G4sN-sC0Q-RGHW-u1ep3s
   
  --- Volume group ---
  VG Name               private
  System ID             
  Format                lvm2
  Metadata Areas        2
  Metadata Sequence No  3
  VG Access             read/write
  VG Status             resizable
  MAX LV                0
  Cur LV                1
  Open LV               1
  Max PV                0
  Cur PV                2
  Act PV                2
  VG Size               967.74 GiB
  PE Size               4.00 MiB
  Total PE              247742
  Alloc PE / Size       9276 / 36.23 GiB
  Free  PE / Size       238466 / <931.51 GiB
  VG UUID               TOCC3d-MBhO-gi4m-2QGJ-ZL1m-Ec1t-2znm8l

論理ボリューム /dev/private/home を目一杯拡張します。

[bitwalk@localhost ~]$ sudo lvextend -l +100%FREE /dev/private/home
  Size of logical volume private/home changed from 36.23 GiB (9276 extents) to 967.74 GiB (247742 extents).
  Logical volume private/home successfully resized.

df で確認すると、まだ private-home (/dev/private/home) の領域は増えていません。

[bitwalk@localhost ~]$ df
ファイルシス             1K-ブロック    使用   使用可 使用% マウント位置
devtmpfs                     3959492       0  3959492    0% /dev
tmpfs                        3974644   21232  3953412    1% /dev/shm
tmpfs                        3974644    1672  3972972    1% /run
tmpfs                        3974644       0  3974644    0% /sys/fs/cgroup
/dev/mapper/fedora-root     51343840 7727928 40978088   16% /
tmpfs                        3974644   55548  3919096    2% /tmp
/dev/sdb1                     999320  186364   744144   21% /boot
/dev/mapper/private-home    37135824  327416 34892300    1% /home
tmpfs                         794928    8152   786776    2% /run/user/1000

resize2fs コマンドで private-home (/dev/private/home) の領域を拡張します。

[bitwalk@localhost ~]$ sudo resize2fs /dev/private/home
resize2fs 1.44.3 (10-July-2018)
Filesystem at /dev/private/home is mounted on /home; on-line resizing required
old_desc_blocks = 5, new_desc_blocks = 121
The filesystem on /dev/private/home is now 253687808 (4k) blocks long.

df で private-home (/dev/private/home) の領域が増えていることを確認します。

[bitwalk@localhost ~]$ df
ファイルシス             1K-ブロック    使用    使用可 使用% マウント位置
devtmpfs                     3959492       0   3959492    0% /dev
tmpfs                        3974644   21236   3953408    1% /dev/shm
tmpfs                        3974644    1672   3972972    1% /run
tmpfs                        3974644       0   3974644    0% /sys/fs/cgroup
/dev/mapper/fedora-root     51343840 7727928  40978088   16% /
tmpfs                        3974644   55548   3919096    2% /tmp
/dev/sdb1                     999320  186364    744144   21% /boot
/dev/mapper/private-home   998562264  347280 957230228    1% /home
tmpfs                         794928    8152    786776    2% /run/user/1000
GNOME Disks によるストレージ一覧
  1. 論理ボリューム追加 - CentOSで自宅サーバー構築

 

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2018-12-13

Linux ディストロ探訪(6) 〜 Deepin 〜

Linux とは本来 Linux カーネルのことを指しています。しかし、カーネルだけでは OS として動作させることはできません。そこで、OS に関連するツールやアプリケーションなどをまとめて、インストールし易く、インストール後にすぐ利用できるような配布形態にしたものを「ディストリビューション(略してディストロ)」と呼んでいます。

本シリーズ記事は、Linux ディストリビューションをピックアップ、仮想マシン(あるいは実機)にインストールして紹介します[不定期]。

Deepin とは

Deepin は、Debian の unstable ブランチをベースにした Linux ディストリビューションで、中国に拠点をおく Wuhan Deepin Technology Co., Ltd.(武汉深之度科技有限公司)が開発しています。デスクトップおよびネットワークサーバーの用途に提供されています。

Deepin 15.8 のデスクトップ画面

仮想環境へのインストール

はじめに、仮想環境 (GNOME Boxes) に Deepin をインストールした例を紹介します。参考サイト [1] から Download をクリックして、この時の最新版 deepin-15.8-amd64.iso(Deepin 15.8, 約 2.3GB)をダウンロードします。

このイメージを仮想環境にインストールします。

まず言語設定をしてインストールを進めます。

言語設定の次に EULA, End User License Agreement(ソフトウェア利用許諾契約)が英語で表示されます。

Linux ディストリビューションでインストール時に EULA が表示されるのは珍しいと感じたので検索してみると、Red Hat のように企業が配布しているディストリビューションについては確かに EULA が存在していました。EULA の是非について内容を比較したり、あれこれ言及することは出来ませんが、興味のある方は参考サイト [2] をご覧になってみて下さい。

じっくりとは内容を読みませんでしたが、カーソルを一番下まで移動させて、有効になった Accept ボタンをクリックして次へ進みました。

インストーラーが仮想環境を検出すると、実機へのインストールを推奨すると表示されます。

インストールは単純で、アカウント関係、タイムゾーンそしてインストール先のメディアを指定するとインストールが始まります。

無事インストールが終了したのでインストールメディアを取り出して(※ 仮想環境では不要)Experience now をクリックして再起動します。

(最初のログイン時のみ)仮想環境が検出されると、下記左画面のようなメッセージが表示されます。Common Mode を選びました。

実機へのインストール

ダウンロードした iso ファイルを Fedora Media Writer で USB メモリ (8GB) にイメージを焼いて、いつもテスト機に使用している HP Stream 11-r016TU にインストールしました。特に問題なくインストールできました。

この PC は Celeron N2840 という 2014 年後半に出回り始めた 22nm 世代の、主にタブレットや格安 PC に採用された CPU を搭載しています。

HP Stream 11-r016TU にインストールした Deepin 15.8

日本語入力設定

Deepin でサポートしている fcitx (/ˈfaɪtɪks/, 中国語名:小企鹅输入法) は Unix 系 OS におけるインプットメソッドフレームワークですが、もともとは X11 上で動作する簡体字中国語の XIM サーバとして開発されました。日本語入力にも対応しており、必要なパッケージをインストールすれば、すぐに使えるようになります。端末エミュレータ上でインストールした例を示しました。

bitwalk@deppin-PC:~$ sudo apt-get update

あなたはシステム管理者から通常の講習を受けたはずです。
これは通常、以下の3点に要約されます:

    #1) 他人のプライバシーを尊重すること。
    #2) タイプする前に考えること。
    #3) 大いなる力には大いなる責任が伴うこと。

[sudo] bitwalk のパスワード:
ヒット:1 http://packages.deepin.com/deepin panda InRelease       
パッケージリストを読み込んでいます... 完了                       
bitwalk@deppin-PC:~$ sudo apt-get install fcitx-mozc
パッケージリストを読み込んでいます... 完了
依存関係ツリーを作成しています                
状態情報を読み取っています... 完了
以下の追加パッケージがインストールされます:
  fcitx fcitx-bin fcitx-config-common fcitx-config-gtk fcitx-data
  fcitx-frontend-all fcitx-frontend-gtk2 fcitx-frontend-gtk3 fcitx-frontend-qt4
  fcitx-frontend-qt5 fcitx-module-dbus fcitx-module-kimpanel fcitx-module-lua
  fcitx-module-x11 fcitx-modules fcitx-ui-classic
  fcitx5-module-quickphrase-editor im-config libfcitx-config4 libfcitx-core0
  libfcitx-gclient1 libfcitx-qt5-1 libfcitx-qt5-data libfcitx-utils0
  libgettextpo0 libpresage-data libpresage1v5 libprotobuf10 libqt4-dbus
  libtinyxml2.6.2v5 libzinnia0 mozc-data mozc-server mozc-utils-gui presage
  qdbus tegaki-zinnia-japanese
提案パッケージ:
  fcitx-m17n fcitx-tools kdialog plasma-widgets-kimpanel ibus-qt5
以下のパッケージが新たにインストールされます:
  fcitx fcitx-bin fcitx-config-common fcitx-config-gtk fcitx-data
  fcitx-frontend-all fcitx-frontend-gtk2 fcitx-frontend-gtk3 fcitx-frontend-qt4
  fcitx-frontend-qt5 fcitx-module-dbus fcitx-module-kimpanel fcitx-module-lua
  fcitx-module-x11 fcitx-modules fcitx-mozc fcitx-ui-classic
  fcitx5-module-quickphrase-editor im-config libfcitx-config4 libfcitx-core0
  libfcitx-gclient1 libfcitx-qt5-1 libfcitx-qt5-data libfcitx-utils0
  libgettextpo0 libpresage-data libpresage1v5 libprotobuf10 libqt4-dbus
  libtinyxml2.6.2v5 libzinnia0 mozc-data mozc-server mozc-utils-gui presage
  qdbus tegaki-zinnia-japanese
アップグレード: 0 個、新規インストール: 38 個、削除: 0 個、保留: 17 個。
38.0 MB のアーカイブを取得する必要があります。
この操作後に追加で 79.1 MB のディスク容量が消費されます。
続行しますか? [Y/n] y
取得:1 http://packages.deepin.com/deepin panda/main amd64 libfcitx-utils0 amd64 1:4.2.9.6-3deepin [56.6 kB]
取得:2 http://packages.deepin.com/deepin panda/main amd64 libfcitx-config4 amd64 1:4.2.9.6-3deepin [56.0 kB]
...
(途中省略)
...
取得:38 http://packages.deepin.com/deepin panda/main amd64 presage amd64 0.9.1-2.1+b2 [109 kB]
38.0 MB を 1分 6秒 で取得しました (572 kB/s)                                     
パッケージからテンプレートを展開しています: 100%
以前に未選択のパッケージ libfcitx-utils0:amd64 を選択しています。
(データベースを読み込んでいます ... 現在 179903 個のファイルとディレクトリがインストールされています。)
...
(途中省略)
...
libc-bin (2.27-3) のトリガを処理しています ...
bitwalk@deppin-PC:~$ 

デスクトップ環境と Deepin オリジナルなユーティリティ群

Deepin の特徴は、Qt で記述された Deeoin Desktop Environment (DDE) と呼ばれる独自のデスクトップ環境を備えていることです [3]。直観的に操作できるのでしばらく使っていれば慣れてしまいます。ありがたいことに日本語化も実用上差し支えないレベルだと思います。

Deepin Desktop Environment 15.3+19

また、Deepin で始まる下記のオリジナルなユーティリティソフトウェアを利用できます。ただ、Deepin のインストール時に下記全てがインストールされるわけではありません。まだ全部を確認しきれていませんが、Deepin Package Manager など個人的に興味深いツールがいくつかありますので、しばらく試してみる予定です。

  • Deepin Boot Maker
  • Deepin Installer
  • Deepin File Manager
  • Deepin System Monitor
  • Deepin Package Manager
  • Deepin Clone
  • Deepin Picker
  • Deepin Store
  • Deepin Screen Recorder
  • Deepin Voice Recorder
  • Deepin Screenshot
  • Deepin Terminal
  • Deepin Image Viewer
  • Deepin Movie
  • Deepin Cloud Print
  • Deepin Cloud Scan
  • Deepin OpenSymbol
  • Deepin Music
  • Deepin Calendar
  • Deepin Remote Assistance
  • Deepin Manual
  • Deepin Emacs
  • Deepin Presentation Assistant
  • Deepin Calculator
  • Deepin Graphics Driver Manager
  • Deepin Repair

ちなみに、Deepin Store を起動すると簡体字が出てきて、さすが中華ディストリビューションと思いましたが、Select Region で International に設定すると英語で表示されるものに限定できます。

Deepin Store の Select Region 設定例

インターネット関連

ブラウザは Google Chrome、メーラーは Thunderbird がインストールされます。

オープンソースであることをアピールしているディストリビューションの多くは Mozilla Firefox をデフォルトのインターネットブラウザに採用していますが、プロプリエタリなコンポーネントを含んだ Google Chrome をデフォルトに採用するのは大変珍しいという印象を受けました。

オフィススイート

デフォルトでインストールされるオフィススイートは、多くのディストリビューションで採用されている LibreOffice ではなく、WPS Office(旧 Kingsoft Office)という金山软件有限公司 (Kingsoft Corporation) のソフトウェアです。次の三種のソフトウェアが利用できます。

  • WPS Writer   ワープロソフト
  • WPS Spreadsheets   表計算ソフト
  • WPS Presentation   プレゼンテーションソフト

まとめ

項目 説明
ディストリビューション Deepin Linux
プロジェクトサイト https://www.deepin.org/en/
デスクトップ環境 DDE, Deepin Desktop Environment
パッケージ形式 deb
日本語入力 fcitx-mozc
寸評

Deepin は無料で利用できますが、他の多くのディストリビューションと異なり、利用できるパッケージはオープンソースのソフトウェアに特化しているというわけではなさそうです。

簡単にインストールできて、すぐに使える実用的なディストリビューションという印象を受けました。まだ調査不足ですが、手頃な価格で入手できる中華 PC との相性が良いことを期待してしまいます。

参考サイト

  1. New Release – Deepin Technology Community
  2. To install Deepin you have to agree to its EULA (end-user licence agreement) - how is that compatible with the Linux philosophy? : linux
  3. Deepin - Wikipedia

 

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2018-11-30

Linux ディストロ探訪(5) 〜 Manjaro 〜

Linux とは本来 Linux カーネルのことを指しています。しかし、カーネルだけでは OS として動作させることはできません。そこで、OS に関連するツールやアプリケーションなどをまとめて、インストールし易く、インストール後にすぐ利用できるような配布形態にしたものを「ディストリビューション(略してディストロ)」と呼んでいます。

本シリーズ記事は、Linux ディストリビューションをピックアップ、仮想マシン(あるいは実機)にインストールして紹介します[不定期]。

Manjaro とは

Manjaro (/mənˈdʒɑːroʊ/) は、Arch Linux をベースとして開発された、ユーザーフレンドリーな Linux ディストリビューションです。 Arch Linux と同様に、ローリング・リリースモデルを採用しています。そのため、一旦インストールすれば再インストールすること無しにシステムを最新の状態に保つことができます。

Linux ディストリビューションや他のフリーソフトウェア/オープンソースの OS について、ニュース、人気ランキングなどの提供するウェブサイト DistroWatch [1] の Page Hit Ranking で Manjaro がで首位になっています(2018 年 11 月 30 日現在)。ページの閲覧数と採用実績は必ずしも一致しませんが、少なくとも注目を集めているディストリビューションであることは間違いありません。そんな Manjaro をインストールしてみました。

インストールメディアの起動

Manjaro は Xfce、KDE および GNOME の三種類のデスクトップ環境が公式に提供されています。本稿では GNOME 版を使うことにします。また、今回はすでに実機でのインストールテストを重ねたので、仮想環境ではなく実機でのインストールを紹介します。

参考サイト [2] から、Manjaro GNOME Edition (18.0)、manjaro-gnome-18.0-stable-x86_64.iso をダウンロードして Fedora Media Writer で USB メモリ (8GB) にイメージを焼きました。

インストール先の PC は、テスト機に使用している HP Stream 11-r016TU を使用しました。この PC は Celeron N2840 という 2014 年後半に出回り始めた 22nm 世代の、主にタブレットや格安 PC に採用された CPU を搭載しています。

BIOS で USB メモリから起動するように設定して起動すると、Welcome to Manjaro の画面が表示されます。ここで言語を日本語 (ja_JP)、キーボートを jp に、またドライバを(試しに)nonfree にして Boot します。

しばらくすると GNOME デスクトップ画面が表示されます。

USB 起動した Manjaro の Gnome デスクトップ

インストール準備

Manjaro のインストールは「Manjaro へようこそ」の インストーラーを起動 ボタンをクリックするか、左のダッシュボードにある DVD アイコンをクリックすれば、インストール用の画面が表示されますが、その前に二点設定をしておきます。

ネットワーク(無線)へ接続

インストール時にネットワークに接続されていないと警告が出るので、ここで接続しておきます。

インストール先のパーテーション削除

インストール先に既に他の Linux がインストールされている場合、インストーラが削除してくれず、手動でパーティションを設定しなければなりませんでした。そこでインストーラおまかせでパーテションを設定してもらうために GParted を使ってあらかじめインストール先の領域を削除しておきます。画面左側のダッシュボード下のアイコンををクリックして、利用できるアプリケーションの一覧を表示して、GParted を起動します。GParted は起動時に管理者のパスワードの入力が要求されます。ここでは manjaro と入力します。

ちなみに本例では Ubuntu がインストールされた PC を使っています。

GPaeted でパーテションを削除した操作を順にスクリーンショットで示しました。

 

インストール

「Manjaro へようこそ」上の インストーラーを起動 ボタンをクリックするとインストール用の画面が表示されます。

インストール前の設定は、タイムゾーン → キーボード → インストール先のメディア指定 → アカウントの四種類の設定だけです。

以上でインストール前の設定が終わり、実際のインストールへ進みます。

今すぐインストール (I) ボタンをクリックするとインストールが始まります。

しばらく待つとインストールが無事完了しました。

日本語入力の設定

Fedora や Ununtu では、インストール後に日本語入力設定を GUI で全てできてしまいます。Manjaro では残念ながらそこまで優しくありませんでした。日本語入力の設定を自力で出来なかったので、参考サイト [3] を全面的に参考にさせて頂きました。

端末エミュレータを起動して、まず、言語パッケージをインストールします。

[bitwalk@manjaro-pc ~]$ sudo pacman -S --needed qt5-translations

あなたはシステム管理者から通常の講習を受けたはずです。
これは通常、以下の3点に要約されます:

    #1) 他人のプライバシーを尊重すること。
    #2) タイプする前に考えること。
    #3) 大いなる力には大いなる責任が伴うこと。

[sudo] bitwalk のパスワード:
依存関係を解決しています...
衝突するパッケージがないか確認しています...

パッケージ (1) qt5-translations-5.11.2-1

合計ダウンロード容量:   1.44 MiB
合計インストール容量:  12.11 MiB

:: インストールを行いますか? [Y/n] y
:: パッケージを取得します...
 qt5-translations-5....  1477.1 KiB  1304K/s 00:01 [######################] 100%
(1/1) キーリングのキーを確認                       [######################] 100%
(1/1) パッケージの整合性をチェック                 [######################] 100%
(1/1) パッケージファイルのロード                   [######################] 100%
(1/1) ファイルの衝突をチェック                     [######################] 100%
(1/1) 空き容量を確認                               [######################] 100%
:: パッケージの変更を処理しています...
(1/1) インストール qt5-translations                [######################] 100%
:: トランザクション後のフックを実行...
(1/1) Arming ConditionNeedsUpdate...
[bitwalk@manjaro-pc ~]$ 

次に fcitx をインストールします。

[bitwalk@manjaro-pc ~]$ sudo pacman -S fcitx-mozc fcitx-gtk2 fcitx-gtk3 fcitx-qt5 kcm-fcitx
[sudo] bitwalk のパスワード:
依存関係を解決しています...
衝突するパッケージがないか確認しています...

パッケージ (43) attica-5.52.0-1  fcitx-4.2.9.6-1  karchive-5.52.0-1
                kbookmarks-5.52.0-1  kcmutils-5.52.0-1  kcodecs-5.52.0-1
                kcompletion-5.52.0-1  kconfig-5.52.0-1  kconfigwidgets-5.52.0-1
                kcrash-5.52.0-1  kdbusaddons-5.52.0-1  kdeclarative-5.52.0-1
                kglobalaccel-5.52.0-1  kguiaddons-5.52.0-1  ki18n-5.52.0-1
                kiconthemes-5.52.0-1  kio-5.52.0-1  kitemviews-5.52.0-1
                kjobwidgets-5.52.0-1  knewstuff-5.52.0-1
                knotifications-5.52.0-1  kpackage-5.52.0-1  kservice-5.52.0-1
                ktextwidgets-5.52.0-1  kwallet-5.52.0-1
                kwidgetsaddons-5.52.0-1  kwindowsystem-5.52.0-1
                kxmlgui-5.52.0-1  libdbusmenu-qt5-0.9.3+16.04.20160218-1
                media-player-info-23-1  qt5-declarative-5.11.2-1
                qt5-multimedia-5.11.2-1  qt5-script-5.11.2-1
                qt5-speech-5.11.2-1  qt5-xmlpatterns-5.11.2-1  solid-5.52.0-1
                sonnet-5.52.0-1  zinnia-0.06-5  fcitx-gtk2-4.2.9.6-1
                fcitx-gtk3-4.2.9.6-1  fcitx-mozc-2.23.2815.102-2
                fcitx-qt5-1.2.3-3  kcm-fcitx-0.5.5-2

合計ダウンロード容量:   51.26 MiB
合計インストール容量:  191.45 MiB

:: インストールを行いますか? [Y/n] y
:: パッケージを取得します...
 media-player-info-2...    36.7 KiB   186K/s 00:00 [######################] 100%
 solid-5.52.0-1-x86_64    620.9 KiB   523K/s 00:01 [######################] 100%
 kwidgetsaddons-5.52...     3.3 MiB   972K/s 00:04 [######################] 100%
    ...
 (途中省略)
    ...
 fcitx-gtk3-4.2.9.6-...    14.6 KiB  0.00B/s 00:00 [######################] 100%
 fcitx-qt5-1.2.3-3-x...   162.8 KiB  6.91M/s 00:00 [######################] 100%
 kcm-fcitx-0.5.5-2-x...   146.5 KiB  0.00B/s 00:00 [######################] 100%
(43/43) キーリングのキーを確認                     [######################] 100%
(43/43) パッケージの整合性をチェック               [######################] 100%
(43/43) パッケージファイルのロード                 [######################] 100%
(43/43) ファイルの衝突をチェック                   [######################] 100%
(43/43) 空き容量を確認                             [######################] 100%
:: パッケージの変更を処理しています...
( 1/43) インストール fcitx                         [######################] 100%
You should at least install one of kcm-fcitx (For Qt/KDE users) or fcitx-configtool (For GTK+ users) to enable Fcitx configuration GUI.
fcitx の提案パッケージ
    enchant: for word predication support [インストール済み]
    opencc: optional engine to do chinese convert
    gettext: for fcitx-po-parser [インストール済み]
( 2/43) インストール zinnia                        [######################] 100%
( 3/43) インストール fcitx-mozc                    [######################] 100%
    ...
 (途中省略)
    ...
(41/43) インストール kdeclarative                  [######################] 100%
(42/43) インストール kcmutils                      [######################] 100%
(43/43) インストール kcm-fcitx                     [######################] 100%
:: トランザクション後のフックを実行...
(1/8) Probing GTK2 input method modules...
(2/8) Probing GTK3 input method modules...
(3/8) Updating icon theme caches...
(4/8) Updating udev hardware database...
(5/8) Reloading device manager configuration...
(6/8) Arming ConditionNeedsUpdate...
(7/8) Updating the desktop file MIME type cache...
(8/8) Updating the MIME type database...
[bitwalk@manjaro-pc ~]$ 

~/.bashrc の末尾に下記の赤字部分 3 行を追加します。

リスト:.bashrc の編集
#
# ~/.bashrc
#

[[ $- != *i* ]] && return
    ...
 (途中省略)
    ...
  fi
}

# better yaourt colors
export YAOURT_COLORS="nb=1:pkg=1:ver=1;32:lver=1;45:installed=1;42:grp=1;34:od=1;41;5:votes=1;44:dsc=0:other=1;35"

export GTK_IM_MODULE=fcitx
export XMODIFIERS=@im=fcitx
export QT_IM_MODULE=fcitx

~/.profile の末尾に下記の赤字部分 6 行を追加します。

リスト:.progile の編集
export QT_QPA_PLATFORMTHEME="qt5ct"
export EDITOR=/usr/bin/nano

export LANG="ja_JP.UTF-8"
export XMODIFIERS="@im=fcitx"
export XMODIFIER="@im=fcitx"
export GTK_IM_MODULE=fcitx
export QT_IM_MODULE=fcitx
export DefaultIMModule=fcitx

再起動してログインし直し、半角/全角 キー(あるいは Ctrl + Space キー)で日本語が入力できることを確認できました。

gedit 上での日本語入力例

マイクロソフト・オフィス

Microsoft Windows は使わなくとも構わないのだけど、Microsoft Office は使いたい、あるいは使わなければならないという場面があります。もちろん、LibreOffice を使えば Microsoft Office のファイル形式を扱うことができるのですが、例えば PowerPoint と同じ作業を、LibreOffice の Impress でやろうとすると、操作がかなり異なるので結構戸惑います。

インターネットブラウザ上で Office Online アプリ(Microsoft Office のオンライン版)を利用すれば、OS に関係なく Office を利用できるようになりますが、Manjaro ではメニューから Office Online アプリへ直接接続できるようになっています。利用するには Microsoft のアカウントが必要になります。

カーネルの管理

Manjaro では Linux Kernel の選択が柔軟にできます。

アプリケーションの一覧から「Manjaroセッティングマネージャー」を起動します。「カーネル」をクリックすると、利用できるカーネルの一覧が表示されます。複数のカーネルバージョンをインストールした場合は、Ubuntu や Fedora などのように起動時の GRUB 画面でカーネルを選択できるようになります。

主流の Linux ディストリビューションと Arch Linux 系

Linux の歴史を紐解くと長くなってしまいますので割愛しますが、現在の Linux ディストリビューションは、Ubuntu に代表される Debian/Ubuntu 系と、Red Hat 系のディストリビューションが永らく主流になっています。双方のディストリビューションで特徴的に異なることのひとつに、パッケージ管理システムの違いがあります。Debian/Ubuntu 系は deb、Red Hat 系は rpm というパッケージ管理形式を取っており、それぞれ管理ツールも異なります。

一方、Manjaro がベースとしている Arch Linux(アーチ /ɑːrtʃ/ リナックス)は、Pacman という固有のパッケージ管理システムが使われています。後発のパッケージ管理システムですから、従来の deb/rpm といったパッケージ管理システムを使ってきたユーザーから注目が集まるのは当然でしょう。

Arch Linux はシンプルさを保ちながら軽量で柔軟性が高いディストリビューションであることを目指しており、そのためか標準デスクトップ環境が提供されておらず、ユーザーによる選択と設定に委ねられています。Manjaro は Arch Linux をベールとしながらもインストーラがデスクトップ環境を設定してくれるので、デスクトップ環境を必要とするユーザーにとっては使いやすいディストリビューションになっています。

コミュニティ・リリースのデスクトップ

Manjaro は、Xfce、KDE および GNOME の三種類のデスクトップ環境を公式にサポートしていますが、公式リリース以外に Manjaro Community Editions と呼ばれるリリースが存在します。Community Editions も Manjaro の開発チームのメンバーで維持されており、他のディストリビューションではサポートされていないようなデスクトップまで利用できるようになっています。

まとめ

項目 説明
ディストリビューション Manjaro Linux
プロジェクトサイト https://manjaro.org/
デスクトップ環境 Xfce, KDE, GNOME
パッケージ形式 Pacman によるパッケージ管理 (tar.xz)、GUIによるパッケージ管理ツール pamac
日本語入力 fcitx
寸評 シンプルさを追求した Arch Linux に GUI のデスクトップ環境を加えてインストールを簡単にしたのが Manjaro ですが、Manjaro で初めて知ったデスクトップ環境がありました。もしかすると、選択できるデスクトップ環境の多さも魅力のひとつになっているのかもしれません。

参考サイト

  1. DistroWatch.com: Put the fun back into computing. Use Linux, BSD.
  2. Get Manjaro | Manjaro Linux
  3. Manjaro Linux Gnome 17.1.8 のインストールと日本語入力設定 | りんごさんメモ
  4. 無料の Microsoft Office Online、Word、Excel、PowerPoint
  5. Manjaro Community Editions | Manjaro Linux
  6. Manjaro Linux

 

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