Fedora 27 のベータ版が 10 月 3 日にリリースされました [1]。メインの PC は dnf コマンドで先月アップグレードを済ませてしまっていましたが、このリリースで Live イメージが公開されるのを待っていました。
Fedora 27 では 32 bit UEFI がサポートされるので [2]、64 bit 対応のオペレーティングシステムが動くのに、起動部分だけ 32 bit UEFI にしか対応していなかった廉価な PC にも Fedora をインストールできる可能性が出てきました。既に Fedora が稼働している PC ではインストール用のメディアがなくともアップグレードできますが、Fedora がインストールされていない PC に Fedora を試すには、インストール用のメディアを作成できなければなりません。
このところ、廉価なノート PC に Fedora をインストールして、サブノートとして愛用してきましたが、幸いなことにほとんどの場合で Fedora のインストールに成功しています。唯一まともに Fedora を使えるようにできなかったのは、Amazon.jp プライムデー 2016 で破格な値段の誘惑に負けて買った ASUS TransBook T100HA でした。なんとか Ubuntu 14.04 をインストールして使えるようにはしたものの [3]、ほとんど使わずに埃を被ってしまっていました。
ただ Linux が使えるということだけでは不十分で、普通のやりかたでアップデートやアップグレードを重ねて新しい機能を試すことができないと、趣味で Linux 使っている側面の欲求を満たせません。今回、ASUS TransBook T100HA へ Fedora 27 のベータ版を普通にインストールすることに成功したので、顛末をまとめておきます。
Live イメージのダウンロード
まずは [4] のサイトから Fedora 27 Beta Workstation の Live イメージ(ISO フォーマット)をダウンロードしておきます。
MediaWriter で USB メモリのインストールメディアを作成
Fedora 上でダウンロードした ISO ファイルを MediaWriter を使ってインストール用 USB メディアを生成します。しかし残念ながら Fedora 27 ベータ版の MediaWriter が正常に起動しなかったので、Fedora 26 の MediaWriter を使用しました。
- OS: Fedora 26 (x86_64)
- MediaWriter: mediawriter-4.1.0-1.fc26.x86_64
Live イメージを作成するブランクの USB メモリを準備し、USB ポートに挿入しておきます。
MediaWriter を起動するにはメニューから選択するか、端末エミュレータ上で以下のように入力します。
$ mediawriter
起動した MediaWriter の画面から、'Custom Image' をクリックします。
あらかじめダウンロードしておいた Live イメージ Fedora-Workstation-Live-x86_64-27_Beta-1.5.iso を選択します。
次に作成する、すなわちイメージを書き込みするメディアを選択します。
私は粗忽者なので、ここでのメディアの選択を怠り、大切なデータに何度も上書きをしてしまっています。くれぐれもここで正しい書き込み先を設定することを忘れないようにしてください。
赤い 'Write to Disk' のボタンをクリックすると、root のパスワードの入力を求められます。
イメージの書き込みが始まりますので、終了するまでしばらく待ちます。
書き込みとチェックが終わった後、青い 'Close' ボタンが現れますので、クリックして MediaWriter を終了します。
作成したインストールメディアの BOOT フォルダ内をみると確かに BOOTIA32.EFI と BOOTX64.EFI というように 32 bit と 64 bit 用の両方のファイルが存在していることを確認できます。
ASUS TransBook T100HA へのインストール
今回作成したインストールメディアを使って ASUS TransBook T100HA へインストールしました。インストールについては特に問題はありませんでした。Ubuntu 14.04 をインストールしていたときと同じくログイン画面では画面の縦横が逆になっています。
デスクトップ環境は Cinnamon を使用しており、画面を反時計回りに 90°回転させています。
インストールは問題なくできたものの、単純に最新に近いカーネルであれば良いというものではなく、正常に動作しないデバイスは相変わらずです。以下に不具合を簡単にまとめました。
- タッチパネルが効いていない[要調査]
- 内蔵の WiFi が使えない
- Bluetooth が使えない
- 内蔵のサウンド関連のデバイスを使えない
- キーボードのレイアウトが時々おかしくなる
結局のところ、無い無い尽くしのままです。しかし、タッチパネルについては設定次第である程度使えるようになる可能性があるので、引き続き情報を収集しながらしばらく使ってみます。
追記 (2017-10-17)
この記事を書いたときにはあれこれ試していて時間切れになってしまったので、あとになってもう少し調べました。そもそもタッチパネルの設定ってどうするのか皆目判らなかったので、まずは xinput コマンドで現在の入力デバイスの一覧を表示してみました。
$ xinput --list
⎡ Virtual core pointer id=2 [master pointer (3)]
⎜ ↳ Virtual core XTEST pointer id=4 [slave pointer (2)]
⎜ ↳ ASUS Tech Inc. ASUS HID Device id=11 [slave pointer (2)]
⎜ ↳ ASUS Tech Inc. ASUS HID Device id=12 [slave pointer (2)]
⎜ ↳ Logitech USB Receiver id=18 [slave pointer (2)]
⎜ ↳ Logitech USB Receiver id=20 [slave pointer (2)]
⎣ Virtual core keyboard id=3 [master keyboard (2)]
↳ Virtual core XTEST keyboard id=5 [slave keyboard (3)]
↳ Power Button id=6 [slave keyboard (3)]
↳ Video Bus id=7 [slave keyboard (3)]
↳ Power Button id=8 [slave keyboard (3)]
↳ Sleep Button id=9 [slave keyboard (3)]
↳ ASUS Tech Inc. ASUS HID Device id=10 [slave keyboard (3)]
↳ Intel HID events id=13 [slave keyboard (3)]
↳ Asus WMI hotkeys id=14 [slave keyboard (3)]
↳ gpio-keys id=15 [slave keyboard (3)]
↳ gpio-keys id=16 [slave keyboard (3)]
↳ ASUS Tech Inc. ASUS HID Device id=17 [slave keyboard (3)]
↳ Logitech USB Receiver id=19 [slave keyboard (3)]
$
なにか足りないような…。Ubuntu 14.04 をインストールした時の記事を確認すると肝心のタッチパネル SIS047 の id がポインタデバイス (Virtual core pointer) の一覧に表示されていません。
そこで、Fedora を起動した時のログを確認してみました。
$ dmesg | grep SIS0457 [ 3.515740] acpi SIS0457:00: Failed to change power state to D0 [ 3.540067] acpi SIS0457:00: Cannot transition from (unknown) to D3hot [ 3.688347] input: SIS0457:00 0457:113D as /devices/pci0000:00/808622C1:05/i2c-5/i2c-SIS0457:00/0018:0457:113D.0004/input/input7 [ 3.688587] hid-multitouch 0018:0457:113D.0004: input,hidraw3: I2C HID v1.00 Device [SIS0457:00 0457:113D] on i2c-SIS0457:00 $
システム的にはこのデバイスに対応していているようですが、最初にコケているように見えます。念の為、前後のメッセージも調べました。
... ... [ 3.506907] ACPI Exception: AE_BAD_PARAMETER, Returned by Handler for [UserDefinedRegion] (20170531/evregion-300) [ 3.507044] ACPI Error: Method parse/execution failed \_SB.P33X._ON, AE_BAD_PARAMETER (20170531/psparse-550) [ 3.507150] acpi 80860F14:03: Failed to change power state to D0 [ 3.515514] ACPI Exception: AE_BAD_PARAMETER, Returned by Handler for [UserDefinedRegion] (20170531/evregion-300) [ 3.515633] ACPI Error: Method parse/execution failed \_SB.P33X._ON, AE_BAD_PARAMETER (20170531/psparse-550) [ 3.515740] acpi SIS0457:00: Failed to change power state to D0 [ 3.540067] acpi SIS0457:00: Cannot transition from (unknown) to D3hot [ 3.560977] intel_ish_ipc 0000:00:0a.0: enabling device (0000 -> 0002) [ 3.580160] mmc1: queuing unknown CIS tuple 0x80 (2 bytes) [ 3.581751] mmc1: queuing unknown CIS tuple 0x80 (3 bytes) [ 3.583369] mmc1: queuing unknown CIS tuple 0x80 (3 bytes) [ 3.583901] mmc0: new HS200 MMC card at address 0001 [ 3.586134] mmc1: queuing unknown CIS tuple 0x80 (7 bytes) [ 3.645433] mmc1: new ultra high speed DDR50 SDIO card at address 0001 [ 3.674941] mmcblk0: mmc0:0001 CGND3R 58.2 GiB [ 3.676063] mmcblk0boot0: mmc0:0001 CGND3R partition 1 4.00 MiB [ 3.676611] mmcblk0boot1: mmc0:0001 CGND3R partition 2 4.00 MiB [ 3.677065] mmcblk0rpmb: mmc0:0001 CGND3R partition 3 4.00 MiB [ 3.688347] input: SIS0457:00 0457:113D as /devices/pci0000:00/808622C1:05/i2c-5/i2c-SIS0457:00/0018:0457:113D.0004/input/input7 [ 3.688587] hid-multitouch 0018:0457:113D.0004: input,hidraw3: I2C HID v1.00 Device [SIS0457:00 0457:113D] on i2c-SIS0457:00 [ 3.692801] mmcblk0: p1 p2 p3 ... ...
う〜ん、わからん。Ubuntu 14.04 に戻すことが頭をよぎりましたが、積極的に使用しなかったディストリビューションに戻しても仕方がないので、引き続きコツコツと調べることにします。Fedora でタッチパネルを使えるようになるまでの道程は遠いです。
参考サイト
- Releases/27/Schedule - FedoraProject
- Changes/32BitUefiSupport - FedoraProject
- bitWalk's: ASUS TransBook T100HA と Ubuntu 14.04 LTS
- Fedora Workstation Beta のダウンロード
- Input device configuration - FedoraProject
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