Linux のディストリビューションの一つである Fedora の次のリリースは Fedora Core 1 から数えて 20 番目 (Fedora 20) になります。
Fedora 20 の開発コードネームには Haisenbug、「それを調査しようとすると変貌したり消えたりするバグ」と言う名前が付けられています。この Heisenbug は、不確定性原理を提唱したハイゼンベルク (Heisenberg) のもじりだそうです。
今日の時点ではアルファリリースの段階です。試しに 32bit の古いノート PC を fedup でアップグレードしてしまいました。マイルストーンによると、(今のところ)ベータリリースが10 月 29 日、正式版リリースが 12 月 3 日の予定となっています。
今回のリリースの特徴は次の通りです。
10 年目の Fedora
Fedora のリリースサイクルは一年に 2 回です。今度のリリースが 20 番目ということは、2003 年 11 月 6 日に Fedora Core 1 がリリースされてから 10 年経ったことになります。
ARM アーキテクチャのサポート
永い間 Fedora がサポートするデフォルトのアーキテクチャは x86 / x86_64 でしたが、今回から、ほとんどのモバイル機器に搭載されていて、今後のサーバ用途での活用も期待されている ARM が加わりました。
ARM が搭載されたデバイスは、x86 系の CPU を搭載した PC ほど標準化が進んでおらず、このリリースでのインストールイメージは二種類提供されるようです。まず、VFAT パーティション を使用するタイプ(Pandaboard など)、そして、他のデバイスの EXT パーティションから起動するタイプ(Trimslice など)があります。Architectures/ARM/F20/Installation - FedoraProject には、CompuLab TrimSlice, Wandboard (Freescale i.MX6), Versatile Express Emulation with QEMU などに対するインストールの説明があります。
成熟した先進機能
大々的な新しい特徴というわけではありませんが、ユーザーエクスペリエンスを向上させる改善があります。これらは永らく待ち望まれていたほんの僅かな機能拡張であっても、新しいリリースを素晴らしいものに変えます。
- NetworkManager の改善
- nmcli コマンドラインツールでネットワーク接続を追加、編集、有効化、無効化ができるようになりました。
- Sendmail と Syslog をデフォルトのサービスから除外
- ほとんどのユーザにとって不要な Sendmail (MTA) のサービスはデフォルトインストールされなくなりました。また Syslog の代わりに systemd journal がデフォルトで採用されました。
クラウドと仮想化技術の改善
このリリースでは仮想化とクラウドコンピューティングをもっと利用しやすくするための数々機能が加えられています。
- OS Installer Support for LVM Thin Provisioning
- OS のインストール時に LVM の Thin Provisioning を設定できるようになりました。
- VM Snapshot UI with virt-manager
- virt-manager で仮想マシンのスナップショットを作成する UI が利用できるようになり、スナップショットをとる操作が簡単になりました。
- Role based access control with libvirt
- libvirt に細かくアクセスコントロールができる API が追加されました。
- ARM on x86 with libvirt/virt-manager
- ARM の仮想マシンを x86 系のホストに作成できます。
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開発者向け情報
開発環境で大きな変更は下記の二点です。
- Ruby on Rails 4.0
- Perl 5.18
デスクトップ環境
主要なデスクトップ環境は下記の通りです。その他のデスクトップをデフォルトの環境として利用したい場合はスピンのイメージをご利用下さい。
- GNOME 3.10
- KDE Plasma Workspaces 4.11
引用サイト
自分の PC は古いのでパワーが足りず LXDE を使っていますが、Gnome 3.10 のデモが YouTube にあったので、埋め込みました。新しい PC が欲しい…。