Steve Ballmer 氏の突然のように思える”12 月以内に退任する”というこの発表にはビックリです。確かに、大きな企業ほど、次の世代の後継者へバトンを渡すタイミングを決めるのは難しいことなのでしょうが、先月に One Microsoft を実現するために大きな組織改革をすることを実施することが発表されてまだ間もないこのタイミングでの退任の発表なので、今後の Microsoft がどうなっていくのか、大いに注目されます。
いつのまにか、オフィスのパソコン (PC) の OS は、Windows が当り前、という世界になってしまいました。主たるサーバも OS は Windows です。Steve Ballmer 氏が率いる Microsoft が、オフィスにおける業務形態に及ぼした影響は計り知れません。机の上には Windows PC があり、メールは Outlook、データの集計は Excel、報告書は Word、プレゼンテーションは PowerPoint でという選択肢しかほとんどありません。逆に言うと、専門的な業務以外は、Windows と Office で間に合ってしまうようになりました。
しかし、その他のモバイル機器を含む家電も "OS" を必要とするような機能を備えた現在、残念ながら Windows は、そこに支配的な影響を及ぼすまでに至っていません。モバイル機器に至っては、オフィスにもどんどん入り込んできています。会議に持ち込むデバイスは、Windows が搭載されたノート PC に混じって、Android や iOS を OS とするタブレットデバイスが増えてきました。一時期は Windows のアプリケーションしか許さなかった社内の IT インフラも、今では他の OS との共存を許すように変わってきています。そもそも、OS 固有のアプリケーションでなくとも Web アプリケーションであればエンドユーザの OS が何であるかを意識しなくとも良い環境に変わりつつあるのです。相対的に、Windows でなければならないという必然性は低下してきています。
ユビキタスな社会は、このような多様性を許容してくれます。Microsoft が描くユビキタスな社会を Microsoft の製品だけで占めるのは難しいでしょう。