IT 関係の本ではありませんが、宇宙探査とそれにまつわる技術開発のロマンを感じた本でした。宇宙探査の話は IT と結構密接な関係があったりもしますが、本書は半導体技術と探査機との関係をフォーカスしているわけではないので、結構気楽に読みこなせます。嬉しいことに 2011 年の文庫本化の際に、著者の加筆修正が加わった最新の内容になっています。
最近の宇宙探査の話題は、インターネットなどで断片的にしか確認していなかったのですが、本書を読むことで歴代の探査から現在まで一気に系統立てて成果を確認できてしまいました。報道ではあまり伝えられていないかもしれない NASA や JPL のチャレンジや失敗もなかなか興味深かったです。決して専門的過ぎるということではないのですが、ほど良く専門的な内容がちりばめられていて、しかも無理に易しい用語を選んで説明しようとはしていないところに却って好感が持てました。
太陽の章から始まり、おおむねそそれぞれの惑星のことを一つの章として順番に解説されています。最終章は冥王星カイパーベルトです。ここで太陽系外惑星の発見についてもページが割かれています。個人的には、お隣の惑星である金星と火星の章が特に面白く読めました。
子供の頃、朝刊の一面を飾ったヴァイキング一号が送ってきた火星の地上の画像は、それが単なる(着色処理がされている)赤茶けた荒地であれ、遠く宇宙空間を隔てた隣の惑星から送られてきた画像ということで、その技術の凄さに衝撃を受けたことを今でも憶えています。その後、火星探査は何度も繰り返されたにも関わらず、新しい発見に対する感動はだんだんと薄れてきてしまいました。やはり生命が存在する可能性が極めて低いからでしょうか。
生命の存在可能性という点では、木星の衛星探査の話も興味深かったです。地球外生命体はまだ発見されていないけれど、我々地球は宇宙で、いや太陽系内でただ一つの生命を育む惑星ではないことを、そう遠くない日に発見できれば…、夢が膨らみます。
2011-06-29
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