2025-07-27

deepin 25 をインストール

deepin(深度操作系统)は、中国に拠点をおく UnionTech(统信软件)の子会社である Wuhan Deepin Technology Co., Ltd.(武汉深之度科技有限公司)が開発している Linux ディストロです。デスクトップ環境に Qt を利用した独自の DDE (Deepin Desktop Environment) を採用しています。

deepin は DDE をデスクトップ環境にした Debian ベースのディストロだと単純に思っていましたが、そんな単純なプロジェクトではないようです。Deepin_Profile | DeepinWiki によると、2022 年以降の開発計画では、Linux カーネルをベースに独自のディストロへの展開を目指しているように見えます。一部を抜粋しました。

Plan of Deepin after 2022 year

  • based on kernel
graph LR 1(Linux Kernel)---2(Deepin) 2(Deepin)---3(UniontechOS) 2(Deepin)---4(Other OS)

deepin 25

2025-06-21 に deepin 25 がリリースされたので、遅ればせながら評価用の PC にインストールしてみました。インストール用の ISO イメージは下記からダウンロードできます。

リリースノートによると、このリリースの新機能は以下の 5 点になっています。

  1. DDE 7.0
    • DDE は Qt で記述された deepin 独自のデスクトップ環境です。
    • QMLを使用して数多くのデスクトップコンポーネントを再構築しました。
  2. UOS AI
    • UOS AI という音声 AI アシスタントが利用可能になりました。
    • 話すだけで操作
      • システムが聴き取ります。画面の明るさを調整したり、迅速に会議を作成したい場合、自然言語でシステムにコマンドを発行してみてください!
      • 音声でもテキストでもシステムは理解し、面倒なメニュークリックから解放されます。
    • デュアルモードエンジン
      • DeepSeek、Baidu Qianfan、iFlytek Sparkなどの主要なオンライン大規模モデルに接続し、クラウドコンピューティングのパワーを活用できます。
    • エージェントストア
      • AIアシスタントの新しい「エージェントストア」から、さまざまな分野のエージェントをダウンロードし、AIの応用シーンを拡大し、よりパーソナライズされたAIを実現できます。
  3. Solid (deepin Immutable System)
    • Solid というイミュータブル(読み取り専用)のシステムが導入されました。
    • 読み取り専用保護
      • /usr/bin などのシステムコアディレクトリを読み取り専用として強制マウントすることで、システムはユーザーによる誤操作やマルウェアによるシステムコアの改変を根本的に阻止し長期的に安定した動作を保証します。
    • セカンドレベルのスナップショット
      • システム更新のたびに、システムは自動的にバックアップスナップショットを作成します。更新中に予期せぬ問題が発生した場合でも、再起動時に最後の正常な状態に自動的にロールバックするため、「更新によるシステム破損」の不安を解消します。
    • 安心復元
      • 公共のコンピュータや展示用デバイスなどのシナリオ向けに設計された「安心復元」機能は、再起動時に使用履歴を自動的に削除するほか、セキュリティと効率のバランスを調整するためのホワイトリスト設定もサポートしています。
  4. Linyaps: Universal Adaptability,Deep Ecosystem Roots
    • Linyaps はコンテナ化されたサンドボックス技術を採用し、アプリケーションとその依存関係ライブラリを完全に隔離します。
      • 単一のLinyapパッケージは Debian、Ubuntu、Arch、Fedora、openEuler を含む7つの主要なディストリビューション上で直接実行可能です。
      • マルチアーキテクチャ対応
        • AMD64、ARM64、LoongArch64など、主要な CPU アーキテクチャに対する包括的なサポートを提供しています。
        • Linyaps のエコシステムには、オフィス、開発、エンターテインメントなど多様なニーズに対応する 5000 を超えるソフトウェアパッケージがホストされています。
  5. Community Power Tools
    • Distrobox サブシステム
      • Debian 12、Ubuntu (20.04/24.04)、Arch、Fedora (41/42) などの主要なディストリビューションのサブシステムイメージを App Store から直接インストールでき、慣れた開発やテスト環境を自由に構築できます。
    • Treeland ウィンドウコンポジター (プレビュー / 探索)
      • 独自開発したコンポジターは、アニメーションの滑らかさを 40% 向上させ、マルチフィンガータッチパッドジェスチャー追跡をサポートし、シルクのような滑らかな操作を実現します。
    • クロスデバイスコラボレーション
      • PC 間のキーボード/マウスとクリップボード共有をだけでなく、スマートフォンと PC 間の双方向制御を実現。
      • スマートフォンのメッセージに返信したり、スマートフォンのアプリをパソコンの大画面で操作したりすることで、シームレスで統合されたワークフローを構築可能。
    • 主要アーキテクチャ対応
      • AMD64 / ARM64 / LoongArch64 / RISC-V アーキテクチャに対応。
      • 対応デバイスには Raspberry Pi 4B+、Radxa Rock5B/5B+、ROCK 5 ITX マザーボードなどが含まれます。
    • グローバル対応
      • インストーラーに17言語を追加。
      • システムレベルの翻訳は51言語に対応。
      • App Store は地域別のコンテンツ配信をサポートし、グローバルユーザーに一貫したローカライズされた体験を提供。

deepin 25 の使用感や詳細な特徴などについては、少し調査する時間が必要です。今回は日本語用入力メソッドの設定方法を紹介するだけにとどめます。

日本語用入力メソッドの設定

日本語用入力メソッドを利用するにはパッケージのインストールと設定が必要になります。

パッケージのインストールには Debian と同じように apt コマンドを利用できます。ここでは、fcitx5-mozc をインストールして日本語用入力メソッドを利用できるようにする方法を紹介します。

bitwalk@deepin-PC:~$ sudo apt install fcitx5-mozc
[sudo] bitwalk のパスワード:
Verification successful
パッケージリストを読み込んでいます... 完了
依存関係ツリーを作成しています... 完了        
状態情報を読み取っています... 完了        
以下の追加パッケージがインストールされます:
  fcitx-mozc-data libprotobuf32 mozc-data mozc-server mozc-utils-gui
提案パッケージ:
  ibus-qt5
以下のパッケージが新たにインストールされます:
  fcitx-mozc-data fcitx5-mozc libprotobuf32 mozc-data mozc-server mozc-utils-gui
アップグレード: 0 個、新規インストール: 6 個、削除: 0 個、保留: 7 個。
13.8 MB のアーカイブを取得する必要があります。
この操作後に追加で 27.4 MB のディスク容量が消費されます。
続行しますか? [Y/n] y
取得:1 https://community-packages.deepin.com/beige crimson/main amd64 mozc-data all 2.28.4715.102+dfsg-2.3deepin1 [16.8 kB]
取得:2 https://community-packages.deepin.com/beige crimson/main amd64 fcitx-mozc-data all 2.28.4715.102+dfsg-2.3deepin1 [8,408 B]
取得:3 https://community-packages.deepin.com/beige crimson/main amd64 libprotobuf32 amd64 3.21.12-8deepin2 [941 kB]
取得:4 https://community-packages.deepin.com/beige crimson/main amd64 mozc-server amd64 2.28.4715.102+dfsg-2.3deepin1 [11.7 MB]
取得:5 https://community-packages.deepin.com/beige crimson/main amd64 fcitx5-mozc amd64 2.28.4715.102+dfsg-2.3deepin1 [276 kB]
取得:6 https://community-packages.deepin.com/beige crimson/main amd64 mozc-utils-gui amd64 2.28.4715.102+dfsg-2.3deepin1 [856 kB]
13.8 MB を 37秒 で取得しました (376 kB/s)                                                                    
以前に未選択のパッケージ mozc-data を選択しています。
...
(途中省略)
...
libprotobuf32:amd64 (3.21.12-8deepin2) を設定しています ...
mozc-data (2.28.4715.102+dfsg-2.3deepin1) を設定しています ...
fcitx-mozc-data (2.28.4715.102+dfsg-2.3deepin1) を設定しています ...
mozc-server (2.28.4715.102+dfsg-2.3deepin1) を設定しています ...
mozc-utils-gui (2.28.4715.102+dfsg-2.3deepin1) を設定しています ...
fcitx5-mozc:amd64 (2.28.4715.102+dfsg-2.3deepin1) を設定しています ...
desktop-file-utils (0.28-1) のトリガを処理しています ...
hicolor-icon-theme (0.17-2) のトリガを処理しています ...
libc-bin (2.38-6deepin13+rb1) のトリガを処理しています ...
bamfdaemon (0.5.6+repack-1) のトリガを処理しています ...
Rebuilding /usr/share/applications/bamf-2.index...
bitwalk@deepin-PC:~$ im-config -n fcitx5
bitwalk@deepin-PC:~$

コントロールセンターを起動して、左側の「デバイス」タブをクリック、右側画面の「キーボード」をクリックして表示される画面下側の「入力メソッド」をクリックした画面で、以下のように入力メソッドの追加をクリックして入力メソッドを追加します。

なお、システムを再起動した後に、入力メソッドの追加の一覧に Mozc が表示されました。

また、「キーボード - 英語(US)」は、日本語キーボードのレイアウトの場合は不要です。この例では、インストールした廉価な中華PCのキーボードが英語レイアウトだったので、英語のレイアウトも残しています。

日本語用入力メソッドを有効にするには Ctrl + スペース を押下します。

米国依存を減らしたい中国

華為 (Huawei) がスマートフォン向けに HarmonyOS を開発しているように、deepin は Windows に替わる OS を目指しているのでしょうか。

Wikipedia の Unity Operating System(UOS, 统一操作系统)の説明によると、一般ユーザー向けが deepin だとあります。UOS は明確に Windows 代替になることを目指しているプロジェクトです。

deepin の Community Edition は多言語に対応していますが、UOS のダウンロードサイトは英語の画面が提供されておらず解読が難しいです。しかし URL は英語表記 (www.chinauos.com/resource/download-professional) なので、こちらが Professional 版(商用版?)のダウンロードサイトであると推測できます。

例えば「统信UOS桌面专业版」は、UnionTech UOS Desktop Professional Edition です。

ちなみに statcounter で中国で使用されている OS のマーケットシェアを確認すると、依然 Windows のシェアが高いように見えます。それでも UOS が中国国内の Loongson などの CPU への対応を進めていることから、徐々にシェアは変化いくのかもしれません。

Source: StatCounter Global Stats - OS Market Share

参考サイト

  1. Deepin - Deepin Linux Distribution Wiki | DeepinWiki

 

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2025-07-11

PySide6 でソケット通信

PySide (Qt for Python) は、Qt(キュート)の Python バインディングで、GUI などを構築するためのクロスプラットフォームなライブラリです。Linux, macOS および Microsoft Windows をサポートしています。配布ライセンスは LGPL で公開されています。

Qt Network を利用して GUI アプリの間でソケット通信をしてみたくて簡単なサンプルがないか探したところ、下記に PySide6 のサンプルがありました。

同一の PC 上 (127.0.0.0) で動作するように作られたサーバーとクライアントの簡単なサンプルです。まさにこんなサンプルが欲しかったのですが、使いやすいように少々手を加えました。

下記の OS 環境で動作確認をしています。

Fedora Linux Workstation 42 x86_64
Python 3.13.5
PySide6 6.9.1

サーバー (qt_tcpsocket_server.py) とクライアント (qt_tcpsocket_client.py) のサンプルを起動し、クライアント側の Connect ボタンをクリックすると、サーバー側のウィンドウに Connected from ... のメッセージ、クライアント側のウィンドウに Connected to server. のメッセージが表示されます。

クライアント側の Message: のエントリに文字列を入力して Enter キーを押すと、サーバー側へ入力した文字列が送信され、クライアント側でもサーバーが受信した文字列が表示されます。

クライアント側の IP アドレスと Port 番号の入力欄は将来の拡張用で、現在のところデフォルトの設定を変更しても動作しません。

以下に 2 つのサンプルのコードを示しました(不具合が見つかり次第、更新しています)。

qt_tcpsocket_server.py
qt_tcpsocket_client.py

参考サイト

  1. PySide6.QtNetwork.QTcpSocket - Qt for Python
  2. PySide6.QtNetwork.QTcpServer - Qt for Python
  3. PySide6.QtNetwork.QAbstractSocket - Qt for Python

 

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